安倍元首相銃撃から3年 「こんなに距離が」演説風景は様変わり 神奈川県警「ローンオフェンダー」への警戒強化

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参院選の応援演説中に安倍晋三元首相が銃撃された事件から、8日で3年が経過した。県警は事件以降、要人警護を大幅に強化。今回の参院選でも石破茂首相の演説会場を鉄柵で囲んで聴衆と一定の距離を取るなど、演説風景は事件前と比べ様変わりしている。ただ、聴衆と握手して支持を呼びかける政治家も依然として多く、県警の“悩みの種”ともなっており、県警幹部は「緊張感を持ち、あらゆる事態に対処する」と気を引き締めている。
7月6日、横浜市都筑区。石破首相が自民党候補の応援に駆けつけ、市営地下鉄のセンター南駅前広場に多くの聴衆が集まった。
立候補者らが上る選挙カーと最前列の聴衆との距離は数十メートル。不審者の飛び出しに十分対応できるよう、体制を整えた。銃撃事件前とは聴衆との距離が広がっており、「こんなに距離がありますが、心の距離は変わりません」と応援弁士が訴えかける場面も。石破首相は立候補者の実績をアピールしながら支持を訴え、約20分間の演説を終えた。
石破首相のスーツの色が後ろのコンクリート壁と同系色だったこともあり、後方の有権者からは「少し見にくかった」との声も上がったが、男性会社員(61)=同市在住=は「人命が第一。距離が遠くても、応援しようという気持ちは変わらない」と話した。
3日の公示後初となった石破首相の来県に、「警戒レベルを最大限に上げて現場に臨んだ」と県警幹部。警察官があちらこちらに立って会場を見張ったほか、近くの商業施設の屋上からも双眼鏡をのぞき込んで周囲に目を光らせた。さらに周辺を鉄柵などで囲み、会場への出入りを制限。危険物の持ち込みを防ぐため、会場入り口では陣営スタッフが手荷物検査を行った。
県警幹部は「無事に終わったが、まだ前半戦。現場では常に『何かあるぞ』という意識を持ち、最後まで徹底してやっていきたい」と話し、現場の士気を高める。
銃撃事件以降、警察庁は演説会場の警備体制を見直し、危険物の持ち込みや警護対象者への接近を防ぐ対策を講じている。単独でテロを計画・実行する「ローンオフェンダー」への警戒を強め、情報収集にも力を注ぐ。

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