《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”

「懲役12年というのはあまりに刑が軽いと思います。大切な娘の命が奪われたのですから」–今年1月、福島県のJR郡山駅前の路上で19歳の女性受験生を軽乗用車ではねて死亡させたとして、池田怜平被告(35)が危険運転致死傷と酒気帯び運転の罪に問われていた事件。福島県地裁で行われていた公判で被告に下された懲役12年という判決について、Aさんの母親が出したコメントは悲痛なものだった。全国社会部記者が、事件の概要を解説する。
【写真】「学校で目立つ存在」だった池田被告の卒業アルバム写真。アゴに手を当ててポーズ
「池田被告が事件を起こしたのは1月下旬の午前6時半過ぎ。前日午後10時過ぎから会社の同僚とともに1軒目の飲食店で酒を飲み、2軒目ではトイレで寝たり、財布を店に忘れたりもする状態だったといいます。
事件発生当日の午前4時過ぎに代行運転業者の運転で自宅に帰宅するも、仕事で必要なUSBメモリを購入するために自分の乗用車で、市内にある24時間営業のディスカウントストアを目指した。店に到着すると1時間半ほど駐車場で寝て、起きたら財布を忘れたことに気づいて自宅へ引き返し、郡山駅前の交差点で横断歩道を渡っていた受験生の女性をはねたのです。
この時、歩行者側の信号は青。防犯カメラ映像には、時速70キロほどのスピードを緩めることなく交差点に進入する池田被告の車両がはっきりと映っていました」
なんの落ち度もなかった女性は意識不明の状態で病院に運ばれ、約8時間後に死亡が確認された。
「初公判では、検察側が女性の母親の『娘を返して欲しい』『一生、刑務所で償ってほしい』などという悲痛な思いを読み上げる場面もあっただけに、懲役12年の判決が出た後、遺族側は『あまりに刑が軽い』と怒りの滲むコメントを発表しています。
検察側は『危険運転致死傷の中で罪が最も重い部類』として懲役16年を求刑していましたが、弁護側は公判で『信号はことさら無視したわけではない』などと故意による信号無視ではないと主張していました」(同前)
NEWSポストセブン取材班は事件発生当時、池田容疑者の人柄について取材。池田一家を知る地元住民はこう語っていた。
「怜平くんは地元の4年制大学を出たものの、卒業後はフリーターのようだった。祖母は、一緒に暮らしていた怜平くんについて『飽きっぽい性格で、長く続かない』と相当悩んでいたね。それを聞いたのはもう8年くらい前で、その後もしばらくは定職には就いていないようだった。
去年の11月くらいにスーツとカバンのスタイルで車通勤を始めたから、”真面目にサラリーマンを始めたのかな”と思っていたけれど、12月には毎日お昼過ぎに私服で出かけて買い物袋を持って帰ってくる生活になっていたんだ」
また、池田被告の小・中学校の同級生は以下のように語っていた。
「中学では生徒会役員をやるなど、かなり目立つ存在でした。体育館のステージでマジックを披露したこともあり、学校では有名人だったんですが、真面目なタイプであまり友人と絡んでいる様子は見かけませんでした。
昨年8月、いつも飲んでいる地元のメンバーで、池田呼んでみようぜ! ってノリで誘ってみたら、歩いて店まで来たんです。8年ぶりの再会だったけど、顔つきが変わっていて、なんだか自信に満ちていた。『数年前まで駅前で大道芸したり、BARでマジック披露したりしていたんだよ。でも、最近転職中なんだよ…』って近況を教えてくれて、その時もマジックを披露して場を盛り上げてくれた」
さらに、池田被告の父親にも取材した際、「取り返しのつかないことをしてしまい、被害者や遺族の方には申し訳ないの一言です」としながら、息子の印象については次のように語っていた。
「普通の子としか言いようがありません。飲酒運転は初めてだと思います。今までにこんなことはなかったんです……」
未来ある尊い命が奪われたこの事件。判決を受け、池田被告は今何を思うのだろうか。