これまでに1万人のご遺体を見送った下駄華緒さんが火葬場職員時代の体験を明かし、注目を集めているYouTubeチャンネル「火葬場奇談」。その壮絶な体験は「最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常」(原案:下駄華緒/漫画:蓮古田二郎)として漫画化された話題作だ。
記事前編では、下駄さんが火葬場職員となった初日、先輩に連れられて初めて「焼き場」を訪れたエピソードを紹介した。ご遺体の焼け具合を確認するために炉裏の小窓を覗いた下駄さんは、思わず驚愕する。いったい何があったのだろうか――。
火葬中のご遺体を見た下駄さんは、その時見た光景を即座には理解できなかったという。
なぜなら下駄さんが初めて見たご遺体は、血を噴き出しながら、起き上がって座っていたのだ…。しかもそのご遺体はその後、上半身をよじり徐々にこちらを振り返り、下駄さんの目を見つめてきた。
下駄さんは「死体が生き返った! 早く火を止めて助けないと!!」とパニックになった。そんな下駄さんを見て先輩は「大丈夫、生きてない生きてない」と諭す。
先輩は下駄さんを落ち着かせ、こう説明した。
人間は焼くとスルメの様にクネクネ動くこともあるというのだ。ファイティングポーズをとる者、くの字に曲がる者、体をよじる者。その動きは人それぞれで実に様々な動きをするという。
そのため火葬場職員はご遺体を焼く時、小窓を開けてこまめに確認しなければならないのだ。
下駄さんが初めて火葬を見たご遺体は、60代後半の男性で、死因は事故死だったそうだ。先輩は「60年前この世に生まれて 喜びも悲しみもいろいろ苦労してきただろう。長い間 懸命に生きてきて行きついた先が 今ここだ」とつぶやく。
下駄さんは取り乱してしまったことを省み、「そんな風に僕を見てももう助けてあげられないんだ。僕にできることはただひとつ…。早く楽になれるようお骨にするお手伝いをすることだけなんだ…」と、火葬場職員としての一歩を踏み出したのだった。
いかがだろうか。人生の最後に携わる人々の物語――今一度「生きること」や「命の尊さ」について考えてみるきっかけになるかもしれない。
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下駄華緒/元火葬場職員。2018年、バンド「ぼくたちのいるところ。」のベーシストとしてユニバーサルミュージックよりデビュー。怪談最恐戦2019怪談最恐位。火葬場職員時代の経験を生かしたYouTubeチャンネル「火葬場奇談」が話題。Twitterアカウント⇒@geta_hanao
蓮古田二郎/千葉県在住。二児の父。背景は妻が担当。主な著書に「しあわせ団地」(講談社)がある
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