カレーチェーン大手「CoCo壱番屋」の大阪市内の店舗で、迷惑系ユーチューバーの男が卑猥な発言をして配信し、店員が注意する様子が映った動画がX上で取り上げられ、波紋が広がっている。
この男が「逆ギレ」すると、店員が「無料で大丈夫です」と説明し、男はカレーを食べてから代金を支払わず店を出ていた。ネット上では、店の対応に疑問の声が出ている。問題が起きた店の店長は、男を「速やかに退店」させることを優先したとする一方で、運営会社「壱番屋」(愛知県一宮市)は、「個別の事案ですので、コメントは差し控えたいと思います」と取材に話した。
動画は、2024年12月23日の深夜にユーチューブのチャンネルでライブ配信された。
それを見ると、黒いニット帽に黒いダウンを着た中年の男は、スマートフォンで動画配信をしながら、CoCo壱番屋の店に入った。男は、カウンターにいた女性客の間にわざわざ入り、2人の顔を映したうえ、シーフードカレーなどを注文した。男の両手は、タトゥーがびっしり入っている。
女性客の前で、大声で卑猥な発言をした後、今度は、別のカウンター席に移動した。隣に男性客が座ると、その顔を映し続け、客の様子をからかうような言葉を口走る。ユーチューブで視聴者らが書き込んだチャットを見ながら発言し、チャットでは、男をはやし立てて、その反応を面白がる声が相次いだ。
男は、また卑猥なことを口走り、隣の男性客は、迷惑そうな様子を見せる。そして、男性客は、注文したカレーをキャンセルして、店を出て行った。すると、男性店員が男の後ろから、「お客さん、ちょっと撮影の方を止めていただくことできますか?」と声をかけてきた。男は、「撮影は止めて? なんで?」と振り向く。
この店員は、「会話の方も、ちょっとお客様の迷惑になりますので」と答えると、男は、「迷惑?」とムッとした表情になった。「いやいやいや、店内撮影禁止って書いてあんの?」と逆質問し、店員が「書いてないんですけど」と返すと、「ちょっと話しましょうよ」といったん音声をオフにした。
会話が少しあった後、また音声を入れ、同様なやり取りをした。男は、「じゃあ、分かんないじゃん」「食ってる最中で、今遮られて、気分悪いです」と言うと、また音声をオフにして、ジェスチャーなどを店員に示した。
しばらくして、再度音声を入れると、男は、「正直ね、僕は食べたいよ」と不機嫌な様子を見せる。これに対し、店員は、「はい、無料で大丈夫です。全然大丈夫です」といきなり切り出す。
男は、驚いた様子で、「無料で大丈夫?」と聞き返す。店員は、「もちろんです。代金いらないです、今日は」と説明し、「確かに、冷めていらっしゃいますし」と理由を明かした。
その後も、2人のやり取りが続き、男が「これ食べていいの?」と聞くと、店員は、「この時間で食べられた、というのはおっしゃる通りかなと思いますので」と答えた。
男は、「黙っていればいいですか?」と店員に聞き、その後は、動画を配信しながら黙々と食べていた。終わると、「ごちそうさまでした。ありがとうございやした」と店に念押しし、2000円ほどの代金を支払わずに退店している。
道を歩きながら、男は、「なんでお代はいいと言ったんだろ? 払いたくないとは言ってないんだけど」「なぜかあっちが謝ってきて、お代は結構ですって」とつぶやいていた。
この動画は、一部が切り取られて、12月24日にXで投稿され、迷惑配信したらカレー代が無料になるのはおかしいと指摘された。翌25日になって、動画がX上で転載されて、まとめサイトが取り上げる騒ぎになった。元の動画は、すでにチャンネルから削除されている。
店の対応について、X上では、「従業員ホントかわいそう」「代金はいらないのですぐ帰って一生出禁って事ですね」と店員を労わる声が出る一方、「駄々こねてただ食い?」「店側の対応がダメダメだ」「つけ上がるだけだから毅然とした態度で接して」との声が上がった。
男が迷惑動画を配信した大阪市内の店は12月26日、J-CASTニュースの取材に対し、23日深夜に動画内のやり取りがあったことを店長が認め、代金を支払わせずに男を帰したことについてこう説明した。
なぜ卑猥な発言などをする時点で、警察に通報しなかったのかについては、「店内の状況があって、すぐに調理しないといけませんでした」と説明した。
店を運営する壱番屋の広報課は同日、取材に対し、動画は把握しており、この店であったことだと認めた。店の対応が適切であったのかについては、「当社としましては、個別の事案になりますので、社内ルールなど詳細についてはコメントを控えたいと思います」と答えた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)