“偽ブランド転売”で辞職「足立区議」の捜査情報を、板橋署「生安課長」がSNSで暴露…“依願退職”に追い込まれていた

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5月21日に投開票された東京都足立区議会議員選挙。最大勢力だった自民党は、候補者のうち3分の1に当たる7名が落選、一時は区議会第一党の座を公明党に明け渡すという波乱が起きた。代わりに議席を伸ばしたのは、4月の統一地方選でも大躍進を見せた日本維新の会。議席ナシから一気に3議席を獲得し、全国政党への道のりを盤石なものにしたのだ。
【写真14枚】動画で謝罪する和田愛子氏将来を嘱望された人材 ところが足立区議会議員選挙の波乱はこれだけではなかった。当選から3日後の24日、立憲民主党から出馬し初当選を果たしていた和田愛子氏(38)が「偽ブランド」の販売に手を染め、罰金刑を受けていたことをマスコミ各社が一斉に報道。当選からわずか5日後にスピード辞職することになったのだ(これによって自民党候補者が繰り上げ当選し、公明党と同数に)。

和田氏のTwitterより 小西洋之参院議員の“サル発言”、蓮舫参院議員による“泉代表叩き”と騒動が続く立憲民主党にとっては、まさに泣き面に蜂の事態。ただでさえ支持率の低下に喘ぐ党首脳が頭を抱えたことは想像に難くないが、それ以上に気を揉んでいるのは和田氏を立件した警視庁のお偉方なのだという。実はこの偽ブランド事件の捜査を担当していた警視庁の幹部が、こともあろうにSNSの裏アカウントで捜査情報を暴露。その責任を問われ、依願退職していたのである。 まずは、和田氏が起こした事件について振り返ってみよう。 全国紙記者によれば、「和田氏は子ども時代をロンドンで過ごしたこともある帰国子女で、青山学院大学を卒業後にメガバンクに就職。21年の都議会議員選挙では足立選挙区から出馬し、次点で落選しています。2児の母親ということもあり、今回の足立区議選では主に子育て政策などを訴えていました。本人のホームページには蓮舫さんが『今の政治に必要なのは和田さんのように共感力と思いやりを持つリーダー』と応援メッセージを寄せており、将来を嘱望された人材だったことが伺えます」捜査幹部による機密漏洩 蓮舫氏の応援の甲斐もあってか、大混戦だった足立区議選では上位8番目となる5115票を獲得して初当選を果たした。ところが、「和田氏は今年3月の段階ですでに警視庁によって商標法違反で書類送検されていた。そして、選挙直前の5月9日に東京簡裁で罰金20万円の略式命令を下され、有罪が確定。つまり、彼女は立件されたことを党に隠し、有罪が確定した直後であるにもかかわらず、しゃあしゃあと出馬してみせた。立憲民主党は報道が出た直後に慌てて除籍と辞職勧告の処分を出しましたが、党の信頼失墜は避けられない。党の関係者も“もっと前に警視庁が事件を公表してくれていれば…“とあまりのタイミングの悪さに地団太を踏んでいましたよ」 だが、今回の事件は警視庁が公式に発表したものではなく、あくまで“マスコミの独自調査”で明るみに出たもの。実は、警視庁にも胸を張って事件を公表できない後ろめたさがあった。それこそが、冒頭でも指摘した捜査幹部によるSNS上での捜査情報漏洩事件だったのである。 ある捜査関係者が告白する。「和田氏は昨年12月には警視庁の任意聴取を受けていたのですが、そこで偽ブランド販売の動機について『選挙資金のためだった』と供述していたんです。ところが、その直後、彼女の供述内容がとあるSNSのアカウントに流出していることが分かった。そこには、和田氏の事件を暴露した上で、『犯罪で得た金で選挙をする立憲民主党』などといった文言が並んでいたそうです。情報漏洩を察知した警視庁本部では、すぐさま監察が調査に乗り出した。そして、情報漏洩をしていたアカウントの持ち主が、和田氏の事件を捜査していた警視庁板橋署・生活安全課の男性課長だったことが分かったのです」2.5%しかいない幹部 生活安全課といえば、風俗やストーカー事案の取り締まりに加え、偽ブランド品の販売も取り締まる部署。つまり、和田氏による偽ブランド販売事件を捜査していた板橋署の捜査責任者でもあった生活安全課課長自らが情報を漏洩していたことになる。警視庁内部での衝撃が大きかったことは言うまでも無い。 ある同庁OBはこう嘆く。「有権者の付託を得た議員に対する捜査は慎重にも慎重を期します。民主主義の根底である選挙の公正さを妨害しないよう、たとえ地方議員選挙の候補者であっても、捜査に着手する場合は事前に本庁(警察庁)の判断を仰ぐ必要があります。暴露系ユーチューバーから議員になったガーシー氏の脅迫事件を、本来は知能犯を捜査する警視庁本部の捜査2課が担当しているのも、彼が国会議員という特別な職にあったからです。今回の情報漏洩が起こったのは、全国で一斉に地方議員や首長の選挙が行われる4月の統一地方選の前だったと聞きます。警察官が捜査中の情報を漏洩して、選挙直前に特定の候補や政党を攻撃するというのは前代未聞でしょう」 警視庁の所轄署の課長といえば階級は警視級。全国の警察官の中でも2.5%しかいない歴とした幹部である。好待遇の天下り先を 前述の捜査関係者は、「情報漏洩した生安課長はまだ50代前後で将来を期待される半面、パワハラ気質で部下からは嫌われていたと聞きました。これほどの事案にもかかわらず、監察が依願退職ですませたのも、懲戒処分を下してことが公になることを恐れたからでしょう。当の本人は、好待遇の天下り先をあっせんされて無事再就職したようですよ」 警視庁に問い質すと、「(生安課長が)退職の事実はありますが、一身上の都合であり、理由はお答えできません」 とのこと。偽ブランド販売を隠して出馬した和田氏と、職員の不祥事を隠す警視庁。国民の目にはどっちもどっちに映るだろう。デイリー新潮編集部
ところが足立区議会議員選挙の波乱はこれだけではなかった。当選から3日後の24日、立憲民主党から出馬し初当選を果たしていた和田愛子氏(38)が「偽ブランド」の販売に手を染め、罰金刑を受けていたことをマスコミ各社が一斉に報道。当選からわずか5日後にスピード辞職することになったのだ(これによって自民党候補者が繰り上げ当選し、公明党と同数に)。
小西洋之参院議員の“サル発言”、蓮舫参院議員による“泉代表叩き”と騒動が続く立憲民主党にとっては、まさに泣き面に蜂の事態。ただでさえ支持率の低下に喘ぐ党首脳が頭を抱えたことは想像に難くないが、それ以上に気を揉んでいるのは和田氏を立件した警視庁のお偉方なのだという。実はこの偽ブランド事件の捜査を担当していた警視庁の幹部が、こともあろうにSNSの裏アカウントで捜査情報を暴露。その責任を問われ、依願退職していたのである。
まずは、和田氏が起こした事件について振り返ってみよう。
全国紙記者によれば、
「和田氏は子ども時代をロンドンで過ごしたこともある帰国子女で、青山学院大学を卒業後にメガバンクに就職。21年の都議会議員選挙では足立選挙区から出馬し、次点で落選しています。2児の母親ということもあり、今回の足立区議選では主に子育て政策などを訴えていました。本人のホームページには蓮舫さんが『今の政治に必要なのは和田さんのように共感力と思いやりを持つリーダー』と応援メッセージを寄せており、将来を嘱望された人材だったことが伺えます」
蓮舫氏の応援の甲斐もあってか、大混戦だった足立区議選では上位8番目となる5115票を獲得して初当選を果たした。ところが、
「和田氏は今年3月の段階ですでに警視庁によって商標法違反で書類送検されていた。そして、選挙直前の5月9日に東京簡裁で罰金20万円の略式命令を下され、有罪が確定。つまり、彼女は立件されたことを党に隠し、有罪が確定した直後であるにもかかわらず、しゃあしゃあと出馬してみせた。立憲民主党は報道が出た直後に慌てて除籍と辞職勧告の処分を出しましたが、党の信頼失墜は避けられない。党の関係者も“もっと前に警視庁が事件を公表してくれていれば…“とあまりのタイミングの悪さに地団太を踏んでいましたよ」
だが、今回の事件は警視庁が公式に発表したものではなく、あくまで“マスコミの独自調査”で明るみに出たもの。実は、警視庁にも胸を張って事件を公表できない後ろめたさがあった。それこそが、冒頭でも指摘した捜査幹部によるSNS上での捜査情報漏洩事件だったのである。
ある捜査関係者が告白する。
「和田氏は昨年12月には警視庁の任意聴取を受けていたのですが、そこで偽ブランド販売の動機について『選挙資金のためだった』と供述していたんです。ところが、その直後、彼女の供述内容がとあるSNSのアカウントに流出していることが分かった。そこには、和田氏の事件を暴露した上で、『犯罪で得た金で選挙をする立憲民主党』などといった文言が並んでいたそうです。情報漏洩を察知した警視庁本部では、すぐさま監察が調査に乗り出した。そして、情報漏洩をしていたアカウントの持ち主が、和田氏の事件を捜査していた警視庁板橋署・生活安全課の男性課長だったことが分かったのです」
生活安全課といえば、風俗やストーカー事案の取り締まりに加え、偽ブランド品の販売も取り締まる部署。つまり、和田氏による偽ブランド販売事件を捜査していた板橋署の捜査責任者でもあった生活安全課課長自らが情報を漏洩していたことになる。警視庁内部での衝撃が大きかったことは言うまでも無い。
ある同庁OBはこう嘆く。
「有権者の付託を得た議員に対する捜査は慎重にも慎重を期します。民主主義の根底である選挙の公正さを妨害しないよう、たとえ地方議員選挙の候補者であっても、捜査に着手する場合は事前に本庁(警察庁)の判断を仰ぐ必要があります。暴露系ユーチューバーから議員になったガーシー氏の脅迫事件を、本来は知能犯を捜査する警視庁本部の捜査2課が担当しているのも、彼が国会議員という特別な職にあったからです。今回の情報漏洩が起こったのは、全国で一斉に地方議員や首長の選挙が行われる4月の統一地方選の前だったと聞きます。警察官が捜査中の情報を漏洩して、選挙直前に特定の候補や政党を攻撃するというのは前代未聞でしょう」
警視庁の所轄署の課長といえば階級は警視級。全国の警察官の中でも2.5%しかいない歴とした幹部である。
前述の捜査関係者は、
「情報漏洩した生安課長はまだ50代前後で将来を期待される半面、パワハラ気質で部下からは嫌われていたと聞きました。これほどの事案にもかかわらず、監察が依願退職ですませたのも、懲戒処分を下してことが公になることを恐れたからでしょう。当の本人は、好待遇の天下り先をあっせんされて無事再就職したようですよ」
警視庁に問い質すと、
「(生安課長が)退職の事実はありますが、一身上の都合であり、理由はお答えできません」
とのこと。偽ブランド販売を隠して出馬した和田氏と、職員の不祥事を隠す警視庁。国民の目にはどっちもどっちに映るだろう。
デイリー新潮編集部

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