横転し炎上する軽乗用車、わずか5分で高齢夫婦を救出…髪が焦げるのも気づかず「すべてがうまくいった」

炎が出た車から間一髪、高齢の夫婦を救出したとして、兵庫県警三田署と三田市消防本部は19日、同県三田市の城ケ丘墓地公園職員、竹内幹雄さん(55)に県の善行表彰「のじぎく賞」と感謝状をそれぞれ贈った。
(渡部哲也)
署や消防本部によると、11月2日午後1時37分、同墓地公園へ墓参りに訪れた70歳代男性運転の軽乗用車が、誤って駐車場から沢の斜面に転落。運転席を下にして横転した。
当時、別の区画で清掃作業にあたっていた竹内さんは、タイヤが空転する音で事故に気づき、同僚へ電話で119番通報を依頼するとともに現場へ駆けつけた。ボンネット付近から炎が上がる中、助手席のドアを上へ開き、助手席にいた男性の70歳代の妻を抱きかかえるように引き上げ、次いで男性も引き上げた。妻が右手に軽いやけどを負ったが、2人とも無事だった。
別の車のドライブレコーダーの映像記録などによると、竹内さんが事故に気づき、救出完了するまではわずか5分。その7分後に消防が到着した際は車全体が燃えていた。
贈呈式では、三田署の南沢英志署長と市消防本部の大西孝男消防長が竹内さんに賞状を手渡した。南沢署長は「勇気ある行動で2人に大きなけがもなかった」と感謝し、大西消防長は「生命、身体、財産を守るのが消防の基本。竹内さんの気持ちに応え今後の活動を頑張りたい」と述べた。
帽子から出た襟足の髪が焦げるのに気づかぬほど無我夢中で救助した竹内さん。身長1メートル83と長身で、車の上方まで乗り出し力を入れて救出できたと振り返り、「すべてがうまくいった。一度に二つも賞をもらえてとても光栄」と話した。
川岸で動けなくなっていた高齢男性を救助したとして、有馬署は県議の白井和弥さん(50)(三田市三輪)に県の善行表彰「のじぎく賞」を贈った。
同署などによると、9月15日午前9時15分頃、白井さんは自身が取締役を務める石材店の倉庫(神戸市北区)前にある川から「おーい、すみません」という声を聞き、川岸の茂みにいた男性(82)を発見した。白井さんは110番後、石材の運搬に使うクレーン車にボートをつるして川に入り、救い出した。
男性は神奈川県内から妻の実家を訪れており、知人宅からの帰宅途中に誤って川に転落。流され、茂みの中で2日間ほど動けない状態だったといい、救助後も立ち上がれないくらい衰弱していた。後日、男性から電話があり「川の水を飲んでしのいだ。命の恩人です」と涙ながらに話したという。
中村裕之署長は「勇気と機転の利いた行動に敬意を表する」と感謝し、白井さんは「助けられて良かった。今後も冷静に判断し、行動していきたい」と話した。