ミュー粒子の性質、現代物理学の標準理論から「大きくずれる」…国際チーム発表

【ワシントン=冨山優介】米フェルミ国立加速器研究所などの国際チームは10日、素粒子の一種「ミュー粒子」の性質が、現代物理学の基盤である「標準理論」の予測の一部から大きくずれているとの実験結果を発表した。
ずれが確定すれば、標準理論では想定されていない未知の粒子の存在を示す成果という。
ミュー粒子は磁力を持ち、質量は電子の約200倍と重い。実験では、同研究所内に設置したリング状の巨大磁石(直径14メートル)の内部にミュー粒子を送り、高速で回転させて磁力を測定した。標準理論に基づき予測されるミュー粒子の磁力と比べ、差が大きいことを確認した。
チームは2021年にも同様の実験結果を発表しているが、今回は19~20年に実施した実験のデータを追加し、極めて信頼性は高いという。25年に、さらにデータを増やした最終結果を公表する予定だ。
検証のために、別の実験方法でも同じ結果が測定されるか確認する必要がある。日本では、高エネルギー加速器研究機構が大強度陽子加速器施設「J―PARC」(茨城県東海村)で実験施設の建設を進めており、28年頃から測定を始める予定だ。
同機構の三部勉教授(素粒子物理学)の話「これまでにない精度の測定を実現した素晴らしい成果だ。ただ、標準理論に基づく理論値については異なる計算結果もある。今回の結果だけで標準理論のほころびを示すと結論づけることはできないものの、今後の研究の進展が期待される」