いよいよ「お墓」もサブスクの時代 初期費用は格安で引っ越しも可能、残された課題は?

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サブスクリプションとは、定期的に料金を支払い継続して利用するコンテンツやサービスのことだ。日本では略してサブスクと言われるが、ついにお墓でこのサービスを行う業者が現れた。日本初の供養サービス「偲墓(しぼ)」である。
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【写真を見る】超コンパクト! H23cm×W18cm×D22cm、重さ約15kgのお墓 偲墓で使われるのは高さ23センチ、幅18センチ、奥行き22センチの御影石で作られた四角い墓石で、中に遺骨を収納する。重さは約15キロで、持ち運びができる小さな墓である。これをお寺の屋内か境内で供養するという。

料金は、初期費用が27万5000円(税込み)で、墓石代、墓石への彫刻費、入仏法要(四十九日法要)、永代供養料が含まれる。月額の利用料金は3300円(税込み)。これには百か日、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌などの法要の他に、墓地管理費、システム管理費などが含まれる。初期費用の27万5000円は墓石相場の6分の1ほどで、お墓の引っ越しも簡単にできるという。三重県・浄誓寺 偲墓を運営する仏壇仏具の専門店「佛英堂」(三重県松阪市)の野呂英旦専務が語る。自宅に遺骨「偲墓を考案したのは、2020年の夏でした。近年、後継者がいないという事情から、お墓を作らずに自宅に遺骨を安置する人が増えていました。お墓を作るとなると、墓石だけで平均169万円(2020年)はします。それに土地代もかかりますし、お寺の檀家になるとお布施も必要です」 お墓にお金はかけたくない。でも、自宅に骨壺を置いたままだと供養できないのではないか、という心配も少なくない。「そこでお墓のサブスクを考えたのです。2021年4月からサービスを開始しました。お寺と檀家契約を結ぶ必要はなく、自分で決めた期間だけ、お墓を維持して供養します。契約期間中は、お寺が供養やお墓の管理を行います。契約した人は気軽に墓参りもできます。解約する場合は、追加料金なしで永代供養墓に遺骨を埋葬いたします」 墓石は、四角形だけでなく、六角形のものもあり、こちらは初期費用が2万円高くなるという。 もっとも、遺骨を供養できるのは、偲墓事務局と提携しているお寺だけだ。現状では、三重県、愛知県、福岡県、大阪府、京都府、広島県、福井県、静岡県にある計26カ所のお寺に限られる。「いずれ関東や東北地区など、全国のお寺とも提携する予定です。すでに群馬や栃木のお寺から問い合わせが来ていますし、東京や神奈川、千葉にお住いの方から偲墓を利用したいというお話もいただいています」 例えば、東京に住んでいる人だと、一番近い寺は静岡になる。「お寺が遠方にしかない場合は、納骨の時だけ来ていただければ結構です。まだ一度もされた方はありませんが、リモート納骨もできます。利用者に納骨キットをお送りするのです。丈夫なダンボール箱に緩衝材を入れ、骨壺が割れないようにし、ゆうパックで送っていただきます」夫婦そろって納骨 一つのお墓に、夫婦そろって遺骨を納めることも可能だという。「夫婦の遺骨は、それぞれさらしの袋に入れて墓石に入れますので、お骨が混じることはありません。料金は、初期費用27万5000円にプラス税込みで16万5000円かかります」 お墓の引っ越しも格安である。「普通のお墓だと、まず墓石を撤去し、墓所を更地にする墓じまいだけで20~30万円かかりますし、墓があった寺と引っ越し先の寺に法要のためのお布施も必要ですから、少なくとも50万円以上になってしまいます。偲墓の場合は、提携しているお寺間の引っ越しですので、5万円ですみます」 お墓のサブスクは、お寺にもメリットがある。「日本には、約7万のお寺がありますが、20年後には2万7000のお寺が住職がいない空き寺になると言われています。檀家の数もどんどん減少していて、運営は苦しくなっています。偲墓では、初期費用の27万5000円のうち、お寺に7万円、月々お払いいただく3300円のうち、2000円支払うことになっています。お寺にとって、安定的な収入となるはずです」デイリー新潮編集部
偲墓で使われるのは高さ23センチ、幅18センチ、奥行き22センチの御影石で作られた四角い墓石で、中に遺骨を収納する。重さは約15キロで、持ち運びができる小さな墓である。これをお寺の屋内か境内で供養するという。
料金は、初期費用が27万5000円(税込み)で、墓石代、墓石への彫刻費、入仏法要(四十九日法要)、永代供養料が含まれる。月額の利用料金は3300円(税込み)。これには百か日、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌などの法要の他に、墓地管理費、システム管理費などが含まれる。初期費用の27万5000円は墓石相場の6分の1ほどで、お墓の引っ越しも簡単にできるという。
偲墓を運営する仏壇仏具の専門店「佛英堂」(三重県松阪市)の野呂英旦専務が語る。
「偲墓を考案したのは、2020年の夏でした。近年、後継者がいないという事情から、お墓を作らずに自宅に遺骨を安置する人が増えていました。お墓を作るとなると、墓石だけで平均169万円(2020年)はします。それに土地代もかかりますし、お寺の檀家になるとお布施も必要です」
お墓にお金はかけたくない。でも、自宅に骨壺を置いたままだと供養できないのではないか、という心配も少なくない。
「そこでお墓のサブスクを考えたのです。2021年4月からサービスを開始しました。お寺と檀家契約を結ぶ必要はなく、自分で決めた期間だけ、お墓を維持して供養します。契約期間中は、お寺が供養やお墓の管理を行います。契約した人は気軽に墓参りもできます。解約する場合は、追加料金なしで永代供養墓に遺骨を埋葬いたします」
墓石は、四角形だけでなく、六角形のものもあり、こちらは初期費用が2万円高くなるという。
もっとも、遺骨を供養できるのは、偲墓事務局と提携しているお寺だけだ。現状では、三重県、愛知県、福岡県、大阪府、京都府、広島県、福井県、静岡県にある計26カ所のお寺に限られる。
「いずれ関東や東北地区など、全国のお寺とも提携する予定です。すでに群馬や栃木のお寺から問い合わせが来ていますし、東京や神奈川、千葉にお住いの方から偲墓を利用したいというお話もいただいています」
例えば、東京に住んでいる人だと、一番近い寺は静岡になる。
「お寺が遠方にしかない場合は、納骨の時だけ来ていただければ結構です。まだ一度もされた方はありませんが、リモート納骨もできます。利用者に納骨キットをお送りするのです。丈夫なダンボール箱に緩衝材を入れ、骨壺が割れないようにし、ゆうパックで送っていただきます」
一つのお墓に、夫婦そろって遺骨を納めることも可能だという。
「夫婦の遺骨は、それぞれさらしの袋に入れて墓石に入れますので、お骨が混じることはありません。料金は、初期費用27万5000円にプラス税込みで16万5000円かかります」
お墓の引っ越しも格安である。
「普通のお墓だと、まず墓石を撤去し、墓所を更地にする墓じまいだけで20~30万円かかりますし、墓があった寺と引っ越し先の寺に法要のためのお布施も必要ですから、少なくとも50万円以上になってしまいます。偲墓の場合は、提携しているお寺間の引っ越しですので、5万円ですみます」
お墓のサブスクは、お寺にもメリットがある。
「日本には、約7万のお寺がありますが、20年後には2万7000のお寺が住職がいない空き寺になると言われています。檀家の数もどんどん減少していて、運営は苦しくなっています。偲墓では、初期費用の27万5000円のうち、お寺に7万円、月々お払いいただく3300円のうち、2000円支払うことになっています。お寺にとって、安定的な収入となるはずです」
デイリー新潮編集部

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