イチゴの売り上げを過大に偽り、栽培棚所有権の売買契約を結ぶよう顧客を勧誘したとして、岡山県警生活環境課と倉敷、玉島、総社署の合同捜査本部は24日、特定商取引法違反(不実告知)の疑いで、合同会社「軽井沢四季彩ファーム」(東京)の役員福嶋徳彦容疑者(73)=東京都中央区佃=ら6人を逮捕した。

 県警によると、2014年4月から18年8月までに、全国の高齢者ら約840人から計約32億円を集めたとみられ、うその投資話を持ち掛けた詐欺容疑も視野に捜査を進める。同日、都内の同社事務所など9カ所を家宅捜索した。

 6人の逮捕容疑は共謀し17年8~10月、倉敷市の男性会社員(65)と兵庫県養父市の男性(77)に、イチゴの生産を委託している「四季彩農園」(長野県軽井沢町)の16年のイチゴ売上額が実際は約400万円しかないのに、約4億2千万円などと偽り、栽培棚の売買契約を持ち掛けた疑い。県警は6人の認否を明らかにしていない。

 倉敷署などによると、ファーム社は、「軽井沢貴婦人」と呼ばれる高級イチゴの栽培棚を小口に分け、所有権を1口54万円で販売。顧客に1口当たり毎月3300~4100円をレンタル料として払うビジネスを展開している。

 県警は17年4月、倉敷市内の金融機関から高齢女性が現金200万円を出金しようとしているとの通報を受け、捜査していた。

 合同会社と同じ住所に17年11月、同名の株式会社が設立されており、捜査関係者によると、田中角栄元首相の息子京氏が代表取締役となっている。

 他に逮捕されたのは、ファーム社や代理店などで経理や営業などに関わっていた東京都江東区潮見、会社員川本裕之(60)▽大阪市中央区北久宝寺町、経営コンサルタント金江義浩(64)▽韓国籍、川崎市多摩区中野島、同白健治(53)▽奈良県生駒市東新町、会社役員二森欽也(51)▽大阪府豊中市上新田、派遣社員山本浩(54)―の各容疑者。