1990年代後半~2000年代前半にかけて、渋谷センター街などに数多く出現した「ギャル」。しかし最近は、金髪で肌を焼いている「ガングロギャル」や、パンダのように目の周りを黒く塗る「ヤマンバギャル」などの派手なギャルたちは、ほとんど姿を見せなくなった。
【画像】“妖怪度が高い”「ヤマンバメイク」をしたうぬさん(38)を見る そんな中、今でも「ヤマンバギャル」を自称するのが、福岡県北九州市に住むデザイナーのうぬさん(38)である。今回、うぬさんに「ヤマンバギャル」に目覚めたきっかけや、派手で人目を引くメイクやファッションを続けてきた中で感じた偏見、「ヤマンバメイク」に対する周囲からの反応などについて話を聞いた。(全2回の1回目/後編を読む)
すっぴんのうぬさん◆ ◆ ◆推しに会う時はヤマンバメイク「かわいい自分で行きたいから」――現在は、週に何回くらい「ヤマンバメイク」をされているのでしょうか。うぬ 大体、週に1回ですね。基本的に平日は、フルタイムでデザイナーの仕事をしているので、休日で出かけるときなどに「ヤマンバメイク」をしています。 最近は、ご当地ヒーローの推し活にハマっているので、そのイベントに行く時は必ず「ヤマンバメイク」をしていますね。かわいい自分で行きたいので。推しに会うのに、何で派手な格好で行くんだって言われますけど、この格好が一番自分がかわいく見えると思っています。――コロナ禍でマスクをしているとはいえ、相当目立つのでは。うぬ たしかに目立つといえば目立ちますね。でも、九州独特の空気なのかもしれないですけど、イベント会場のみなさんは結構親切で。怒られることもないですし、「かわいいですね」って声をかけてくれるんです。 ただ、その格好で電車に乗ったり、買い物に行くと、周囲からびっくりされますね。「昔のギャルがいる」みたいな。――ちなみにメイクにはどのくらい時間がかかるのでしょうか。うぬ 今は1時間半ぐらいですかね。昔は2~3時間かかってましたけど、慣れてきたので、だいぶ早くできるようになりました。でも、それでも1時間半ですからね(笑)。朝が早い時なんかは、かなり早起きをしなければいけないです。推し活のイベントで早くから並びたい時は夜中の2時に起きて準備して。 顔だけ黒いと不自然に浮いてしまうので、首や耳も黒いファンデーションを塗って、つけま(つけまつげ)は3~4枚重ねて。眉毛はファンデーションで消して、目の上はアイラインで真っ黒にして……。結構やることが多いんですよ。――うぬさんは「ヤマンバギャル」と名乗っていますが、そもそも「ヤマンバギャル」と「ガングロギャル」の違いって何でしょうか。「ヤマンバギャル」「ガングロギャル」「マンバギャル」の違いうぬ 私はもともと「ヤマンバギャル」になろうと思ってなったわけではなく、好きなメイクをしていたら、「ヤマンバギャル」に近かっただけなんです。ギャルメイクの変遷や違いについて、あまり詳しくはないんですけど、自分の中の定義としては、「ガングロギャル」は、とにかく肌を焼いているギャルです。髪色は金髪などに脱色していて、メイクは派手。「ヤマンバギャル」と決定的に違うのは、アイメイクやハイライトの濃淡だと思います。「ヤマンバメイク」は、目の周りをこれでもかってくらい黒くしますし、ハイライトは白のポスカで描きます。もちろん「ヤマンバギャル」も肌を焼いていますが、それ以上にアイメイクやハイライトを濃くして、目や鼻を強調することが重要なんです。 さらに細かいことを言うと、私自身「ヤマンバギャル」を名乗ってはいるんですけど、実際は「マンバギャル」の方がしっくりくるんですよね。――“ヤマンバ”とは民話の山姥(やまんば)に由来するとも言われます。「ヤマンバギャル」と「マンバギャル」の違いは?うぬ 言葉にするのが難しいですが、「マンバギャル」の方が“妖怪度”が高いというか。私の中では「ヤマンバギャル」から派生して、さらにメイクが濃くなったギャルが「マンバギャル」というイメージです。 なんか微妙なニュアンスの違いなんですけどね。「ガングロギャル」が濃くなって、「ヤマンバギャル」になって、それがさらに進化して「マンバギャル」になるみたいな。派手なギャルの最終形態みたいなものですね。メディア出演していたギャル集団「ブラックダイヤモンド」の虜に――そんな平成初期に大流行した「ヤマンバギャル」や「ガングロギャル」ですが、最近は滅多に見かけなくなりました。うぬさんは「ヤマンバギャル」との個人的な繋がりはありますか。うぬ 絶滅危惧種なので、少ないですね。繋がっている人は3人くらいいますけど、みんな家が遠いのでSNSで絡むくらいで、集まったりはしないです。そもそも私はオタク寄りなので、みんなで集まって「うぇ~い」って盛り上がるようなタイプでもないですし。――根っからのギャルではないと。うぬさんは、全盛期のリアルタイムではなく、2018年頃に30代半ばでギャルメイクに目覚めたということですが、そのきっかけは?うぬ メディアに多数出演していた「ブラックダイヤモンド」というギャル集団をTwitterで見て、かわいいと思ったのがきっかけです。それまでは黒肌に興味がなかったのですが、ひと目見て虜になってしまって。 それからは日サロに行って肌を焼いて。メイクは目の周りを真っ黒にして、鼻筋をコンシーラーで強調して。「ヤマンバメイク」に限らずメイクってある意味、芸術じゃないですか。自分もやりたいと思って、見よう見まねで練習しました。――メイクは芸術だと。うぬさんが本業ではデザイナーという部分と繋がるんですね。「見ず知らずの人にウサ耳を投げつけられた」うぬ そうですね。顔をキャンバスだと思って描いています。均一に色を塗るとか、線をきれいにまっすぐ描くとか。アートだなって思いますね。 私はもともとイラストを描くのが好きで、大学は4浪して東京藝大に入って、卒業後はデザイナーになりました。私生活でも、何でも自分でデザインすることが好きなんです。メイクにしろ、洋服にしろ、常に自分の好きなことをしていたくて。――うぬさんは「ヤマンバメイク」に目覚める前も、個性的なファッションや派手なメイクが好きだったのでしょうか。うぬ 最初は目立つことに抵抗ありました。そもそも子どもの頃から外見だけではなく、中身の問題で目立つことも多かったんですよ。コミュニケーションが苦手で、人が傷つくようなことを平気で言ってしまったりして。 だからといって、「目立ちたい」という気持ちがあるわけではないんですけど、どこに行っても「変な子」っていうレッテルを貼られて目立ってしまうというか。それプラス外見も派手なので、さらに「変な子」だと思われていたでしょうね。ロリータファッションをしていたころ――ロリータファッションをしていた時期もあったんですよね。うぬ ありました。藝大に入学する少し前だったと思うんですけど、憧れていたイラストレーターさんがロリータブランドのDMイラストを描いていたんです。自分も着てみたくて、洋服を買ったんですけど、外に行く勇気がなかなか出なくて。母に「これどうかな?」って聞いたら、「ダメじゃない」って言われたので、この格好で外に出ることは諦めていたんですけど、友達が「え、別にいいじゃん」って言ってくれて。それで吹っ切れて、外に出られるようになりました。 でも、外に出ると、やっぱりたくさんの心ない視線を受けました。目立つので後ろから何か言われたり、勝手に写真を撮られたり。「頭おかしいんじゃない」とか「気持ち悪」って野次を飛ばされたりもしました。 それこそ私、頭にウサ耳つけて歩いていたんですけど、いきなり見ず知らずの人からそのウサ耳を外されて投げられたこともありましたね。すごく怖かったです。でも、良くないことなんですけど、だんだんとそういう偏見にも慣れてくるんですよね。――見た目が派手なだけで、たくさんの怖い思いをされてきたんですね。うぬ 昔、ロリータファッションをして一人で歩いていた時に、男の人から「お姉ちゃんいくら?」って聞かれたこともありました。2人っきりのエレベーターの中で言われたので、すごく怖かったです。自分の好きな格好をしているだけですけど、見る人から見たらそういうイメージを持たれてしまうんだなって。でも、だからといって、自分にとって好きな見た目をしないという選択肢は私の中になかったですね。夫は「さっきの人すごく見てたよ。俺はもう耐えられない」と…35歳で突然ヤマンバギャルになった女性が語る、周囲の“強烈な反応” へ続く(「文春オンライン」編集部)
そんな中、今でも「ヤマンバギャル」を自称するのが、福岡県北九州市に住むデザイナーのうぬさん(38)である。今回、うぬさんに「ヤマンバギャル」に目覚めたきっかけや、派手で人目を引くメイクやファッションを続けてきた中で感じた偏見、「ヤマンバメイク」に対する周囲からの反応などについて話を聞いた。(全2回の1回目/後編を読む)
すっぴんのうぬさん
◆ ◆ ◆
――現在は、週に何回くらい「ヤマンバメイク」をされているのでしょうか。
うぬ 大体、週に1回ですね。基本的に平日は、フルタイムでデザイナーの仕事をしているので、休日で出かけるときなどに「ヤマンバメイク」をしています。
最近は、ご当地ヒーローの推し活にハマっているので、そのイベントに行く時は必ず「ヤマンバメイク」をしていますね。かわいい自分で行きたいので。推しに会うのに、何で派手な格好で行くんだって言われますけど、この格好が一番自分がかわいく見えると思っています。
――コロナ禍でマスクをしているとはいえ、相当目立つのでは。うぬ たしかに目立つといえば目立ちますね。でも、九州独特の空気なのかもしれないですけど、イベント会場のみなさんは結構親切で。怒られることもないですし、「かわいいですね」って声をかけてくれるんです。 ただ、その格好で電車に乗ったり、買い物に行くと、周囲からびっくりされますね。「昔のギャルがいる」みたいな。――ちなみにメイクにはどのくらい時間がかかるのでしょうか。うぬ 今は1時間半ぐらいですかね。昔は2~3時間かかってましたけど、慣れてきたので、だいぶ早くできるようになりました。でも、それでも1時間半ですからね(笑)。朝が早い時なんかは、かなり早起きをしなければいけないです。推し活のイベントで早くから並びたい時は夜中の2時に起きて準備して。 顔だけ黒いと不自然に浮いてしまうので、首や耳も黒いファンデーションを塗って、つけま(つけまつげ)は3~4枚重ねて。眉毛はファンデーションで消して、目の上はアイラインで真っ黒にして……。結構やることが多いんですよ。――うぬさんは「ヤマンバギャル」と名乗っていますが、そもそも「ヤマンバギャル」と「ガングロギャル」の違いって何でしょうか。「ヤマンバギャル」「ガングロギャル」「マンバギャル」の違いうぬ 私はもともと「ヤマンバギャル」になろうと思ってなったわけではなく、好きなメイクをしていたら、「ヤマンバギャル」に近かっただけなんです。ギャルメイクの変遷や違いについて、あまり詳しくはないんですけど、自分の中の定義としては、「ガングロギャル」は、とにかく肌を焼いているギャルです。髪色は金髪などに脱色していて、メイクは派手。「ヤマンバギャル」と決定的に違うのは、アイメイクやハイライトの濃淡だと思います。「ヤマンバメイク」は、目の周りをこれでもかってくらい黒くしますし、ハイライトは白のポスカで描きます。もちろん「ヤマンバギャル」も肌を焼いていますが、それ以上にアイメイクやハイライトを濃くして、目や鼻を強調することが重要なんです。 さらに細かいことを言うと、私自身「ヤマンバギャル」を名乗ってはいるんですけど、実際は「マンバギャル」の方がしっくりくるんですよね。――“ヤマンバ”とは民話の山姥(やまんば)に由来するとも言われます。「ヤマンバギャル」と「マンバギャル」の違いは?うぬ 言葉にするのが難しいですが、「マンバギャル」の方が“妖怪度”が高いというか。私の中では「ヤマンバギャル」から派生して、さらにメイクが濃くなったギャルが「マンバギャル」というイメージです。 なんか微妙なニュアンスの違いなんですけどね。「ガングロギャル」が濃くなって、「ヤマンバギャル」になって、それがさらに進化して「マンバギャル」になるみたいな。派手なギャルの最終形態みたいなものですね。メディア出演していたギャル集団「ブラックダイヤモンド」の虜に――そんな平成初期に大流行した「ヤマンバギャル」や「ガングロギャル」ですが、最近は滅多に見かけなくなりました。うぬさんは「ヤマンバギャル」との個人的な繋がりはありますか。うぬ 絶滅危惧種なので、少ないですね。繋がっている人は3人くらいいますけど、みんな家が遠いのでSNSで絡むくらいで、集まったりはしないです。そもそも私はオタク寄りなので、みんなで集まって「うぇ~い」って盛り上がるようなタイプでもないですし。――根っからのギャルではないと。うぬさんは、全盛期のリアルタイムではなく、2018年頃に30代半ばでギャルメイクに目覚めたということですが、そのきっかけは?うぬ メディアに多数出演していた「ブラックダイヤモンド」というギャル集団をTwitterで見て、かわいいと思ったのがきっかけです。それまでは黒肌に興味がなかったのですが、ひと目見て虜になってしまって。 それからは日サロに行って肌を焼いて。メイクは目の周りを真っ黒にして、鼻筋をコンシーラーで強調して。「ヤマンバメイク」に限らずメイクってある意味、芸術じゃないですか。自分もやりたいと思って、見よう見まねで練習しました。――メイクは芸術だと。うぬさんが本業ではデザイナーという部分と繋がるんですね。「見ず知らずの人にウサ耳を投げつけられた」うぬ そうですね。顔をキャンバスだと思って描いています。均一に色を塗るとか、線をきれいにまっすぐ描くとか。アートだなって思いますね。 私はもともとイラストを描くのが好きで、大学は4浪して東京藝大に入って、卒業後はデザイナーになりました。私生活でも、何でも自分でデザインすることが好きなんです。メイクにしろ、洋服にしろ、常に自分の好きなことをしていたくて。――うぬさんは「ヤマンバメイク」に目覚める前も、個性的なファッションや派手なメイクが好きだったのでしょうか。うぬ 最初は目立つことに抵抗ありました。そもそも子どもの頃から外見だけではなく、中身の問題で目立つことも多かったんですよ。コミュニケーションが苦手で、人が傷つくようなことを平気で言ってしまったりして。 だからといって、「目立ちたい」という気持ちがあるわけではないんですけど、どこに行っても「変な子」っていうレッテルを貼られて目立ってしまうというか。それプラス外見も派手なので、さらに「変な子」だと思われていたでしょうね。ロリータファッションをしていたころ――ロリータファッションをしていた時期もあったんですよね。うぬ ありました。藝大に入学する少し前だったと思うんですけど、憧れていたイラストレーターさんがロリータブランドのDMイラストを描いていたんです。自分も着てみたくて、洋服を買ったんですけど、外に行く勇気がなかなか出なくて。母に「これどうかな?」って聞いたら、「ダメじゃない」って言われたので、この格好で外に出ることは諦めていたんですけど、友達が「え、別にいいじゃん」って言ってくれて。それで吹っ切れて、外に出られるようになりました。 でも、外に出ると、やっぱりたくさんの心ない視線を受けました。目立つので後ろから何か言われたり、勝手に写真を撮られたり。「頭おかしいんじゃない」とか「気持ち悪」って野次を飛ばされたりもしました。 それこそ私、頭にウサ耳つけて歩いていたんですけど、いきなり見ず知らずの人からそのウサ耳を外されて投げられたこともありましたね。すごく怖かったです。でも、良くないことなんですけど、だんだんとそういう偏見にも慣れてくるんですよね。――見た目が派手なだけで、たくさんの怖い思いをされてきたんですね。うぬ 昔、ロリータファッションをして一人で歩いていた時に、男の人から「お姉ちゃんいくら?」って聞かれたこともありました。2人っきりのエレベーターの中で言われたので、すごく怖かったです。自分の好きな格好をしているだけですけど、見る人から見たらそういうイメージを持たれてしまうんだなって。でも、だからといって、自分にとって好きな見た目をしないという選択肢は私の中になかったですね。夫は「さっきの人すごく見てたよ。俺はもう耐えられない」と…35歳で突然ヤマンバギャルになった女性が語る、周囲の“強烈な反応” へ続く(「文春オンライン」編集部)
――コロナ禍でマスクをしているとはいえ、相当目立つのでは。
うぬ たしかに目立つといえば目立ちますね。でも、九州独特の空気なのかもしれないですけど、イベント会場のみなさんは結構親切で。怒られることもないですし、「かわいいですね」って声をかけてくれるんです。
ただ、その格好で電車に乗ったり、買い物に行くと、周囲からびっくりされますね。「昔のギャルがいる」みたいな。
――ちなみにメイクにはどのくらい時間がかかるのでしょうか。
うぬ 今は1時間半ぐらいですかね。昔は2~3時間かかってましたけど、慣れてきたので、だいぶ早くできるようになりました。でも、それでも1時間半ですからね(笑)。朝が早い時なんかは、かなり早起きをしなければいけないです。推し活のイベントで早くから並びたい時は夜中の2時に起きて準備して。
顔だけ黒いと不自然に浮いてしまうので、首や耳も黒いファンデーションを塗って、つけま(つけまつげ)は3~4枚重ねて。眉毛はファンデーションで消して、目の上はアイラインで真っ黒にして……。結構やることが多いんですよ。
――うぬさんは「ヤマンバギャル」と名乗っていますが、そもそも「ヤマンバギャル」と「ガングロギャル」の違いって何でしょうか。
うぬ 私はもともと「ヤマンバギャル」になろうと思ってなったわけではなく、好きなメイクをしていたら、「ヤマンバギャル」に近かっただけなんです。ギャルメイクの変遷や違いについて、あまり詳しくはないんですけど、自分の中の定義としては、「ガングロギャル」は、とにかく肌を焼いているギャルです。髪色は金髪などに脱色していて、メイクは派手。「ヤマンバギャル」と決定的に違うのは、アイメイクやハイライトの濃淡だと思います。
「ヤマンバメイク」は、目の周りをこれでもかってくらい黒くしますし、ハイライトは白のポスカで描きます。もちろん「ヤマンバギャル」も肌を焼いていますが、それ以上にアイメイクやハイライトを濃くして、目や鼻を強調することが重要なんです。
さらに細かいことを言うと、私自身「ヤマンバギャル」を名乗ってはいるんですけど、実際は「マンバギャル」の方がしっくりくるんですよね。――“ヤマンバ”とは民話の山姥(やまんば)に由来するとも言われます。「ヤマンバギャル」と「マンバギャル」の違いは?うぬ 言葉にするのが難しいですが、「マンバギャル」の方が“妖怪度”が高いというか。私の中では「ヤマンバギャル」から派生して、さらにメイクが濃くなったギャルが「マンバギャル」というイメージです。 なんか微妙なニュアンスの違いなんですけどね。「ガングロギャル」が濃くなって、「ヤマンバギャル」になって、それがさらに進化して「マンバギャル」になるみたいな。派手なギャルの最終形態みたいなものですね。メディア出演していたギャル集団「ブラックダイヤモンド」の虜に――そんな平成初期に大流行した「ヤマンバギャル」や「ガングロギャル」ですが、最近は滅多に見かけなくなりました。うぬさんは「ヤマンバギャル」との個人的な繋がりはありますか。うぬ 絶滅危惧種なので、少ないですね。繋がっている人は3人くらいいますけど、みんな家が遠いのでSNSで絡むくらいで、集まったりはしないです。そもそも私はオタク寄りなので、みんなで集まって「うぇ~い」って盛り上がるようなタイプでもないですし。――根っからのギャルではないと。うぬさんは、全盛期のリアルタイムではなく、2018年頃に30代半ばでギャルメイクに目覚めたということですが、そのきっかけは?うぬ メディアに多数出演していた「ブラックダイヤモンド」というギャル集団をTwitterで見て、かわいいと思ったのがきっかけです。それまでは黒肌に興味がなかったのですが、ひと目見て虜になってしまって。 それからは日サロに行って肌を焼いて。メイクは目の周りを真っ黒にして、鼻筋をコンシーラーで強調して。「ヤマンバメイク」に限らずメイクってある意味、芸術じゃないですか。自分もやりたいと思って、見よう見まねで練習しました。――メイクは芸術だと。うぬさんが本業ではデザイナーという部分と繋がるんですね。「見ず知らずの人にウサ耳を投げつけられた」うぬ そうですね。顔をキャンバスだと思って描いています。均一に色を塗るとか、線をきれいにまっすぐ描くとか。アートだなって思いますね。 私はもともとイラストを描くのが好きで、大学は4浪して東京藝大に入って、卒業後はデザイナーになりました。私生活でも、何でも自分でデザインすることが好きなんです。メイクにしろ、洋服にしろ、常に自分の好きなことをしていたくて。――うぬさんは「ヤマンバメイク」に目覚める前も、個性的なファッションや派手なメイクが好きだったのでしょうか。うぬ 最初は目立つことに抵抗ありました。そもそも子どもの頃から外見だけではなく、中身の問題で目立つことも多かったんですよ。コミュニケーションが苦手で、人が傷つくようなことを平気で言ってしまったりして。 だからといって、「目立ちたい」という気持ちがあるわけではないんですけど、どこに行っても「変な子」っていうレッテルを貼られて目立ってしまうというか。それプラス外見も派手なので、さらに「変な子」だと思われていたでしょうね。ロリータファッションをしていたころ――ロリータファッションをしていた時期もあったんですよね。うぬ ありました。藝大に入学する少し前だったと思うんですけど、憧れていたイラストレーターさんがロリータブランドのDMイラストを描いていたんです。自分も着てみたくて、洋服を買ったんですけど、外に行く勇気がなかなか出なくて。母に「これどうかな?」って聞いたら、「ダメじゃない」って言われたので、この格好で外に出ることは諦めていたんですけど、友達が「え、別にいいじゃん」って言ってくれて。それで吹っ切れて、外に出られるようになりました。 でも、外に出ると、やっぱりたくさんの心ない視線を受けました。目立つので後ろから何か言われたり、勝手に写真を撮られたり。「頭おかしいんじゃない」とか「気持ち悪」って野次を飛ばされたりもしました。 それこそ私、頭にウサ耳つけて歩いていたんですけど、いきなり見ず知らずの人からそのウサ耳を外されて投げられたこともありましたね。すごく怖かったです。でも、良くないことなんですけど、だんだんとそういう偏見にも慣れてくるんですよね。――見た目が派手なだけで、たくさんの怖い思いをされてきたんですね。うぬ 昔、ロリータファッションをして一人で歩いていた時に、男の人から「お姉ちゃんいくら?」って聞かれたこともありました。2人っきりのエレベーターの中で言われたので、すごく怖かったです。自分の好きな格好をしているだけですけど、見る人から見たらそういうイメージを持たれてしまうんだなって。でも、だからといって、自分にとって好きな見た目をしないという選択肢は私の中になかったですね。夫は「さっきの人すごく見てたよ。俺はもう耐えられない」と…35歳で突然ヤマンバギャルになった女性が語る、周囲の“強烈な反応” へ続く(「文春オンライン」編集部)
さらに細かいことを言うと、私自身「ヤマンバギャル」を名乗ってはいるんですけど、実際は「マンバギャル」の方がしっくりくるんですよね。
――“ヤマンバ”とは民話の山姥(やまんば)に由来するとも言われます。「ヤマンバギャル」と「マンバギャル」の違いは?
うぬ 言葉にするのが難しいですが、「マンバギャル」の方が“妖怪度”が高いというか。私の中では「ヤマンバギャル」から派生して、さらにメイクが濃くなったギャルが「マンバギャル」というイメージです。
なんか微妙なニュアンスの違いなんですけどね。「ガングロギャル」が濃くなって、「ヤマンバギャル」になって、それがさらに進化して「マンバギャル」になるみたいな。派手なギャルの最終形態みたいなものですね。
――そんな平成初期に大流行した「ヤマンバギャル」や「ガングロギャル」ですが、最近は滅多に見かけなくなりました。うぬさんは「ヤマンバギャル」との個人的な繋がりはありますか。
うぬ 絶滅危惧種なので、少ないですね。繋がっている人は3人くらいいますけど、みんな家が遠いのでSNSで絡むくらいで、集まったりはしないです。そもそも私はオタク寄りなので、みんなで集まって「うぇ~い」って盛り上がるようなタイプでもないですし。
――根っからのギャルではないと。うぬさんは、全盛期のリアルタイムではなく、2018年頃に30代半ばでギャルメイクに目覚めたということですが、そのきっかけは?
うぬ メディアに多数出演していた「ブラックダイヤモンド」というギャル集団をTwitterで見て、かわいいと思ったのがきっかけです。それまでは黒肌に興味がなかったのですが、ひと目見て虜になってしまって。
それからは日サロに行って肌を焼いて。メイクは目の周りを真っ黒にして、鼻筋をコンシーラーで強調して。「ヤマンバメイク」に限らずメイクってある意味、芸術じゃないですか。自分もやりたいと思って、見よう見まねで練習しました。
――メイクは芸術だと。うぬさんが本業ではデザイナーという部分と繋がるんですね。
うぬ そうですね。顔をキャンバスだと思って描いています。均一に色を塗るとか、線をきれいにまっすぐ描くとか。アートだなって思いますね。
私はもともとイラストを描くのが好きで、大学は4浪して東京藝大に入って、卒業後はデザイナーになりました。私生活でも、何でも自分でデザインすることが好きなんです。メイクにしろ、洋服にしろ、常に自分の好きなことをしていたくて。
――うぬさんは「ヤマンバメイク」に目覚める前も、個性的なファッションや派手なメイクが好きだったのでしょうか。うぬ 最初は目立つことに抵抗ありました。そもそも子どもの頃から外見だけではなく、中身の問題で目立つことも多かったんですよ。コミュニケーションが苦手で、人が傷つくようなことを平気で言ってしまったりして。 だからといって、「目立ちたい」という気持ちがあるわけではないんですけど、どこに行っても「変な子」っていうレッテルを貼られて目立ってしまうというか。それプラス外見も派手なので、さらに「変な子」だと思われていたでしょうね。ロリータファッションをしていたころ――ロリータファッションをしていた時期もあったんですよね。うぬ ありました。藝大に入学する少し前だったと思うんですけど、憧れていたイラストレーターさんがロリータブランドのDMイラストを描いていたんです。自分も着てみたくて、洋服を買ったんですけど、外に行く勇気がなかなか出なくて。母に「これどうかな?」って聞いたら、「ダメじゃない」って言われたので、この格好で外に出ることは諦めていたんですけど、友達が「え、別にいいじゃん」って言ってくれて。それで吹っ切れて、外に出られるようになりました。 でも、外に出ると、やっぱりたくさんの心ない視線を受けました。目立つので後ろから何か言われたり、勝手に写真を撮られたり。「頭おかしいんじゃない」とか「気持ち悪」って野次を飛ばされたりもしました。 それこそ私、頭にウサ耳つけて歩いていたんですけど、いきなり見ず知らずの人からそのウサ耳を外されて投げられたこともありましたね。すごく怖かったです。でも、良くないことなんですけど、だんだんとそういう偏見にも慣れてくるんですよね。――見た目が派手なだけで、たくさんの怖い思いをされてきたんですね。うぬ 昔、ロリータファッションをして一人で歩いていた時に、男の人から「お姉ちゃんいくら?」って聞かれたこともありました。2人っきりのエレベーターの中で言われたので、すごく怖かったです。自分の好きな格好をしているだけですけど、見る人から見たらそういうイメージを持たれてしまうんだなって。でも、だからといって、自分にとって好きな見た目をしないという選択肢は私の中になかったですね。夫は「さっきの人すごく見てたよ。俺はもう耐えられない」と…35歳で突然ヤマンバギャルになった女性が語る、周囲の“強烈な反応” へ続く(「文春オンライン」編集部)
――うぬさんは「ヤマンバメイク」に目覚める前も、個性的なファッションや派手なメイクが好きだったのでしょうか。
うぬ 最初は目立つことに抵抗ありました。そもそも子どもの頃から外見だけではなく、中身の問題で目立つことも多かったんですよ。コミュニケーションが苦手で、人が傷つくようなことを平気で言ってしまったりして。
だからといって、「目立ちたい」という気持ちがあるわけではないんですけど、どこに行っても「変な子」っていうレッテルを貼られて目立ってしまうというか。それプラス外見も派手なので、さらに「変な子」だと思われていたでしょうね。
――ロリータファッションをしていた時期もあったんですよね。
うぬ ありました。藝大に入学する少し前だったと思うんですけど、憧れていたイラストレーターさんがロリータブランドのDMイラストを描いていたんです。自分も着てみたくて、洋服を買ったんですけど、外に行く勇気がなかなか出なくて。母に「これどうかな?」って聞いたら、「ダメじゃない」って言われたので、この格好で外に出ることは諦めていたんですけど、友達が「え、別にいいじゃん」って言ってくれて。それで吹っ切れて、外に出られるようになりました。
でも、外に出ると、やっぱりたくさんの心ない視線を受けました。目立つので後ろから何か言われたり、勝手に写真を撮られたり。「頭おかしいんじゃない」とか「気持ち悪」って野次を飛ばされたりもしました。
それこそ私、頭にウサ耳つけて歩いていたんですけど、いきなり見ず知らずの人からそのウサ耳を外されて投げられたこともありましたね。すごく怖かったです。でも、良くないことなんですけど、だんだんとそういう偏見にも慣れてくるんですよね。
――見た目が派手なだけで、たくさんの怖い思いをされてきたんですね。うぬ 昔、ロリータファッションをして一人で歩いていた時に、男の人から「お姉ちゃんいくら?」って聞かれたこともありました。2人っきりのエレベーターの中で言われたので、すごく怖かったです。自分の好きな格好をしているだけですけど、見る人から見たらそういうイメージを持たれてしまうんだなって。でも、だからといって、自分にとって好きな見た目をしないという選択肢は私の中になかったですね。夫は「さっきの人すごく見てたよ。俺はもう耐えられない」と…35歳で突然ヤマンバギャルになった女性が語る、周囲の“強烈な反応” へ続く(「文春オンライン」編集部)
――見た目が派手なだけで、たくさんの怖い思いをされてきたんですね。
うぬ 昔、ロリータファッションをして一人で歩いていた時に、男の人から「お姉ちゃんいくら?」って聞かれたこともありました。2人っきりのエレベーターの中で言われたので、すごく怖かったです。自分の好きな格好をしているだけですけど、見る人から見たらそういうイメージを持たれてしまうんだなって。でも、だからといって、自分にとって好きな見た目をしないという選択肢は私の中になかったですね。
夫は「さっきの人すごく見てたよ。俺はもう耐えられない」と…35歳で突然ヤマンバギャルになった女性が語る、周囲の“強烈な反応” へ続く
(「文春オンライン」編集部)