次世代ロケットH3 初号機打ち上げ失敗 「指令破壊」の措置

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日本の次世代大型ロケット「H3」初号機は7日午前10時37分、先進光学衛星「だいち3号」を搭載し、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から予定通り打ち上げられたが、第1段ロケット、第2段ロケットの切り離し後、第2段ロケットの着火を確認できなかった。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、正常な飛行は不可能と判断し、破壊を指令する信号を送る「指令破壊」の措置をとった。打ち上げは失敗した。
日本のロケット打ち上げ失敗は、昨年10月のイプシロン6号機以来。所管する文部科学省とJAXAはそれぞれ対策本部を設置し、原因究明を急ぐ。
H3は、従来の基幹ロケットH2Aの後継で、JAXAと三菱重工業が新たに開発した。プロジェクト全体の、これまでの開発費は2061億円。民間企業が衛星打ち上げに使いやすいよう、既成の安い自動車部品の流用やライン生産の強化などで効率化。H2Aに比べ打ち上げ費用や組み立て期間を半減することで、安く迅速な打ち上げの実現で、日本の宇宙ビジネス拡大を目指していた。
だが、全く新開発の国産液体燃料ロケットとしては約30年ぶりとなる打ち上げで、初号機の開発は難航した。新エンジンに不具合が相次ぎ、当初は令和2年度の予定だった打ち上げが4年度に延期。先月17日の打ち上げも、制御システムの誤作動で中止に追い込まれた。JAXAは徹底的に原因を究明し、万全の対策を講じたとしていたが、完璧ではなかった。
だいち3号は、地球の陸域を従来の3倍の精度で観測し、地震や豪雨、森林火災、火山噴火など災害の被害状況の把握に役立てることを目的とした国の衛星。

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