世界に拡散で赤っ恥!シンガポールのカニ料理店VS日本人観光客トラブルの「お粗末すぎる中身」

「当店としては大変迷惑に思っています。こちらは最大限誤解のないように努力したのですが……」
こう嘆くのは、シンガポールの有名海鮮料理店チェーン「パラダイスグループ」クラーク・キー店の店員である。
シンガポール有数の観光エリアに同店が登場したのは数ヵ月前のこと。ところがオープン早々、カニ料理の値段をめぐって日本人観光客グループとレストラン側でトラブルが発生。現地警察を巻き込む事態にまで発展した。
騒動は現地メディアだけでなく、英字メディアにも広く報道され、日本でも有名インフルエンサーに取り上げられたことで、国際的なニュースとなって拡散した。現地取材で明らかになったのは、日本人の哀しき現状だ。
件(くだん)のトラブルが起きたのは今年8月。日本人観光客グループが店を訪れ、シンガポール名物のチリクラブ料理を食べたことに端を発する。会計時に約14万円を請求され、日本人観光客グループの女性が「店にカニをすすめられた際の値段が100gあたりの値段ということが十分に説明されていなかった。カニの総重量も知らされなかった」と抗議。このグループは警察にも通報したため、レストランのマネージャーが会計を10分の1以下となる1万円に値引きすることでその場を収めたという。
警察沙汰にまでなったことで、店の評判にかかわると判断したレストラン側は9月20日に自社のFacebook上に「このような不正確な主張に深く失望して」おり、「まるで当レストランの評判を落とすことを目的としているようだ」と投稿、監視カメラの映像写真付きで「公式見解」を発表した。
「公式見解」によれば、日本人観光客グループが注文した大型カニのアラスカンキングクラブは100gあたりの価格が約3000円であることを2度伝えたうえで、このカニの総重量が3.5kgであることを告知。誤認を防ぐため、調理前に生きたカニを丸ごとテーブルに運んだ際に、日本人観光客グループは写真を撮っていたという。
レストランのマネージャーが大幅値引きしたのは、客の一人が「支払う金がない」と言ったためだと「公式見解」は説明している。パラダイスグループはシンガポールで約50店舗、マレーシア、中国、インドネシアなどでもレストランを経営しており、今回問題となったクラーク・キー店は国際的にも有名な観光地のど真ん中にあり、観光客でいつも賑わっている。
実際に店を訪れてみると、シンガポール名物のカニを甘辛ソースで煮て、殻ごと食べる「チリクラブ」は絶品。観光客グループの主張通りなら「ぼったくられた」かのような印象に受け取れるが、「法令遵守が非常に厳しく求められるシンガポールの、しかも国際的な観光地の店舗でぼったくりはあり得ない」(現地に詳しい邦人)という主張のほうが真っ当に聞こえる。
冒頭の店員によれば、日本人観光客グループは川に面したテラス席で会食していた。「怒鳴ったり大声を出したりする感じではなかった」ものの、「一人の女性が強硬にクレームをつけていた」という。
メニューを見てみると、問題となったアラスカンキングクラブの値段は「シーズナルプライス(時価)」と書かれている。店員によると、「一般的によく注文されるのはマッドクラブという小さなサイズのカニで100gで約1100~1200円程度」で、「トラブルの時のアラスカンキングクラブの100gあたりの値段はこの2~3倍する」 という。
このトラブルが広く拡散された後、X(旧ツイッター)上では「日本の恥をさらすのはやめてほしい」、「シンガポールでグループでカニ食べたら一人2万円以上するのは常識」などと日本人観光客グループへの非難が相次いだ。シンガポール事情に詳しい邦人は以下のように話す。
「日本人観光客グループの『提示されたカニの価格が100g分の値段だと説明されなかった』という主張はおかしい。ここシンガポールで、大きなカニが数千円で食べられるわけがないですから。
会計の際に持ち合わせがないということを言っていたことを考えると『アジアの物価は日本より安い』という間違った先入観を持ってシンガポールに来たとしか思えない。シンガポールの物価は日本以上に高く、これが例えばタイだったとしても、昨今の円安でグループで入ればレストランの会計は数万円かかる。日本円はそこまで弱っています」
「失われた30年」で日本のランクは急落。過去の“成功体験”から、アジアなら安く旅行できる思い込むのは無知の極みである。せめて、これまで培った日本人の国際的信用を落とさないよう、正しいマナーや常識的な振る舞いぐらいは大切にしたいものだが……。