国立国際医療研究センター病院も「溶連菌」への注意を呼びかけている(写真・時事通信)
相変わらず感染拡大を続ける新型コロナウイルス。しかしこのところ、SNSでこのような書き込みが目立っている。
《喉の痛み微熱があるので、病院行った コロナは陰性 血液検査したら、溶連菌…子供がなるやつじゃないのん???》
《昨日の仕事終わりからなんか体調がおかしいなと思っていたら今日になって熱が出て、こんな短期間でコロナ2回なんてある!?などと思いながら病院に行っていろいろ検査してもらった結果溶連菌でした。踏んだり蹴ったりだ……》
《うちの子も高熱で喉痛いって、抗原検査しましたが陰性、結局、溶連菌でした。コロナに過敏になりすぎて、コロナじゃないほかの可能性で検査するの忘れがちみたいですよ》
コロナに感染したかと思ったら、溶連菌だった、というのだ。
「溶連菌とは『溶血性連鎖球菌』の略称で、鼻やのどの粘膜、扁桃腺などに感染することが多いとされています。代表的な症状は、38~39℃程度の発熱、のどの痛み。そのほか、全身の倦怠感、頭痛や腹痛、首のリンパ節の腫れなどがあるケースも。新型コロナウイルスのオミクロン株の症状とは、発熱やのどの痛み、倦怠感などが同じなので、どちらか分からないというのも当然でしょう」(医療ライター)
溶連菌感染症が多いとされるのは子どもだが、非常に感染力が強く、大人が感染することも少なくない。
「例年だと、溶連菌感染症のピークは2回あり、冬と、春から夏にかけてです。ただ、2020年以降はコロナ禍により、事情が大きく変わり、溶連菌感染症は激減しています。マスク生活になり、おもな感染経路である飛沫感染が少なくなったからだとみられています」(前出・医療ジャーナリスト)
ならば、なぜここにきて、SNSでの「溶連菌」の書き込みが増えたのだろうか。
「はっきりした数字には出ていませんが、このところ溶連菌が多いという話は、いくつかのクリニックで聞いています。溶連菌だけでなく『手足口病』も同様に増えているそうです。手足口病は、子供を中心に、おもに夏に流行し、発熱の症状が出ることがあります。
新型コロナウイルスの第7波が収束傾向にあり、発熱外来でもコロナの陽性率が下がってきていますが、その分、溶連菌や手足口病の割合が増えているということのようです。コロナ禍においては、発熱やのどの痛みなど溶連菌と似た症状が出ていても、溶連菌の検査をおこなわなかったというケースも多かったと聞いています。溶連菌が、医療逼迫の一因となった可能性もあるでしょう」(前出・医療ジャーナリスト)
国立研究開発法人・国立国際医療研究センター病院は、2021年6月に「新型コロナの影に隠れる意外な感染症 油断大敵!大人の『溶連菌』はつらい症状に」というニュースリリースを出し、注意を呼び掛けている。リリースには、半数以上の人が溶連菌を知らず、重症化や合併症の危険性があることなども指摘されている。
コロナも溶連菌も、感染予防は「手洗い」と「密集した場所を避ける」こと。基本は同じだ。