オウム真理教幹部らに殺害された坂本堤弁護士(当時33歳)の遺体発見から30年となった6日、発見場所の新潟県上越市にある慰霊碑前で追悼式が執り行われた。
3県にそれぞれ位置する一家3人の慰霊碑はこれまで弁護士有志らが維持管理してきたが、高齢化を背景に、今後は日本弁護士連合会が主体となって管理を引き継ぐことになった。
教団を追及していた坂本弁護士と妻の都子(さとこ)さん(同29歳)、長男の龍彦ちゃん(同1歳2か月)は1989年11月、横浜市の自宅で教団幹部らによって殺害された。3人の遺体は新潟、富山、長野3県の山中に別々に埋められ、95年9月6日に坂本弁護士と都子さん、同月10日に龍彦ちゃんがそれぞれ見つかった。
97年、有志らで結成した「坂本弁護士と家族を救う全国弁護士の会(救う会)」が主導し、地権者との交渉の末、3県の現場近くに慰霊碑をそれぞれ建立。三つの輪をかたどった慰霊碑には一家3人が寄り添う姿が刻まれており、定期的な草刈りや清掃は、地元の自治体や市民ボランティアに委託する形で管理を続けてきた。
ただ近年は、救う会メンバーの高齢化で将来にわたる維持管理が課題となっていたことから、日弁連が各地の自治体などと連携して管理を引き継ぐことを決めた。救う会の滝沢秀俊弁護士(66)は「有志での活動には限界があり、日弁連が管理を主導することになった意義は大きい。事件を未来に語り継ぎ、二度と同様の事件が起きることは許さないという、日弁連の強い意思を感じる」と話す。
6日は、日弁連の渕上玲子会長(71)が、坂本弁護士の遺体が見つかった上越市の山中を訪れた。追悼式で慰霊碑に献花し、「日弁連は事件の風化を防止し、弁護士業務妨害対策の象徴として後世に語り継いでいく」と述べ、地元自治体などと慰霊碑の管理に関する合意書に調印した。この日は、都子さんの遺体が見つかった富山県にある慰霊碑も訪問。7日は、龍彦ちゃんの遺体が発見された長野県の現場を訪れる予定という。