きっかけは“泣いていない迷子” 海で失踪した2歳男児「死んでしまうと思った」女性保育士が抱いた“違和感”で無事保護

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行方不明になっていた2歳の男の子を海水浴場で保護した保育士の女性に、警察から感謝状が贈られました。
保護された男の子は海に入ろうとしていて、保護した女性は「死んでしまうと思った」と話しています。
警察などによりますと、8月15日の午後1時15分ごろ石川県宝達志水町の今浜海水浴場で1人で海に入ろうとしていた2歳の男の子を小松市から家族で海水浴に訪れていた長岡智子さんが保護しました。
長岡さんは、小松市にある「よしたけこども園」で2歳児を担当している現役の保育士です。日頃から幼児を見かけるとつい気にしてしまうという長岡さんは、男の子を発見した時、違和感があったと話します。
長岡さん「近くに親御さんがいないことと、意外と泣いていないし、フラフラと目的もなく歩いているのは、あまりないし、なんとなく『あれ?』と思いました」
当時、海水浴場はお盆休みの時期とあって、人混みで溢れていました。しかし、迷子には、“泣いている子ども”というイメージがあるからか、周りの大人たちは男の子を気にかけながらも声をかける人はいませんでした。
長岡さん「小さいお子さんが、トコトコと歩いてきて、どこを見ても探している人もいないし、親御さんも見えないし…ちょっと気になってしばらく見ていたんですけど、そしたらそのまま海に入っていくので、さすがに『ちょっとストップ』と思って海から出してきた。たぶん死んでしまうだろうと思って」
男の子は、1キロほどの距離を一人で歩いてきたとみられ、保護者からの通報を受けた、警察や消防などが捜索の準備を始めていました。
長岡さんが声をかけたとき、男の子は自分が迷子になっているとは気づいていない様子でした。
長岡さん「『お父さんとお母さんは?』と言ったら、『あれ?』みたいな、ちょっと不安そうになった。さすがに暑いし、『ちょっとかわいそうやな』と思って、私の隣にいた大家族の方に『私、保護者を探しに行くので、この子をお願いします』と預けて探しに行った」
2歳の男児とあって、自分の名前も、家族の名前も聞きだせないなか長岡さんはスマートフォンで撮影した男の子の画像を周りの海水浴客に見せながら保護者を探していたところ、警察や消防と合流。ようやく保護者に引き渡すことができました。
男の子は祖父と兄弟の合わせて4人で海に来ていましたが、途中ではぐれたとみられます。けがはありませんでした。
長岡さん「おじいちゃんが一番喜んでいて、上のふたりのお子さんも走ってきて『よかった、よかった』と言っていて、ちょっとジーンとしました」
最近は、迷子への声かけが、不審者と誤解されることもあり、長岡さんも男の子に声をかけるときには少し躊躇しましたが…
長岡さん「何かあって後悔するよりは、その子が死んじゃったとなれば、夜に寝られなくなっちゃうじゃないですか。自分のためにしたことかなと思います」
違和感をきっかけに勇気を出して声をかけた長岡さん。
自身も3人の男の子を育てていて、感謝状を受け取った長岡さんは、「親御さんの立場になって考えたら絶対止めて欲しいなって思いますよね」と笑顔で話していました。

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