名古屋市在住の大橋金一さん(101)が、昨年度の日本漢字能力検定で最高齢の100歳で3級に合格し、8月に主催者団体から特別賞が贈られた。
戦時中は特攻隊を養成した鹿児島県の基地に所属し、戦後は93歳まで現役の税理士だった大橋さん。100歳を超えた今も、新たな漢字を意欲的に学び続けている。(高貝丈滋)
大橋さんは名古屋市の小学校を卒業した後に軍需工場で働いた。20歳になると約10か月間、鹿児島県の鹿屋海軍航空隊で整備兵として過ごした。当時から漢字に興味があり、特攻隊員が戻ってこないことを嘆く短歌も作った。「若い人が次の日に飛行機で出ていって帰ってこない。本当に悲しい時代だった」と振り返る。
戦後は焼け野原になった名古屋に戻ったが、小学校の卒業資格しかなかったため、中学校の夜間部に入り直し、卒業後は国税局に就職した。県内外の税務署に勤務し、50歳代で独立。その後は南区の会計事務所で税理士として93歳まで現役で働いた。
漢字を本格的に学び始めたのは、6年前に妻と一緒に介護老人福祉施設に入所してから。週に4回、1日1時間練習用の参考書で勉強を積み重ね、2024年度の日本漢字能力検定で3級に100歳で合格し、個人の部で特別賞を受賞した。
主催する公益財団法人「日本漢字能力検定協会」によると、大橋さんは24年度の最年長合格者。過去の試験も含めた最年長は103歳という。3級は中学校卒業程度だが、協会の担当者は「大橋さんが若い頃は当用漢字も定まっておらず、一から学び直さないとならなかったはず。合格するのはかなり難しい」と評する。
大橋さんは8月10日に京都市内のホテルで行われた表彰式に孫や家族と一緒に元気に出席し、「これからは準2級を目指す」と目標を語った。合格後も新聞などで新たな漢字を学び続けており、短歌作りにも取り組んでいる。
長男の寛司さん(69)と長女の高見紀子さん(67)は「いくつになっても挑戦する姿はすごい」と声をそろえ、大橋さんも「何とかがんばっていきたい」と話した。