《36人が死亡、32人が重軽傷を負った令和元年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第6回公判が14日、京都地裁で開かれた。
弁護側による4日目の被告人質問が行われ、被告の口から放火事件当日の詳細が語られた》
弁護人「放火事件を起こすことを決めたのは京都に行く前か、後か」
被告「えーと、京都に行く前になります」
《青葉被告は事件3日前の元年7月15日に自宅のあったさいたま市から新幹線で京都入りした》
弁護人「決めた内容はガソリンをまいて火をつけるということ」
被告「そうなります」
弁護人「(放火1カ月前に実行しようとした、大宮駅での無差別殺傷事件では)メッセージ性があるようにしたと。誰かに対するメッセージ」
被告「(闇の人物で)ナンバー2と呼ばれる人」
弁護人「どういうメッセージを」
被告「付け狙ったりすることはやめてくれというようなメッセージ性」
弁護人「自分に対して関わることはやめてほしいと」
被告「そうなります」
弁護人「なぜ京アニへの放火がナンバー2へのメッセージになるのか」
被告「(京アニ大賞の落選を)手回ししたのはナンバー2と考えています。そういう関連性から」
弁護人「最後のきっかけは」
被告「原稿を落とされたりパクられたり、そういったことから根に持つことが多かった。最後に狙いたいというので、京アニがあがったというのが本音」
弁護人「小説の落選は最終的なきっかけとなったのか」
被告「かなり大きなきっかけ、転機になったのは間違いない」
弁護人「平成30年11月の『ツルネ』を見たのが最後のきっかけ」
被告「それはそうなります」
《青葉被告が自身の小説の盗用だと主張する京アニ作品の一つが、「ツルネ―風舞高校弓道部―」。登場人物が割り引きの肉を買うシーンについて、青葉被告の小説に割り引きの総菜を買うシーンがあるため、「パクられた」と訴えている》
《新幹線の車内で自身の人生を振り返っていたという被告。京都に着くと犯行準備を本格化させる》
弁護人「京都に着いて何を」
被告「まず下見をしようと」
弁護人「何のための」
被告「やはり火を付けるための」
弁護人「その時考えていた火の付け方は」
被告「やはりガソリンをまくこと」
弁護人「京都の地理には詳しくない。駅員に道を尋ねなかったのか」
被告「やろうとしていることが良からぬことなので、人との接触は最小限にしようと考えていた」
《この日は京都駅近くのホテルで宿泊。翌日、駅近くのインターネットカフェで第1スタジオやホームセンターの場所を調べる》
弁護人「第1スタジオは見つかった」
被告「見つかった。(第1スタジオに近い)六地蔵駅まで向かった。川の堤防から見下ろすと第1スタジオが小さく見えるので、目星を付けてスタジオに向かった記憶があります」
《ホームセンターの場所も確認した上で、ホテルに戻る》
弁護人「寝れたか」
被告「いえ。隣の部屋の物音で」
弁護人「ほかに理由は」
被告「やはり、良からぬことをするので、熟睡できるほど神経が太くないので寝られなかった」
《事件前日。ホテルを出た被告はホームセンターへ向かい、事件で使用するガソリンの携行缶や着火剤、台車などを購入する》
弁護人「台車はなぜ」
被告「もう電車は使えないだろうと。ガソリンの携行缶に何も入っていないとはいえ、危険物に見えるものを持って電車には乗れないだろうと判断した」
《所持金が減り、事件前日は第1スタジオ近くの公園で野宿する》
弁護人「公園で何を」
被告「ぼーっとしていた。直近10年間についていろいろ考えていた」
弁護人「寝れた」
被告「寝ておりません」
《平成以降の殺人事件で最悪の犠牲者が出た元年7月18日を迎える。ガソリンを購入し、第1スタジオへ向かう》
弁護人「ガソリンスタンドの店員とのやりとりは」
被告「そこまで細かいことは覚えていない」
弁護人「スタジオ近くに着いて何を」
被告「ガソリン携行缶を乗せた台車を置いて考えた」
弁護人「何を」
被告「やるというのが好ましいことではないので。(平成20年の秋葉原無差別殺傷事件の元死刑囚も)事件を起こす前に考えたようです。自分もそういうものを実行するかどうかについては考えました。郵便局をクビになり、刑務所に入り、小説をたたき落とされたり、パクられたりした。振り返って考えたときに、どうしても許せなかったのが京都アニメーションだった」
《第1スタジオの入り口に侵入可能か下見した上で、ガソリンを持って現場に入る》
被告「(第1スタジオの)ドアを開けて入り、それでガソリンをまいた記憶がある」
弁護人「ガソリンをまくまでに見えた物は」
被告「1人、入り口近くで作画をしている人。奥のほうで女性2人が『何?何?』と言っていた」
弁護人「ほかには」
被告「それ以外は覚えていません」
弁護人「人ではなく物は」
被告「物に関しては覚えていない」
弁護人「ガソリンはどういうふうにまいた」
被告「右手で振り上げるような感じで」
《実際に右手を上げ下げしながら答える》
弁護人「その後は」
被告「すぐに火を付けた記憶があります」
弁護人「直後の様子は」
被告「周りの人も『何だ何だ』という感じだった。入ってから火を付けるまで30秒くらいかかった。周りの人も何をしているかわからないし、自分もすぐに出た」
弁護人「火を付けた後は」
被告「即座に逃げようと、すぐ外に出た。自分にも火が付いていた。地面に寝転がって消した記憶があります。救急車に乗せられ、病院で麻酔を打たれたのが最後の記憶」
弁護人「(初公判の罪状認否で)『今はやり過ぎたと思っています』と話したが、当時はどう思っていた」
被告「パクったり、そういうのをやめさせるためには事務所というか、スタジオ一帯を潰さなきゃいけないと思った」
《青葉被告は罪状認否で起訴内容を認めつつ、「事件当時はこうするしかないと思い事件を起こしたが、こんなにたくさんの人が亡くなるとは思っていなかった。やり過ぎたと思っています」と述べていた》
弁護人「確認だが今回の事件は、(闇の人物)ナンバー2へのメッセージと京アニも許せなかった」
被告「そうなります」
《7日から4回の期日にわたって行われた弁護側の被告人質問が終了。次は、検察側が質問する》