回転寿司チェーン「スシロー」の岐阜店内の店舗で、少年が共用のしょうゆ差しの注ぎ口や湯呑みをペロペロと舐める動画が拡散した問題。運営会社の「あきんどスシロー」が少年側に約6700万円の損害賠償を求めた訴訟が起こされたことが報じられたが、同訴訟で、スシロー側は損害賠償請求額を増やすことがわかった。訴状の中でその方針が記されていた。
【写真24枚/若い女性も迷惑動画】スシローでは甘ダレに醤油を入れた女性も。加工が外れ、顔が見えたシーン 少年側は請求棄却を求める答弁書を提出しており、迷惑行為は認めた上で「回転寿司業界は競争が激しく、現場となった店舗の立地を踏まえると、客の減少の原因は同業他店との競合も考えられる」と主張している。
事件の発端となった動画は、1月29日頃、SNSに投稿された。金髪の少年が醤油ボトルを舐めたり、積み上げられた湯呑みを手に取りペロペロと飲み口を舐め回し、再び元の位置に戻す様子が映っていた。 この動画が大きく報じられて社会問題になった直後、スシロー側に対して少年と保護者から連絡があり、1月31日に面会して謝罪が行われていた。しかし、スシローは警察へ被害届を提出しており、被害届は取り下げず、「刑事、民事の両面から厳正に対処してまいります」とコメントしていた。 少年の父親は「週刊ポスト」の取材に応じ、謝罪に行った事実を認めた上で、本人の様子について「もうすごく……反省しているというか…」と涙ながらに語っていた。父親は記者の目をしっかり見ながら話し、実直な性格であることが窺えた。 だが、謝罪と反省では済まされなかったのが現実だった。スシローは約6700万円の損害賠償請求額は損失の一部に過ぎず、再発防止策として全国の郊外店舗にテーブル席とレーンの間にアクリル板の設置を進めていることから、訴状の中で「今後、9300万円程度の損害が生じる見込みで、損害の発生を踏まえて請求を拡張する予定」と主張している。 東京都内で民事案件を中心に手掛けるベテラン弁護士は「スシロー側の本気度が伝わってくる」として、こう解説する。「訴訟は、損害賠償請求額に応じて費用が変わってきます。例えば6700万円の請求なら印紙代だけで約22万円。弁護士費用は事務所との契約内容によりますが、着手金だけでも、3000万円以上の請求訴訟の一般的相場である『請求額×3%+α』で考えると、200万円以上となる計算です。これが請求額を仮に1億円に増額すると、追加の印紙代と着手金だけでさらに100万円以上の負担増になってもおかしくありません。 判例から考えると、判決で請求が全額認められることは考えにくく、スシロー側は同種の迷惑行為への抑止効果も狙って巨額請求をしているのでしょう。実際に取れる金額次第では、スシローは訴訟費用とトントンになる可能性がある。それでも増額する方針を示しているのは、本気で飲食業界への迷惑行為をなくしたいという意思の表れだと思います」 訴訟の行方が注目される。
少年側は請求棄却を求める答弁書を提出しており、迷惑行為は認めた上で「回転寿司業界は競争が激しく、現場となった店舗の立地を踏まえると、客の減少の原因は同業他店との競合も考えられる」と主張している。
事件の発端となった動画は、1月29日頃、SNSに投稿された。金髪の少年が醤油ボトルを舐めたり、積み上げられた湯呑みを手に取りペロペロと飲み口を舐め回し、再び元の位置に戻す様子が映っていた。
この動画が大きく報じられて社会問題になった直後、スシロー側に対して少年と保護者から連絡があり、1月31日に面会して謝罪が行われていた。しかし、スシローは警察へ被害届を提出しており、被害届は取り下げず、「刑事、民事の両面から厳正に対処してまいります」とコメントしていた。
少年の父親は「週刊ポスト」の取材に応じ、謝罪に行った事実を認めた上で、本人の様子について「もうすごく……反省しているというか…」と涙ながらに語っていた。父親は記者の目をしっかり見ながら話し、実直な性格であることが窺えた。
だが、謝罪と反省では済まされなかったのが現実だった。スシローは約6700万円の損害賠償請求額は損失の一部に過ぎず、再発防止策として全国の郊外店舗にテーブル席とレーンの間にアクリル板の設置を進めていることから、訴状の中で「今後、9300万円程度の損害が生じる見込みで、損害の発生を踏まえて請求を拡張する予定」と主張している。
東京都内で民事案件を中心に手掛けるベテラン弁護士は「スシロー側の本気度が伝わってくる」として、こう解説する。
「訴訟は、損害賠償請求額に応じて費用が変わってきます。例えば6700万円の請求なら印紙代だけで約22万円。弁護士費用は事務所との契約内容によりますが、着手金だけでも、3000万円以上の請求訴訟の一般的相場である『請求額×3%+α』で考えると、200万円以上となる計算です。これが請求額を仮に1億円に増額すると、追加の印紙代と着手金だけでさらに100万円以上の負担増になってもおかしくありません。
判例から考えると、判決で請求が全額認められることは考えにくく、スシロー側は同種の迷惑行為への抑止効果も狙って巨額請求をしているのでしょう。実際に取れる金額次第では、スシローは訴訟費用とトントンになる可能性がある。それでも増額する方針を示しているのは、本気で飲食業界への迷惑行為をなくしたいという意思の表れだと思います」
訴訟の行方が注目される。