成田空港で地上業務を担う従業員の人手不足が深刻化している。新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ運航便数が急速に回復し、仕事が増えているためだ。航空各社は採用の拡大に加え、他の空港に勤める社員の応援をもらったり、退職者に復職してもらったりとあの手この手の策で乗り切ろうとしている。【中村宰和】
成田空港、年末年始の出入国者数は2年前の15倍 5日午後の成田空港で、全日本空輸の地上係員、松本洋二さん(51)がフィリピン・マニラから到着したばかりの旅客機の積み荷を降ろしていた。旅客の手荷物や郵便物を手際よくベルトコンベヤーを備えた特殊車両に載せた後、車を運転して所定の場所まで移動させた。
松本さんの本来の所属は中部空港(愛知県常滑市)だ。だが、成田空港の人繰りが逼迫(ひっぱく)していることを受け、2022年4月から長期応援で成田に来ている。「中部と比べ空港の規模が大きいことで当初は不安だったが、作業にも慣れてきた。中部で培ったスキルは通用する」と笑顔を見せる。 成田空港にはいま、松本さんのような応援職員が増えている。航空需要が急速に回復しているからだ。 20年に新型コロナの感染拡大が起きると、航空各社は大幅な減便や運休に踏み切った。業務量が減ったため、一部の社員を企業や自治体に出向させた他、新規採用も凍結。業績悪化による給与カットもあり、航空業界の先行きに対する不安などから離職者も増えた。全日空グループの場合、20年度に4万6580人いた従業員が21年度には4万2196人まで減った。 だが、22年に入ると、政府が水際対策を緩和するなど潮目が変わった。国際線の運航便数が回復し、航空貨物の需要も好調なことから、逆に人手不足感が出てきた。現場からは「ギリギリの状態で回っている」との声も漏れ始めた。 事態の変化を受け、全日空は22年4月以降、中部空港や関西空港などから約300人の業務応援を受けている。また、他企業や自治体に出向させていた計2300人の社員の7割以上を呼び戻した。 日本航空も他空港から職員の応援を受けた。更に成田や羽田の地上旅客係員の新卒採用を3年ぶりに再開した他、成田や羽田などで荷物の搬入や積み下ろしを担う地上係員の採用数も22年度は19年度の3倍に当たる約300人に増やす。格安航空会社のジェットスター・ジャパンは、コロナ禍で希望退職に応じた社員に呼びかけ、復職してもらっている。 「働き方改革」を進めることで、地上業務の従業員を増やそうという動きも。日航傘下の格安航空会社「ZIPAIR Tokyo」で成田空港のチェックインカウンターに立つ小野村菜那さん(25)は本来は客室乗務員だ。だが、2月以降は本業に加え、地上旅客係員、動画制作などの企画職の仕事を掛け持ちする。 同社は客室乗務員が妊娠すると、負担軽減などのために地上職へと配置転換させる仕組みを導入している。さまざまな働き方ができることをアピールするのが最大の狙いだが、需要の変動に柔軟に対応できる体制づくりにもつなげたい考えだ。
5日午後の成田空港で、全日本空輸の地上係員、松本洋二さん(51)がフィリピン・マニラから到着したばかりの旅客機の積み荷を降ろしていた。旅客の手荷物や郵便物を手際よくベルトコンベヤーを備えた特殊車両に載せた後、車を運転して所定の場所まで移動させた。
松本さんの本来の所属は中部空港(愛知県常滑市)だ。だが、成田空港の人繰りが逼迫(ひっぱく)していることを受け、2022年4月から長期応援で成田に来ている。「中部と比べ空港の規模が大きいことで当初は不安だったが、作業にも慣れてきた。中部で培ったスキルは通用する」と笑顔を見せる。
成田空港にはいま、松本さんのような応援職員が増えている。航空需要が急速に回復しているからだ。
20年に新型コロナの感染拡大が起きると、航空各社は大幅な減便や運休に踏み切った。業務量が減ったため、一部の社員を企業や自治体に出向させた他、新規採用も凍結。業績悪化による給与カットもあり、航空業界の先行きに対する不安などから離職者も増えた。全日空グループの場合、20年度に4万6580人いた従業員が21年度には4万2196人まで減った。
だが、22年に入ると、政府が水際対策を緩和するなど潮目が変わった。国際線の運航便数が回復し、航空貨物の需要も好調なことから、逆に人手不足感が出てきた。現場からは「ギリギリの状態で回っている」との声も漏れ始めた。
事態の変化を受け、全日空は22年4月以降、中部空港や関西空港などから約300人の業務応援を受けている。また、他企業や自治体に出向させていた計2300人の社員の7割以上を呼び戻した。
日本航空も他空港から職員の応援を受けた。更に成田や羽田の地上旅客係員の新卒採用を3年ぶりに再開した他、成田や羽田などで荷物の搬入や積み下ろしを担う地上係員の採用数も22年度は19年度の3倍に当たる約300人に増やす。格安航空会社のジェットスター・ジャパンは、コロナ禍で希望退職に応じた社員に呼びかけ、復職してもらっている。
「働き方改革」を進めることで、地上業務の従業員を増やそうという動きも。日航傘下の格安航空会社「ZIPAIR Tokyo」で成田空港のチェックインカウンターに立つ小野村菜那さん(25)は本来は客室乗務員だ。だが、2月以降は本業に加え、地上旅客係員、動画制作などの企画職の仕事を掛け持ちする。
同社は客室乗務員が妊娠すると、負担軽減などのために地上職へと配置転換させる仕組みを導入している。さまざまな働き方ができることをアピールするのが最大の狙いだが、需要の変動に柔軟に対応できる体制づくりにもつなげたい考えだ。