子供向けの「新型コロナワクチン」治験募集メールが一斉配信…福岡県の小学校で大騒動が勃発!

福岡県下の小学校の保護者向けに届いた「一通のメール」がいま、物議を醸している。
そのメールとは、5~11歳の子供たちを対象とした、新型コロナウイルス感染予防ワクチンの臨床試験に参加者を募るというもの。このメールは福岡市の134校もの小学校の「安心メール」(災害情報や休校などを知らせる配信メールサービス)として配信されたものであり、多くの保護者たちが目を通している。
FRIDAYデジタルでは、問題のメールの原本を入手。文面には、子供たちを対象とした治験で、8回程度の通院で1通院あたり1万5000円を支払うという驚愕の内容が記されていた。
メールを確認した、福岡市内の小学校に子供を通わせる保護者が憤る。
「安心メールは、学校からの緊急事態を知らせるのが役割でほとんどの保護者が目を通すもの。7月29日にメールが届き、その内容に目を疑いました。子供たちを危険に晒す可能性のある行為を、学校や教育委員会も黙認していたのかと。保護者同士でもすぐに連絡がまわり、これはありえないという判断となり、今なお混乱しています」
さらに取材を進めると、関係先に直接抗議をしたという多数の声も聞こえてきた。教育委員会と治験を募集した会社に電話抗議したというAさんは、両者の責任転嫁するような対応に呆れ返ったという。
「教育委員会は、『学校も教育委員会も(配信の)指示はしていない。内容にはびっくりして、配信会社に確認している最中です』と他人事です。治験募集の会社は『製薬会社から依頼を受けて募集しただけ、リスク管理は十分に行っている』との説明でした。それに、すでにメールをみた保護者から何件か申し込みがあったと言っていました。ワクチンの副反応との因果関係が疑われる死亡者もいる状況で、治験に使用するワクチンの種類や会社も教えてくれません。お金で釣って子供たちを治験の対象にする、という行為を学校や治験会社はどう考えているのか。親としては許せません」
どういった経緯でこのメールが送られることとなったのか――。配信元であるテクノミックスの親会社にあたるアクリートに問い合わせ、メール配信の経緯を尋ねたところ、「個別の取材には対応してない」とことわった上で、以下のような回答があった。
「株式会社テクノミックスとしては今回の『感染症予防ワクチン臨床試験の参加者募集』の協賛配信につき、代理店経由でお問合せがあった2023年6月5日時点で自社協賛メール配信に係る社内ガイドラインに照らし合わせて内容については精査し、問題は無いとの判断を行ない、メール配信に向けた作業に移行しております。
いわゆる治験は医学の進歩には欠かせない大事なものであり、公共の利益に供するものであること、また公序良俗に反するようなものでないことからの判断でありました。しかしながら、7月25日に事前に配信内容を案内した147校のうち13校より配信辞退の申し入れがあった時点で、今回の内容が受信される方々の中には誤解や不快な思いを持たれる方がいる可能性を、この時点でより深く分析すべきであり、最終的な実施につき、配信取り止めも含めて代理店及び協賛事業者の方と協議、検討すべきであったと反省しております。」
つまり、社として内容は問題ないと判断した上での配信だったという。また、今後の対応策についてもこう続けた。
「今後の協賛配信に関しては、内容に関するチェックリストにあたる社内ガイドラインだけに頼るのではなく、『学校安心メール』という小学校から高校までの学童、学生、保護者の方々を対象とした特定対象コミュニケーションツールという性格に十分に考慮し、受け取る側の皆さまのお気持ちにも配慮した配信を行うようにしていくように致します。最後に今回の協賛配信により、誤解と不快な思いをされた方々に対して、ここに改めてお詫び申し上げます」
福岡市教育委員会の担当者にも「治験メール」を配信するに至った経緯について質問したところ、市としては「メールの配信内容は事前に把握していなかった」という。教育委員会の担当者が語る。
「保護者の方々から、私どもにも『教育委員会も把握していたのか』というお怒りの声は多数届いております。その数は10や20ではきかず、他部署にも電話が来ている状況ですね。聞き取りの上で福岡市として把握しているのは、108校にメールが届いており、事前にFAXが届いた学校もあり、中には『適切ではない』と反対した学校もありました。『配信をしてほしくない』と意思表示した学校もあったようですが、協賛会社の意向もあるのでご理解ください、という説明が配信会社からあったと聞いています。教育委員会としては、『安心メール』は災害などの連絡ツールとして貴重なものですが、そこにワクチンの治験を配信するのは適切ではないと考えています。配信会社とは協議を重ねた上で、再発防止について検討していく予定です」
一連の騒動を経て、すでに治験の募集は中止となった。それでも、保護者たちは教育機関も含めたあまりに杜撰な対応に、不信感を募らせている――。