新入社員の約半数が「10年以内」に退職予定…働き続けない理由に男女で“明確な差”も? 理由を調査した企業に聞いた

転職が一般的になりつつあるなか、新入社員の約半数が「10年以内に退職予定」と考えていることが分かった。マイナビが運営する総合転職情報サイト「マイナビ転職」は8月4日、「新入社員の意識調査(2022年)」を発表。2022年に新卒入社した男女の新入社員800人を対象に、インターネット調査を実施していた。この調査で、「今の会社であと何年ぐらい働くと思いますか?」と尋ねたところ、28.3%が「3年以内に退職予定」と回答し、「10年以内に退職予定」は51.0%となった。

なお2021年に実施した調査でも、「3年以内に退職予定」が28.3%、「10年以内に退職予定」は51.0%で、前年との数字に変化はなかった。今の会社で働き続けない理由は男女で明確な差があらわれ、男性の上位3つは「転職でキャリアアップしていきたいから(33.9%)」「色々な会社で経験を積んでいきたいから(31.7%)」「給料がいまいちだから(29.4%)」と、自身のステップアップに関係する理由が多かった。一方、女性の上位3つは「ライフステージに合わせて働き方を変えたいから(43.6%)」「給料がいまいちだから(26.0%)」「色々な会社で経験を積んでいきたいから(22.9%)」となった。「今の会社であと何年ぐらい働くと思いますか?」の回答を“働きがいがあるかないか”で見ると、“働きがいがない人”は「1年未満」が約3割(28.0%)、「3年以内」が6割(63.9%)を超え、圧倒的に勤続希望が低い結果に。一方、“働きがいがある人”では「定年まで」が2割(22.5%)を超えていたものの、「3年以内」(20.2%)や「4~5年ぐらい」(15.2%)もスコアが極端に低いわけではないことも分かっている。終身雇用制度の見直しや意識の変化がいわれる中で、新入社員の約半数が「10年以内に退職予定」と答えた今回の調査結果を踏まえ、企業は新入社員と、どのように向き合っていけばいいのか?「マイナビ転職」の担当者に話を聞いた。「転職することに抵抗が少なくなっている」――新入社員のうち、今の会社を「3年以内に退職予定」と答えた割合と、「10年以内に退職予定」と答えた割合は前年から横ばい。この結果はどのように受け止めている?おおむね予想通りと受け止めております。――“横ばい”の理由としてはどのようなことが考えられる?若い世代を中心に、自分のライフステージやキャリアステージに合わせて、仕事を変えていくというキャリア観に変化してきており、転職することに抵抗が少なくなっていると考えられます。――今の会社で働き続けない理由は男女で明確な差があらわれた。理由として考えられることは?女性は、入社時点で結婚・出産後も仕事を続けていくことを考え、先輩の働き方などを見て、「今の職場で可能か」をシビアに見ていて、結果、難しいと感じていることが分かります。男性は、ライフステージの変化をあまり想定しておらず、キャリアや待遇面を重視しているためです。――働きがいがない人は「1年未満に退職意向」が約3割、「3年以内に退職意向」が6割超。働きがいは勤続年数と関係がある?はい。今回の調査では、働きがいを感じていない新入社員は退職意向が高い、と考えられる結果になりました。――働きがいを持てる環境は、どのようにつくればいい?働きがいがない人はコミュニケーション不足の傾向があることも分かりました。「ありがとう」「助かったよ」などの声がけを普段から実施することから始めると良いと考えます。また、むやみに声をかけるのではなく、相手をよく見て、褒めるポイントを探すのが重要です。そうすることで、一人の人間として尊重しているということが伝わり、心理的安全性の確保やモチベーションの醸成に繋がります。さらに、自身が成長できる環境かどうか、ということも重要と考えます。上司からの定期的なフィードバックや評価軸の共有などはもちろん、対話を通して自分でも振り返りをする習慣をつけさせるなど、学びや気付きに通じる力を育ててあげると、働きがいにつながると考えます。「一定数の離職はやむを得ないと考える」――働きがいがある人でも「3年以内に退職意向」や「4~5年ぐらいの退職意向」の割合が極端に低いわけではない。働きがいがあっても転職を考えるのはなぜ?不満や不安など、退職しなければいけないネガティブな理由だけでなく、「ライフステージやキャリアステージ、やりたいことの変化に合わせて仕事を変えていく」というキャリア観が一定数、浸透しているからだと思います。――今回の調査結果を踏まえ、企業は新入社員と、どのように向き合っていけばよい?どんなにいい会社でも「合う・合わない」はあるので、一定数の離職はやむを得ないと考えます。ただ、誰しも、「今の職場で働き続けるか」を考えるタイミングがくると予想し、その時に「今の会社で働き続けたい」と思えるような働きがいを醸成しておくことが重要です。また、働きがいは社員の離職を防ぐためだけではなく、モチベーションや成果にもつながるので、新入社員が「働きがい」を感じられる環境を整えることは大事だと考えます。今回の調査結果が示した、「自分のライフステージやキャリアステージに合わせて、仕事を変えていく」という若い世代のキャリア観。このような考えの新入社員に対し、企業側は今後、「一定数の離職はやむを得ない」という考えを前提に向き合っていく必要があるのかもしれない。
転職が一般的になりつつあるなか、新入社員の約半数が「10年以内に退職予定」と考えていることが分かった。
マイナビが運営する総合転職情報サイト「マイナビ転職」は8月4日、「新入社員の意識調査(2022年)」を発表。2022年に新卒入社した男女の新入社員800人を対象に、インターネット調査を実施していた。
この調査で、「今の会社であと何年ぐらい働くと思いますか?」と尋ねたところ、28.3%が「3年以内に退職予定」と回答し、「10年以内に退職予定」は51.0%となった。
なお2021年に実施した調査でも、「3年以内に退職予定」が28.3%、「10年以内に退職予定」は51.0%で、前年との数字に変化はなかった。
今の会社で働き続けない理由は男女で明確な差があらわれ、男性の上位3つは「転職でキャリアアップしていきたいから(33.9%)」「色々な会社で経験を積んでいきたいから(31.7%)」「給料がいまいちだから(29.4%)」と、自身のステップアップに関係する理由が多かった。
一方、女性の上位3つは「ライフステージに合わせて働き方を変えたいから(43.6%)」「給料がいまいちだから(26.0%)」「色々な会社で経験を積んでいきたいから(22.9%)」となった。
「今の会社であと何年ぐらい働くと思いますか?」の回答を“働きがいがあるかないか”で見ると、“働きがいがない人”は「1年未満」が約3割(28.0%)、「3年以内」が6割(63.9%)を超え、圧倒的に勤続希望が低い結果に。
一方、“働きがいがある人”では「定年まで」が2割(22.5%)を超えていたものの、「3年以内」(20.2%)や「4~5年ぐらい」(15.2%)もスコアが極端に低いわけではないことも分かっている。
終身雇用制度の見直しや意識の変化がいわれる中で、新入社員の約半数が「10年以内に退職予定」と答えた今回の調査結果を踏まえ、企業は新入社員と、どのように向き合っていけばいいのか?「マイナビ転職」の担当者に話を聞いた。
――新入社員のうち、今の会社を「3年以内に退職予定」と答えた割合と、「10年以内に退職予定」と答えた割合は前年から横ばい。この結果はどのように受け止めている?
おおむね予想通りと受け止めております。
――“横ばい”の理由としてはどのようなことが考えられる?
若い世代を中心に、自分のライフステージやキャリアステージに合わせて、仕事を変えていくというキャリア観に変化してきており、転職することに抵抗が少なくなっていると考えられます。
――今の会社で働き続けない理由は男女で明確な差があらわれた。理由として考えられることは?
女性は、入社時点で結婚・出産後も仕事を続けていくことを考え、先輩の働き方などを見て、「今の職場で可能か」をシビアに見ていて、結果、難しいと感じていることが分かります。
男性は、ライフステージの変化をあまり想定しておらず、キャリアや待遇面を重視しているためです。
――働きがいがない人は「1年未満に退職意向」が約3割、「3年以内に退職意向」が6割超。働きがいは勤続年数と関係がある?
はい。今回の調査では、働きがいを感じていない新入社員は退職意向が高い、と考えられる結果になりました。
――働きがいを持てる環境は、どのようにつくればいい?
働きがいがない人はコミュニケーション不足の傾向があることも分かりました。
「ありがとう」「助かったよ」などの声がけを普段から実施することから始めると良いと考えます。また、むやみに声をかけるのではなく、相手をよく見て、褒めるポイントを探すのが重要です。そうすることで、一人の人間として尊重しているということが伝わり、心理的安全性の確保やモチベーションの醸成に繋がります。
さらに、自身が成長できる環境かどうか、ということも重要と考えます。上司からの定期的なフィードバックや評価軸の共有などはもちろん、対話を通して自分でも振り返りをする習慣をつけさせるなど、学びや気付きに通じる力を育ててあげると、働きがいにつながると考えます。
――働きがいがある人でも「3年以内に退職意向」や「4~5年ぐらいの退職意向」の割合が極端に低いわけではない。働きがいがあっても転職を考えるのはなぜ?
不満や不安など、退職しなければいけないネガティブな理由だけでなく、「ライフステージやキャリアステージ、やりたいことの変化に合わせて仕事を変えていく」というキャリア観が一定数、浸透しているからだと思います。
――今回の調査結果を踏まえ、企業は新入社員と、どのように向き合っていけばよい?
どんなにいい会社でも「合う・合わない」はあるので、一定数の離職はやむを得ないと考えます。ただ、誰しも、「今の職場で働き続けるか」を考えるタイミングがくると予想し、その時に「今の会社で働き続けたい」と思えるような働きがいを醸成しておくことが重要です。
また、働きがいは社員の離職を防ぐためだけではなく、モチベーションや成果にもつながるので、新入社員が「働きがい」を感じられる環境を整えることは大事だと考えます。
今回の調査結果が示した、「自分のライフステージやキャリアステージに合わせて、仕事を変えていく」という若い世代のキャリア観。このような考えの新入社員に対し、企業側は今後、「一定数の離職はやむを得ない」という考えを前提に向き合っていく必要があるのかもしれない。