前編記事『じめじめした梅雨に、全国で1000万人以上も「だるさ」や「頭痛」に悩まされるのはなぜか?』より続く。
実際、あなたにも「梅雨だる」の症状は出ていないだろうか。普段から天気が悪化したときに体調が悪くなったり、その変化が何となく予測できるような人は、約80%の可能性で気象病だという。
頭痛やめまいを感じていない人でも、これから発症する可能性は大いにある。久手堅氏が提唱する下記の表でチェックしてみてほしい。
「気象病を発症するきっかけには、自律神経に悪影響を与える肩こりや低血圧のほか、タワマン上層階への引っ越しが関係することもあります。エレベーターでの上昇・下降を毎日繰り返すなど、日々受けている気圧差の積み重ねがより症状を出やすくするんです」(せたがや内科・神経内科クリニック院長の久手堅司氏)
では、梅雨だるの症状を和らげたり予防するにはどうすればよいのだろうか。
高野台いいづか耳鼻咽喉科院長で、気象予報士の資格も持つ飯塚崇氏が語る。
「身体の余計な水分を排出して頭痛を和らげる五苓散(ごれいさん)という漢方は、症状改善と予防に一定の効果があります。気圧の変化を調べ事前に警戒をするために、気象病対策のアプリ『頭痛ーる』を使うのもよいでしょう」
自分の住んでいる市区町村名を「頭痛ーる」に登録しておけば、毎日の気圧の変化と警戒度合いを視覚的に確認できる。
だが、今からできるお手軽な方法がある。
「内耳は骨に囲まれていて、クスリがなかなか届きにくい。内耳自体を強くする方法もないので、耳の血流を増やすことが必要。その一つが、外耳周りをマッサージすることです」(飯塚氏)
そこでここから、具体的なマッサージの仕方を紹介しよう。
前出の佐藤氏がすすめているのは、クルクル耳マッサージである。
親指と人差し指で両耳をつまみ、上・下・横に5秒ずつ引っ張る。また、耳を軽く横に引きながら、後ろに5回ほどゆっくりまわす、といった簡単なものだ。これで内耳の血流がよくなり、自律神経が整っていくという。
『即効! 耳ほぐし』の著書がある鍼灸師の松岡佳余子氏が、さらに効果的なマッサージを教えてくれた。
「1日に2回程度、毎日耳をほぐし続けることで効果が出やすくなります。簡単にできるのが、耳折りまわし。耳の付け根に指を当てて耳を前側に折り、手の平で覆いながら、グルグルとまわします。耳の血流がよくなります」
外耳はいくつものくぼみでできている。耳くぼみクルクルは、指でそのくぼみを何ヵ所も刺激する方法だ。
「人差し指や小指を耳のくぼみに当てて、1分間ほど小さな円を描くように動かします。耳のくぼみには内臓につながるツボがあることが昔から知られていますが、その働きを整える効果もある」
松岡氏が考えた中で最もオリジナリティがあると自負する耳もみは、耳穴広げである。
「血液やリンパ液の流れの悪い人は耳がむくみ、穴が小さくなっているので、指で耳の穴を広げていく。その刺激が血流を促します。めまいや耳鳴り、閉塞感など様々な症状に効き、気持ちもすっきりしていくんです」
松岡氏のもとで耳の穴もみを続けた50代女性は、視力が0.9から1.2に回復し、腰痛も軽減したという。
「耳は身体の中で唯一、自律神経の一部で全身の機能に影響する迷走神経が体表面に出ているところ。耳をマッサージすることで迷走神経を刺激し副交感神経が活性化され、体調も改善するのではないかと考えられます」(前出の飯塚氏)
今すぐできて、絶大な威力を発揮する耳もみ。今日からさっそく試してみよう。
「週刊現代」2025年6月23日号より
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