「神の国の実現を果たしたい」 萩生田氏の演説内容を元信者が証言

萩生田光一政務調査会長が先の参院選期間中、生稲晃子候補を伴い旧統一教会の関連施設を訪れていたことを「週刊新潮」8月25日号が報じたことを機に、萩生田氏と生稲氏への批判が噴出している。そんな中、萩生田氏と統一教会の関係を示す、新たな証言が――。
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【写真4枚】萩生田氏と“お友達”の統一教会幹部・入山聖基氏 萩生田氏は本誌(「週刊新潮」)8月25日号の発売から一夜明けた8月18日、自民党本部で記者団に囲まれた。まるで絵に描いたようなむくれ面だった。

本誌報道が皮切りとなり、萩生田氏と統一教会との濃厚な関係が明るみに。7月の参院選に向けて氏の地元・八王子市内の教会関連施設で信者らに生稲晃子氏の応援を依頼していた事実、かねて教団施設で繰り返し演説していた事実など、記事の内容についてもこの日、説明を求められたのである。生稲晃子氏、萩生田光一氏「萩生田氏はぶら下がり取材で改めて、生稲氏を伴って施設を訪ねたと認めました。新潮の報道までは“付き合う人の中にたまたまそういう関係者がいたかもしれない”などと言っていたわけで、うそが明白になった形です」(政治部記者) 自民党幹部も驚いたふうだ。「党の東京都連では萩生田さんが教会との窓口役だと長らく認識されています。選挙応援にかこつけた格好ですが、おニャン子クラブ出身の元アイドルを連れて行けば信者さんだって喜ぶ。つまりは自分の顔も立つようにしたのでしょう」「カメラから逃げ回り……」 知名度のある新人候補にも手を延ばそうとしていた教会。それに介添えした萩生田氏。ただならぬ仲が浮かぶばかりだが、政界とカルト教団との関係に批判が渦巻き、岸田内閣の支持率が低下する中、ご自身は窮地を悟ったようで、「カメラから逃げ回りましてね。一度など党本部での面談の日程をキャンセルし、わざわざ取材の場所を議員会館に変更した。会館の敷地内は撮影が許可されていませんから」(前出記者) その萩生田氏が一転、冒頭のごとく自民党本部でのぶら下がり取材に応じた。 調整に動いたのは懇意にするテレビ朝日の女性記者だという。「彼女は40代で政治部では美人で通っている。萩生田氏のお気に入りなのは公然の秘密といったところ。氏が官房副長官時代、テレ朝が組閣人事のネタを抜けたのは彼女のおかげだったといわれている」(全国紙政治部デスク) だが、ここでも逆風が。「他社から“そもそもテレ朝は幹事社でもないのに、なんで取りまとめをしてるんだ”と批判の声が上がった。また、彼女が萩生田氏と“質問は3問まで”と勝手に取り決めたため、激昂する社が現れた」(同)“神の国の実現を果たしたい” 結局、取り決めはウヤムヤにされたが、記者陣から四つ、五つと矢継ぎ早に質問が飛び、慌てて党職員が取材を打ち切る事態に。 時間は5分程度。萩生田氏は頻繁に教団施設を訪れていた事実や、選挙スタッフとして信者が働いていた点はなおも否定するなど、説明を尽くしたとは言い難い。 ここで、元信者の話に耳を傾けてみよう。「萩生田さんは落選中の2009年から12年にかけて、八王子市内の教会施設で水曜日の夜に開かれる集会によく顔を出してくれていたんです。集会では、はじめに教会長らから“自民党が政権を取らないと日本が滅ぶ”などという話があり、その後に萩生田さんが登壇します。“政治の世界でみなさまの代表として、神の国の実現を果たしたい”と力強く語ってくれていたのを覚えています」「もちろん、選挙の手伝いだってしました」 萩生田氏はカルト特有の言葉遣いにも通じていた。「教祖のお二人(文鮮明・韓鶴子夫妻)について“真の御父母(おふぼ)様”と言っていました。実際のお父さんやお母さんと区別するため、普段、教会員が使う言葉です。だから、みんなが萩生田さんは私たちの家族なんだなって思っていたんです」 そんな“家族”のために、信者たちも親身だった。「もちろん、選挙の手伝いだってしました。選挙事務所に行って、一般のボランティアの方々に交じって有権者への電話がけをするんです。ただし、自分たちが統一教会から来たことを別のスタッフに明かすのはタブーとされてました」 8月20日に放送されたTBS「報道特集」によると、ポスター貼りやウグイス嬢の仕事をさせられた信者もいたという。 ならば萩生田氏の釈明は、またもうそだったということになりはしまいか。 萩生田氏が語っていない真実は、まだ他にもある。 統一教会とその問題に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏が言う。「萩生田氏はフェイスブックを通じて、統一教会のある大幹部と今でも“友達”の関係にあるんです」偽装勧誘を主導 その幹部の名を入山聖基という。年齢は57歳。「入山氏はもともと、萩生田氏の地元・八王子の教会長でしたが、その後、出世しています。昨年11月、統一教会が運営するニュースサイトでは『伝道教育局の副局長』という肩書で紹介されている。『伝道教育』といっても、要は身分を隠して教会に人々を誘う“偽装勧誘”を主導する機関なのです」(鈴木氏) 萩生田氏はその“偽装勧誘”を司る、組織中枢の重要機関のナンバー2と「お友達」であるというわけだ。 さらにこの入山氏、他の教会幹部とゆめゆめ一緒にはできない。注目すべきは長女の嫁ぎ先である。「入山氏の長女は2020年2月、文鮮明の長男・文孝進の次男――つまりは教祖の孫に当たる男性――と『祝福結婚』しているのです。入山氏はかくて文一族と姻戚関係を持つにいたったわけで、当然、教団内でも比類なき栄誉を得たことになります」(同)「面識がない」という説明の矛盾 つまり、萩生田氏は文鮮明ファミリーと「お友達」でもあったことになる。参院選候補と教会へ頭を下げにいくなど、むしろ「やって当然のこと」だったか。 この点、萩生田氏に尋ねると、事務所から回答が。「はぎうだ光一名のフェイスブックアカウントは、広報活動の一環で事務所スタッフが管理しております。友達申請があったものについて、明らかないたずら・スパム・商業目的の申請と思われるもの以外は基本的に全て承認しております。その上でご指摘の人物(入山氏)に関して記憶にある限り面識はありません」 またも「そうとは知らなかった」のロジックで通す魂胆なのだろうが、そうは問屋が卸さない。 萩生田氏は八王子市内のホールで14年に開催された統一教会の講演会に出席したことを認めている。そのイベントの司会者は当時、八王子教会長だった入山氏その人なのである。そこで萩生田氏は紹介されて来賓あいさつまで行っているのだ。“一面識もない”というのはかなり無理があろう。創価学会からも怒りの声が 統一教会の霊感商法問題などに長年取り組んできた山口広弁護士が語る。「娘が文鮮明の孫と結婚したというのは、入山氏が韓国の統一教会本部からもかなり信用されていることを意味します。過去、日本で教団のトップをつ務めた人物の息子が文鮮明の孫娘と結婚したケースはありましたが、入山氏は国内でも重要な立場にいるのでしょう。そのような人物と政権与党の幹部が関係を持っているというのは、問題があると言わざるを得ません」 萩生田氏を取り巻く状況は厳しさを増している。「萩生田さんは09年の総選挙で落選したことからもわかるように、選挙に弱い。八王子は創価大学など創価学会の関連施設が多く、学会の大票田で、それをあてにして推薦をもらっているのが萩生田さん。でも今回の騒動で、公明党幹部や学会婦人部から“それほどまでに統一教会と陰でズブズブだったのか”と怒りの声が漏れている。次の選挙で学会票がどう動くのかが心配」(自民党関係者)政権支持率も急落 岸田政権についても支持率は急落。イメージ一新を狙った内閣改造直後にしては異例の低さだ。国民は、自民党と統一教会の関係は一向に解消されていないと見ており、もはや小手先の弁明や綱紀粛正の呼号などでしのげる段階ではない。 萩生田氏は先の党政調会長就任時の会見で、自身を「胆力がある」と自賛した。 ならば氏は、今こそ「胆力」を示して真実を語るべきではないか。「週刊新潮」2022年9月1日号 掲載
萩生田氏は本誌(「週刊新潮」)8月25日号の発売から一夜明けた8月18日、自民党本部で記者団に囲まれた。まるで絵に描いたようなむくれ面だった。
本誌報道が皮切りとなり、萩生田氏と統一教会との濃厚な関係が明るみに。7月の参院選に向けて氏の地元・八王子市内の教会関連施設で信者らに生稲晃子氏の応援を依頼していた事実、かねて教団施設で繰り返し演説していた事実など、記事の内容についてもこの日、説明を求められたのである。
「萩生田氏はぶら下がり取材で改めて、生稲氏を伴って施設を訪ねたと認めました。新潮の報道までは“付き合う人の中にたまたまそういう関係者がいたかもしれない”などと言っていたわけで、うそが明白になった形です」(政治部記者)
自民党幹部も驚いたふうだ。
「党の東京都連では萩生田さんが教会との窓口役だと長らく認識されています。選挙応援にかこつけた格好ですが、おニャン子クラブ出身の元アイドルを連れて行けば信者さんだって喜ぶ。つまりは自分の顔も立つようにしたのでしょう」
知名度のある新人候補にも手を延ばそうとしていた教会。それに介添えした萩生田氏。ただならぬ仲が浮かぶばかりだが、政界とカルト教団との関係に批判が渦巻き、岸田内閣の支持率が低下する中、ご自身は窮地を悟ったようで、
「カメラから逃げ回りましてね。一度など党本部での面談の日程をキャンセルし、わざわざ取材の場所を議員会館に変更した。会館の敷地内は撮影が許可されていませんから」(前出記者)
その萩生田氏が一転、冒頭のごとく自民党本部でのぶら下がり取材に応じた。
調整に動いたのは懇意にするテレビ朝日の女性記者だという。
「彼女は40代で政治部では美人で通っている。萩生田氏のお気に入りなのは公然の秘密といったところ。氏が官房副長官時代、テレ朝が組閣人事のネタを抜けたのは彼女のおかげだったといわれている」(全国紙政治部デスク)
だが、ここでも逆風が。
「他社から“そもそもテレ朝は幹事社でもないのに、なんで取りまとめをしてるんだ”と批判の声が上がった。また、彼女が萩生田氏と“質問は3問まで”と勝手に取り決めたため、激昂する社が現れた」(同)
結局、取り決めはウヤムヤにされたが、記者陣から四つ、五つと矢継ぎ早に質問が飛び、慌てて党職員が取材を打ち切る事態に。
時間は5分程度。萩生田氏は頻繁に教団施設を訪れていた事実や、選挙スタッフとして信者が働いていた点はなおも否定するなど、説明を尽くしたとは言い難い。
ここで、元信者の話に耳を傾けてみよう。
「萩生田さんは落選中の2009年から12年にかけて、八王子市内の教会施設で水曜日の夜に開かれる集会によく顔を出してくれていたんです。集会では、はじめに教会長らから“自民党が政権を取らないと日本が滅ぶ”などという話があり、その後に萩生田さんが登壇します。“政治の世界でみなさまの代表として、神の国の実現を果たしたい”と力強く語ってくれていたのを覚えています」
萩生田氏はカルト特有の言葉遣いにも通じていた。
「教祖のお二人(文鮮明・韓鶴子夫妻)について“真の御父母(おふぼ)様”と言っていました。実際のお父さんやお母さんと区別するため、普段、教会員が使う言葉です。だから、みんなが萩生田さんは私たちの家族なんだなって思っていたんです」
そんな“家族”のために、信者たちも親身だった。
「もちろん、選挙の手伝いだってしました。選挙事務所に行って、一般のボランティアの方々に交じって有権者への電話がけをするんです。ただし、自分たちが統一教会から来たことを別のスタッフに明かすのはタブーとされてました」
8月20日に放送されたTBS「報道特集」によると、ポスター貼りやウグイス嬢の仕事をさせられた信者もいたという。
ならば萩生田氏の釈明は、またもうそだったということになりはしまいか。
萩生田氏が語っていない真実は、まだ他にもある。
統一教会とその問題に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏が言う。
「萩生田氏はフェイスブックを通じて、統一教会のある大幹部と今でも“友達”の関係にあるんです」
その幹部の名を入山聖基という。年齢は57歳。
「入山氏はもともと、萩生田氏の地元・八王子の教会長でしたが、その後、出世しています。昨年11月、統一教会が運営するニュースサイトでは『伝道教育局の副局長』という肩書で紹介されている。『伝道教育』といっても、要は身分を隠して教会に人々を誘う“偽装勧誘”を主導する機関なのです」(鈴木氏)
萩生田氏はその“偽装勧誘”を司る、組織中枢の重要機関のナンバー2と「お友達」であるというわけだ。
さらにこの入山氏、他の教会幹部とゆめゆめ一緒にはできない。注目すべきは長女の嫁ぎ先である。
「入山氏の長女は2020年2月、文鮮明の長男・文孝進の次男――つまりは教祖の孫に当たる男性――と『祝福結婚』しているのです。入山氏はかくて文一族と姻戚関係を持つにいたったわけで、当然、教団内でも比類なき栄誉を得たことになります」(同)
つまり、萩生田氏は文鮮明ファミリーと「お友達」でもあったことになる。参院選候補と教会へ頭を下げにいくなど、むしろ「やって当然のこと」だったか。
この点、萩生田氏に尋ねると、事務所から回答が。
「はぎうだ光一名のフェイスブックアカウントは、広報活動の一環で事務所スタッフが管理しております。友達申請があったものについて、明らかないたずら・スパム・商業目的の申請と思われるもの以外は基本的に全て承認しております。その上でご指摘の人物(入山氏)に関して記憶にある限り面識はありません」
またも「そうとは知らなかった」のロジックで通す魂胆なのだろうが、そうは問屋が卸さない。
萩生田氏は八王子市内のホールで14年に開催された統一教会の講演会に出席したことを認めている。そのイベントの司会者は当時、八王子教会長だった入山氏その人なのである。そこで萩生田氏は紹介されて来賓あいさつまで行っているのだ。“一面識もない”というのはかなり無理があろう。
統一教会の霊感商法問題などに長年取り組んできた山口広弁護士が語る。
「娘が文鮮明の孫と結婚したというのは、入山氏が韓国の統一教会本部からもかなり信用されていることを意味します。過去、日本で教団のトップをつ務めた人物の息子が文鮮明の孫娘と結婚したケースはありましたが、入山氏は国内でも重要な立場にいるのでしょう。そのような人物と政権与党の幹部が関係を持っているというのは、問題があると言わざるを得ません」
萩生田氏を取り巻く状況は厳しさを増している。
「萩生田さんは09年の総選挙で落選したことからもわかるように、選挙に弱い。八王子は創価大学など創価学会の関連施設が多く、学会の大票田で、それをあてにして推薦をもらっているのが萩生田さん。でも今回の騒動で、公明党幹部や学会婦人部から“それほどまでに統一教会と陰でズブズブだったのか”と怒りの声が漏れている。次の選挙で学会票がどう動くのかが心配」(自民党関係者)
岸田政権についても支持率は急落。イメージ一新を狙った内閣改造直後にしては異例の低さだ。国民は、自民党と統一教会の関係は一向に解消されていないと見ており、もはや小手先の弁明や綱紀粛正の呼号などでしのげる段階ではない。
萩生田氏は先の党政調会長就任時の会見で、自身を「胆力がある」と自賛した。
ならば氏は、今こそ「胆力」を示して真実を語るべきではないか。
「週刊新潮」2022年9月1日号 掲載