近年、新しい性感染症として「マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症」が認知されるようになっています。感染しても無症状の場合もあり、症状が現れるまで気づかないこともあるそうです。マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症について「シュシュレディースクリニック 戸田公園」に伺いました。

監修医師:前出 喜信(シュシュレディースクリニック 戸田公園)
日本産科婦人科学会認定専門医、日本性感染症学会認定医、日本周産期・新生児医学会周産期専門医。1997年、島根医科大学医学部(現・島根大学医学部)卒業後、島根大学医学部附属病院 産科婦人科 助教や鹿児島市立病院 総合周産期母子医療センター科長、熊本福田病院地域周産期医療センター 新生児科部長などを経て現職(シュシュレディースクリニック 戸田公園 院長)。「怖くない、痛くない、面倒くさくない」をモットーに、相談して良かったと安心していただけるような診療を日々心がけている。
編集部
新しい性感染症も出てきていると聞きます。
前出先生
はい。マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症という、近年になって認知されるようになった菌による新しい感染症があり、これはマイコプラズマおよびウレアプラズマという菌による感染症の総称です。マイコプラズマという菌にはいくつか種類があるのですが、そのうち「マイコプラズマジェニタリウム」と「マイコプラズマホミニス」の2種類が性感染症の原因となります。同様に、ウレアプラズマは「ウレアプラズマパルバム」と「ウレアプラズマウレアリチカム」の2種類が性器や咽頭に感染し感染症を引き起こします。なかでも「マイコプラズマジェニタリウム感染症」は、以前は尿道炎の原因菌としか考えられていなかったのですが、日本性感染症学会が2016年に発表した「性感染症診断・治療ガイドライン」に性感染症として初めて追加されました。
編集部
どんな症状が出るのですか?
前出先生
症状は菌の種類によって異なっており、男性なら排尿時の軽度の違和感から膿を排出するものまでさまざまです。女性も同じく、おりものの異常、不正出血、排尿時の違和感などですが、男女ともに無症状のこともあります。
編集部
感染しても、症状がない場合もあるのですか?
前出先生
あります。これは、ほかの性感染症についても同じです。ほとんどの感染症は、原因となる菌やウイルスに感染してから、症状を発症するまでに「潜伏期間」と呼ばれるタイムラグがありますので、この期間に症状はなく、本人も気が付くことはほとんどありません。
編集部
淋病、クラミジアなどの感染症とは何が違うのですか?
前出先生
症状や感染経路に違いはありません。検査をしてはじめて、どの感染症なのかがわかります。まだすべての医療機関でできる検査ではありませんので、性感染症認定医のいる医療機関での検査をお勧めします。
※この記事はMedical DOCにて<排尿時の痛みや陰部の不快感… マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症(性病)とは? 医師が症状を解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。