60代以降に「週2回セックス」で驚きの効果…和田秀樹「ED治療薬の使用に関して絶対に知っておくべき知識」

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※本稿は、和田秀樹『死ぬまでひとり暮らし 死ぬときに後悔しないために読む本』(興陽館)の一部を再編集したものです。
歳をとったからといって性的な欲望を持つことは、決して悪いことではないし、後ろめたく思う必要もありません。
性欲は、人間にとって非常に重要な本能の一つです。知性の高低、性格の良し悪し、地位などに関係なく、等しく備わっているものです。
一般的に性欲は、老化に伴って減退すると思われています。
しかし、実際のところは、性欲が減退しているというよりも「行動意欲が落ちている」というのが正解です。人間の性的欲望は、年齢を重ねても、そう簡単に失われるものではありません。
性欲は生命力の源になる「欲望」の一つです。自ら蓋をしてはいけません。
性欲を「下品」「不道徳」などとする空気が日本にはいまだにありますが、それは大きな間違いです。そもそも昔の日本は今よりも、ずっと性に対して鷹揚な文化であったことはご存知でしょうか。
農村では、夜這いや祭りに乗じてのフリーセックスが各地で行われていたし、江戸文化研究者の田中優子さん(法政大学第19代総長)によれば、その際、女性から誘うこともままあったということです。
それが悪いことになったのは、明治時代に欧米からキリスト教のものの見方が入ってきてからなのです。
キリスト教では「セックスは子どもをつくるためにあり、快楽のために行うべきではない」という聖書の教えがあります。
そのため、性行為は夫婦間のみに限る、夜這いなどとんでもない、もちろん男色や衆道などあってはならないこととされています。この価値観が、現在も日本の主流を占めているというわけです。
つまり、今の私たちの性欲に関しての常識は、人間の欲望に沿った常識ではないということです。
性的刺激はもっとも単純で分かりやすい脳への刺激です。古い風潮にならい、生きる力を自ら抑え込んでいるのだとしたら、こんなもったいないことはありません。
前頭葉の若返りのためにも、むしろ意識的に性的関心を持ちましょう。夫婦間のセックスに刺激がなくなっているのならば、ときには風俗店で遊ぶのも悪くありません。
「どうだ、まだまだ若いんだぞ!」と自慢するくらいの気持ちで、自分の性欲を肯定できる人ほど、見た目も心も、前頭葉も若々しく保てるのです。
勇気を出してセックスに誘って、ようやく口説き落としてベッドイン。幸せな時間が待っているはずだったのに、肝心の自分のモノが萎れたまま。
なだめてもすかしても元気になってくれない。こんな残念な結果に終わることもままあることです。
医学的には、性交チャンスの75パーセント、セックスを試みて4回中3回、自分のモノが役立たないとなると、ED(勃起不全)と診断されます。
この場合、性器の老化現象だということは間違いないのですが、性欲が衰えていないのであれば男性ホルモンが減っているわけではないので、心配しないで下さい。セックスの際には、バイアグラなどのED治療薬を使用すれば済む話です。
バイアグラは、性欲を高める薬ではなく、勃起を促進させる薬です。
性欲がない状態では効き目が得られないし、服用することで性的な気分が高揚するわけでもありません。性欲が枯れてしまうことよりは、EDのほうが対処のしようがあるのです。
バイアグラは、心臓に負担がかかるから危険と思っている人も多いようですが、実は、もともとは心臓病治療のために開発された薬です。血管内皮細胞の機能を高め、動脈を若返らせる効果もあるといわれています。
私の知り合いの大学教授の医者など、2日に1度、健康のためといってバイアグラの改良版のシアリスを飲んでいるくらいです。
60歳以上の男性を対象にした性欲調査では、80~90パーセントの人が「性欲がある」と答えています。ED治療のほかに、男性ホルモン補充療法もおすすめしたいくらいです。
男性ホルモンのテストステロンには、脳の認知機能を高める効果があるので、頭が冴えて、活動的になれます。
「薬に頼ってまでセックスするなんて」と思う人もいるかもしれませんが「セックスがしたい」という気持ちがあるのなら、さっさと治療を受けて薬を処方してもらうほうがいいと私は思います。
何を躊躇しているのかまったく理解不能です。
これは、男性に限らずいえることですが、あまりセックスをしない人よりも盛んな人のほうが、ホルモンバランスがいい状態を長く保つことができます。
つまり、年齢による不調を迎える時期が遅いというわけです。そのことは、かなり知られたことです。
男性の場合、週に2回射精をしている人と、月に1回射精をしている人とでは、前者のほうが前立腺ガンにかかりにくいという報告もあります。
今の時代、セックスは後ろめたいこと、秘め事ではなく、人生を謳歌するための大切なツールです。生活の質を高めるためには欠かせない要素の一つなので、前向きに取り入れることを検討して下さい。
———-和田 秀樹(わだ・ひでき)精神科医1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」———-
(精神科医 和田 秀樹)

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