3回にわたって無担保で…逮捕された夫の会社から三浦瑠麗の会社へ「3500万円」の金が流れていた!

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〈三浦瑠麗氏の会社「山猫総合研究所」と、逮捕・起訴された夫の三浦清志被告の会社「トライベイキャピタル」の間で「385万円」のコンサル契約が結ばれていることがわかった。前編「【完全版】三浦瑠麗が夫の会社から『385万円の太陽光コンサル料』受け取った”証拠文書”入手」に引き続き、瑠麗氏と清志氏の会社のズブズブぶり、さらに瑠麗氏による政府の成長戦略会議での”問題発言”について詳報する〉
トライベイと山猫の間の金銭的な結びつきを示す内部文書はこれだけではない。それが、トライベイと山猫との間で交わされた3通の金銭消費貸借契約書である。
これらの契約書によると、トライベイは山猫に対して、’18年7月と11月、’19年2月の3回にわたって合計3500万円を貸し付けたことがわかる。貸付期間はいずれも契約日から1年間で、利率は年1%、担保は求めないという条件だった。また〈本契約の目的〉が記載された第1条には、3通ともまったく同じ文言で次のように書かれている。
〈Seferay Tribay Capital株式会社(当時のトライベイの社名)(中略)、及び株式会社山猫総合研究所(中略)は、Tribay Capitalが実施する再生可能エネルギー開発及びその他の事業投資(中略)に対して協力関係にある。Tribay Capitalは、山猫総研に対し、本事業に関連して以下の条件にて貸付を行う〉
前述のように、瑠麗氏がトライベイと関係ないと主張していることを踏まえれば、トライベイと山猫が〈協力関係にある〉ことが当然のように言及されているのは特筆すべきことである。そして、その協力関係に基づいて3500万円の資金は貸し付けられたのである。
また、登記簿などによると、当時山猫の社長を務めていたのは清志氏で、瑠麗氏はヒラの取締役だった。したがって、この契約に基づく金銭の貸付は、トライベイの社長である清志氏から、山猫の社長である清志氏に対して行われたことになっている。両社の間のカネのやりとりが、いかに自由だったかということもうかがえるのだ。
トライベイと山猫、あるいは清志氏と瑠麗氏が、コンサル契約や金銭を介した利害関係で結ばれていた実態を踏まえると、続いて検証しなければいけないのは、その後の瑠麗氏の言動である。
トライベイと山猫のコンサル契約が結ばれた直後の’20年10月には、瑠麗氏が有識者の立場で臨んだ政府の成長戦略会議がスタート。その第6回会合で瑠麗氏が提出した「配布資料」に注目すべき記述がある。瑠麗氏は、12項目にわたって太陽光発電所の開発事業者が直面し得る課題を挙げ、法改正などの解決策を提言しているのだが、提言の2項目めでこのように述べている。
〈(電力会社に売電するための)接続契約を締結した太陽光発電FIT案件は、運転開始前に当初計画から出力を20%以上減少させた場合調達価格が減少するペナルティがある。(中略)接続地点が変わらない限りは、太陽光発電事業の出力減少は全面的にペナルティなしで認めるべき〉
FITというのは固定価格買取制度のことで、電力会社が、事業者や家庭から、太陽光などの再生可能エネルギーを一定額で買い取る仕組みである。一方、事業者が発電所を建設する際は、事前に、太陽光パネルの出力や開発する土地の規模などを関係当局に申請して許可を得る必要がある。申請時の計画よりも太陽光パネルの出力を減らす場合、その下限が決まっているのだが、瑠麗氏は下限を下回って出力を減らした場合でも、ペナルティを課さないよう提案したのだ。
和歌山発電所の関係者が語る。
「山間部に計画され、斜面を平地に造成する必要がある和歌山発電所は多大なコストが見込まれ、当初計画した47MW規模の太陽光パネルを並べるのは難しいという議論が出ていました。土地の造成コストと、FITによる売電収入などから計算してみると、利益を出すには、20%の下限を下回る35MWくらいまで出力を下げる必要がありました」
和歌山発電所において、さらなるコストとしてのしかかっていたのが、「和歌山県太陽光条例」が定める同県独自の開発基準だった。
「和歌山県では、条例によって、太陽光発電所の建設のために土地を造成する場合でも、宅地造成等規制法の基準をクリアするよう求められます。土砂の流出防止など防災面への配慮から、人が住まない山間部の開発であっても、住宅地と同じレベルで土地を造成する必要がありました」(同前)
こうした課題に対応しているようにみえるのが、瑠麗氏の提言の5項目めである。
〈現状各地方自治体でバラバラに再エネ発電設備と地域社会との共生に関する条例が制定されている。各地方自治体で必要とされる地域社会との同意に関する範囲、プロセス、レベルがあいまいかつ異なっており、事業者が困惑する事態が生じている。参考となるような標準的なモデル条例を政府として策定してほしいとの要望が寄せられている〉
太陽光発電所の開発を進める際に全国共通の指針があれば、トライベイが、和歌山県独自の厳しい規制に苦しむこともなかったーー。そんな思いがにじむのである。
瑠麗氏が成長戦略会議のメンバーだった’20年頃、トライベイでは、和歌山発電所のほかにも、兵庫県と宮城県でメガソーラーの開発に着手していた。瑠麗氏の7項目めの提言は、3カ所のメガソーラーに共通する要望を反映しているとみられる。
〈2022年4月に施行が予定されている改正FIT法では、運転開始期限を超過した再エネ発電設備に関しては、2022年4月までに工事計画が提出されていなければ、当該発電設備に関わる事業計画の認定は(中略)失効するとされている。(中略)農地転用、林地開発等の許認可取得が一定程度まで進んでおり、近隣地域との調整中の案件に関しては、2022年4月時点で電気事業法に基づく工事計画が提出されていなくても、認定失効に一定の猶予期間を設けるべきではないか〉
この提言の意図するところについて、ある太陽光発電事業者は次のように解説する。
「トライベイの3カ所のメガソーラーはいずれも運転開始期限を過ぎていたうえに、林地開発の許可も取得できておらず、工事計画を提出する前の段階にとどまっていたようなんです。認定が失効すれば、それまで開発に費やしてきたカネが無駄になってしまいますから、一度取得した認定はどんなことがあっても手放したくない。そのため、認定失効までの期間はできるだけ引き延ばすことが望ましいのです」
瑠麗氏のこれらの提言が実現すれば、トライベイが直面していた懸案が解消された可能性があるのだ。これは、瑠麗氏が政府に働きかけ、夫の会社への猴益誘導瓩鮨泙蹐Δ箸靴疹攀鬚任呂覆い里。
山猫とトライベイに書面で事実関係を尋ねたが、期限までに回答はなかった。
トライベイの経営に〈意見を言うことも何の判断もできない状態だった〉と語った瑠麗氏のメッキははがれつつある。
取材・文:宮下直之(ノンフィクションライター)[email protected]
取材・文:宮下直之(ノンフィクションライター)

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