8月、神戸市のマンションのエレベーター内で女性が見知らぬ男にナイフで複数回刺され殺害される事件が起きた。この事件をきっかけに、ネット上では“護身用グッズ”に関する投稿が相次いでいる。
事件が報じられる中、SNSで女性たちに、こう呼びかける投稿があった。
「エレベーターに後から乗ってこられても片手に常備しておくだけで安心感が違うから、催涙スプレーを女性全員に持ち歩いてほしい」という内容。
投稿はまたたく間に拡散し、さまざまな意見が飛び交った。
「催涙スプレーが最適な自衛策だと思う」「法に触れる可能性もあるらしいが、殺されるよりマシ」「ここだけの話、私持ち歩いています」
護身用の代表的なアイテム・催涙スプレー。いざというとき、相手の視界を妨げ、一時的に行動を制限することができる。
持ち歩くことについて、街で聞いてみると…。
「持ってほうが安心ではあるよなと思う」「(今は)持ってないけど、これから危ないことが多くなるみたいにネットで言われてるから、購入を考えてる」「危険な目に遭ったら、持つようになるかも。使い方講習とか、学校であったらいいのに」
今後、購入を検討している人も多いようだった。
東京・秋葉原にある護身用品店を訪れると…。
店内にはさまざまな護身アイテムが並んでるが、護身用スプレーを買う人は増えているのか?
アキバガレージ・鈴木隆太店長:年々需要は増えています。以前は(月に)100~150件ぐらいですかね。それの倍になったと思います。
護身用品全体の売れ行きが伸びているが、中でも護身用スプレーは2倍以上の売れ行きだという。
最近では、このようなオシャレな“リップスティック型”の護身用スプレーも…。女性に人気で現在、品切れ状態だという。
アキバガレージ・鈴木隆太店長:女性が主なんですけど、それに付随して男性が買われるケースというのもございます。(女性への)プレゼントだったり、家族に娘さんに渡すケースが多いと思います。
この護身用スプレー、そもそも持ち歩くことに問題はないのか?
弁護士法人ユア・エース 正木絢生 代表弁護士:例えば、これまでに夜道で危険なことがあったことがあるような方ですとか、防犯目的で催涙スプレーを持ち歩いていたような場合には、正当な理由があるというふうに判断する余地はあるかなと思います。(ただ)状況によっては、正当な理由には含まれないと解釈される可能性があるので、注意が必要かなと思う。
明確な規定はないものの、状況によっては法に触れる可能性もあるため、持ち歩く理由を説明できるようにしておくことが必要だという。
では、護身用スプレー以外には自分の身を守るために、街の人たちはどのような自衛策をしているのか?
「一人で歩くときはなるべく明るい道を通る。明るいお店に入るとかする」「スマホでしゃべってるふりする。私はこうやって普通に『そうなん?やばいやん』みたいな感じにしている」「怖い時は歌うたいながら、さっそうと歩いたりする。家族、一緒に住んでる人と位置情報共有したりしている」
また、護身用品店の鈴木店長に聞いてみると…。
アキバガレージ・鈴木隆太店長:防犯ブザーであれば、注意を促すという意味で周りに人けがないとか、そういう時とか警戒しながら鳴らすとかですね。
さらに、危害を加える可能性がある相手の目をくらます効果がある「フラッシュライト」も、逃げる時間稼ぎになるため有効なアイテムだという。
危険な目に遭わないために、護身用品とともに自衛策が抑止力になりそうだ。(「イット!」9月4日放送より)