〈「家事も性行為もできたから」リアル後妻業の女、交際相手を次々に毒殺…筧千佐子死刑囚に男性たちがハマっていった背景〉から続く
凶悪犯罪を犯した死刑囚の中には、獄中結婚をする人もちらほらと存在する。多くの死刑囚と向かい合い取材してきた片岡健さんの新著『実録 死刑囚26人の素顔』(宝島社)から、2人の死刑囚と獄中結婚した女性のエピソードをお届けする。
【写真】死刑囚と獄中結婚を2回した、水海睦子さん
これまで3回の獄中結婚を経験した水海睦子さん 片岡健
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死刑囚は獄中で結婚したり、養子縁組したりして、姓が変わることがよくある。本書に登場する「寝屋川中1男女殺害事件」の犯人、山田浩二も死刑確定後、「水海浩二」という名前になった時期があったが、それも獄中結婚したためだった。
その相手の女性、水海睦子さんは山田だけではなく、死刑判決を受けた別の被告人とも結婚したことがある人だ。水海さんはなぜ、死刑囚たちと結婚したのか。本人に話を聞かせてもらった。
「私は過去に10回くらい刑務所に入り、この間に男性獄中者と3回結婚しました。疑似恋愛をすれば、獄中でのいやなことや辛いことから現実逃避できるんです」
首都圏で接客の仕事をしている睦子さんは、波乱の半生を包み隠さずにそう話した。山田と知り合ったのも服役中のことで、きっかけは私が雑誌『実話ナックルズ』2020年5月号に寄せていた山田との面会記を目にしたことだったという。
「刑務所にいた私は、暇つぶしの相手が欲しかったんです。片岡さんが書いた浩二の記事を見て、『この人なら、返事がすぐ来そうだ』と思って手紙を出したんです」
その記事は、山田が1回目の控訴取り下げが無効とされ、裁判が再開すると決まった際に大阪拘置所で面会した時のことを書いたものだ。山田が面会中は終始笑顔だったことをありのまま書いた記事だったが、山田に女性との出会いをもたらしたわけだ。
山田から返事はすぐ届き、睦子さんは文通するように。当初は楽しかったという。
「浩二の手紙はテンションが高いんです。刑務官の悪口をよく書いてきましたが、『ナントカ抹消業者』『ナントカちんかす野郎』などと色々言葉を作るのが上手かった。暇なので、そういう手紙が面白かったんです」
では、文通からどのように結婚に発展したのか。
「浩二が2回目の控訴取り下げをして、今度こそ死刑が確定するという状況になった中、『俺には時間がない』と結婚を求めてきたんです。社会に相手にされず、人生の大半を刑務所で過ごした浩二の境遇は自分と似ていて、放っておけないと思ったんです」
そんな思いで家族の反対を押し切り結婚したが、心が離れるまでは早かったという。
「浩二は手紙に男女の性器の絵ばかり描いてくるんです。しかも、リアルに描くからグロいんです。たまに事件について書いてきた時には、被害者の2人が夢に出てきて、友達のように仲良くしているなどと書いていた。『被害者のためにも自分は幸せにならないといけない』と言うなど、考え方におかしいところがありました」
山田への嫌悪感が募る中、睦子さんは実母が亡くなる不幸があった。その時に許せないことがあったという。
「母の死を浩二に手紙で伝えたら、返事の1、2枚目は『ご愁傷様です』『元気出してください』みたいな綺麗事を書いていました。でも、3枚目以降は下ネタやテレビの話が書かれていたんです」
怒った睦子さんはついに離婚に踏み切った。山田は死刑確定後、報道で「水海浩二死刑囚」として登場していたのに、途中から「溝上浩二死刑囚」になった。それは睦子さんと離婚後、養子縁組していた養母の女性の姓に改めたためだったのだ。
こうして山田との結婚生活を終えた睦子さんだが、その後にもう1人、死刑判決を受けた被告人と結婚している。その被告人は、山田(旧姓・松井)広志(49)。名古屋市で2017年、80代の夫婦を刺殺して財布を奪い、強盗殺人の罪により死刑判決を受けたが、獄中ですい臓ガンに侵され、裁判中に余命宣告されていた人物だ。
〈死刑囚と“獄中結婚”→スピード離婚→また別の死刑囚と結婚・死別…過去10回刑務所に入った女性が明かす、夫の最期「最後まで罪と向き合っていた」〉へ続く
(片岡 健/Webオリジナル(外部転載))