7月の参院選を目前に控え、永田町の“空気”が変わりつつある。
それまでは「手取りを増やす」を旗印に玉木雄一郎氏(56)率いる国民民主党の大躍進が確定的だったが、ここにきて逆風が吹き荒れている。
ケチのつき始めは参院選比例代表に、元衆院議員の山尾志桜里氏、元維新の足立康史元衆院議員、元立憲の須藤元気元参院議員、元自民の薬師寺道代元参院議員の4人の公認を発表したところから。過去にお騒がせ言動があった面々だけに古参の支持者からも批判が噴出し、各社の世論調査では同党の支持率は2~5ポイントも下落した。
5月18日投開票の埼玉・和光市議補選では新人女性候補が落選。『国民民主』というだけで連勝街道を突き進んでいた地方選にも影響が及んだ。全国紙政治部記者によれば、
「4人の中でもやっぱり山尾氏ですね。過去の不倫報道のインパクトは大きく、SNSは大荒れ状態。国民民主の関係者も『まさかここまで(反発が)すごいとは……』と想定外だったことを認めています」
と分析する。
さらに、高騰するコメ価格を何とかするために、江藤拓前農相(64)に代わって起用されたのが、小泉進次郎氏(44)だ。
同氏は“コメ担当大臣”を自任し、備蓄米放出の新方式を発表し、随意契約で国が小売業者を任意に選んで売却することを決定。大手ディスカウントショップ『ドン・キホーテ』の運営会社に楽天グループ、イオン、アイリスオーヤマ、サンドラッグ、ファミリーマートなどが名乗りを上げた。同氏からは「5キロ2000円」という分かりやすいフレーズも飛び出した。
「随意契約にしたのが良かったかどうかの検証はこれから。とはいえ、進次郎氏がスピード感を持って対応していることは、国民もポジティブに捉えている。意味不明な受け答えで『進次郎構文』や『ポエマー』とイジられていた頃とは違う。昨年の自民党総裁選では結果を出せなかったが、これで一発逆転。コメ問題で成果を上げれば、“ポスト石破”に急浮上してくるはずだ」(同・全国紙記者)
一方で国民民主の玉木氏は5月28日、衆院農林水産委員会での質問に立ち、備蓄米について
「あと1年たったら動物のエサ米に出す予定だった」
と発言。備蓄米は5年たつと飼料用に転用されるのは事実ながらも消費者目線に立てば、配慮に欠ける発言であることは否めない。これには進次郎氏も
「今この放出のあり方について取り組んでいるときに、ちょっと残念」
と落胆した。
この失言はネット上でも大炎上。同じ野党の立憲民主党・泉健太前代表はXで
《備蓄米は、これから我々国民が口にする重要な主食です。『1年たったら動物の餌』というのは、この局面で使う言葉ではない。改めていただきたい》
とピシャリ。当の玉木氏は「誤解だ」とXで釈明を繰り返しているが、永田町関係者によれば、参院選を念頭に
「玉木氏の自爆。これで風が変わった」
という声もチラホラ聞こえてくる。
「進次郎氏の功績は減税が参院選のテーマになりそうだったところを、コメ問題に変えたこと。支持率が低迷する石破茂首相にとっても“救世主”ですよ」(同・永田町関係者)
とはいえ、まだ参院選までには1ヵ月ある。各党候補者選びではひと波乱ありそうだ。前出の全国紙記者が声をひそめて明かす。
「この2ヵ月、永田町でよく見かけたのは、現役プロレスラーのA氏です。自民党議員と一緒にいたので、もしかしたら……。本人は出馬について『スポンサーに迷惑がかかる。書いたら許さない』とマスコミを牽制していますが、出馬意欲は高そうですよ」
また、自民党が満を持して擁立しようとしている“意外な女性タレント”の名前も水面下で挙がっているという。
「維新の地盤を崩そうと、大阪の自民党が目玉候補として擁立に動いているのが、おバカキャラで大ブレークした女性タレントのBさんです。夫婦仲も良く、先月には“身体検査”も含めた話し合いが議員会館で行われました。ご本人が政治に関心を持っていることはたしかなようですが、出馬についてはまだ決めかねているとか。タレントとしての知名度は抜群ですが、ただ、選挙となると別ものですからね。ごきょうだいも有名人ですし、地元・大阪での人気も高いので、応援演説に来てくれれば大きな“援軍”になるでしょうね」(別の政界関係者)
一寸先は闇の永田町。国民民主が失速し、進次郎氏が上げ潮ムードでも、候補者選びで再び別の風が吹くことも考えられる。果たしてどうなるか――。