観光客が団体で高級店になだれ込む…インバウンドにも人気の観光名所・吉原ソープ街の歴史と「現在地」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

狷本一のソープ街疆豕・吉原が、海外からも大きな注目を集めている。
6月下旬に吉原の街を取材していると、ときおり外国人の団体客の姿を見かけた。角町通りの総額6万円ほどの高級店に10人ほどの中国人中年男性がなだれ込んでいく様子は大迫力であった。トンネルの中に電車の車両が次々に吸い込まれていくようで、その迷いのない猛々しい姿を眺めて呆然とした。車で乗り付け、3人で街を回るアジア系の若者もいた。白人の単独客の姿もあった。
仲之町通りには外国人客向けの案内看板が設置されており、受け入れ可能な店の名が表示されていた。5人の制服姿の女の子の写真と「Only 20~25 Years old KAWAII Girls」という英語の文字表記だけの看板を出している店もあった。また、細い路地にある人気格安グループのソープが、英語、中国語、韓国語を併記した看板を出していた。吉原の国際化が進んでいることを、改めて実感させられた。
江戸時代の吉原は、江戸で唯一幕府に公認された遊廓であった。遊女の犠牲で成り立っていた狎搾取の現場瓩任△覦貶で、絵画や浮世絵、文学などのさまざまな文化や流行が発信された場所でもあったのだ。花見、お盆、祭りなど、季節を演出したイベントも開かれ、徹底して作り込んだ虚構の世界は、地方から江戸に来た見物客たちが訪れる人気スポットでもあった。
戦後に赤線地帯となり、昭和33(1958)年の売春防止法の完全施行後、風俗街として発展。現在の吉原は国内最大のソープ街であり、東京都台東区千束3丁目・4丁目の一帯に約126軒が密集している。最寄り駅は地下鉄日比谷線の三ノ輪駅で、そこから土手通りを南東に進み徒歩10分ほどで吉原大門の交差点に到着する。なお、浅草からも徒歩10分ほどで行くことができる。
ソープ街としての吉原の最大の特徴は狹絞淇瑤梁燭記瓩任△襦G々少しずつ減り続けているとはいえ、約126軒はダントツ。2番目に多い福岡・中洲が約68軒、3番目の神戸・福原が約58軒、4番目の川崎・堀之内が約49軒であり、比べてみるとその規模の違いは歴然だ。他のソープ街に比べて吉原は高級店の割合が高く、総額5万円以上の店が51軒もあり、全体の約4割を占める。国内で2番目に高級店が多い川崎・堀之内が10軒(全体の約2割)、3番目の福岡・中洲が8軒(全体の約1割強)なので、その割合の高さは際立っている。
さらに、吉原には総額8万円以上の犢盖蘚垢涼罎旅盖蘚広瓩20軒もある。川崎・堀之内は1軒、福岡・中洲は2軒しかない。高級店が豊富にあるうえ、その中でもひときわ高級な店がたくさんあることが、吉原の独自性だ。また、街の中にソープ以外の風俗業種が存在しないことも吉原の特色だ。他の大きな泡街には、店舗型のヘルスやエステ、ホテヘルの受付所などの他業種が混在している場合が多い。吉原以外でソープだけが集まる色街は、岐阜・金津園(39軒)、滋賀・雄琴(31軒)、大宮・北銀座(21軒)くらいである。
現在の吉原の特徴としてもう一つ挙げられるのが、由緒正しい観光名所でもあることだ。吉原大門交差点そばの「見返り柳」や、浅草寄りにある「吉原神社」、「吉原弁財天」など、吉原遊廓の由来の場所には記念碑や案内板が建てられている。これは他の風俗街ではまず見られないことだ。似たようなことをしているのは、大阪の飛田新地くらいなもの。吉原が観光スポットとして人気瓩覆里廊犁賤軍任良情瓩鮑に伝えるからだろう。インバウンドが集まる現代と、上京者が集まった江戸時代は、変わらないのである。

有料版「FRIDAY GOLD」では、生駒氏が吉原ソープ約46店について詳しく解説、賢い吉原の遊び方などについても書いている。
取材・文:生駒明ペンネームはイコマ師匠。風俗情報誌『俺の旅』シリーズの元編集長。徹底した現場取材をモットーとし、全国の歓楽街を完全踏破。フリーの編集記者として、雑誌やサイトの記事、自らのSNSなどで『俺の旅』を継続中。著書に『フーゾクの現代史』『ルポ日本異界地図』(共著)。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。