昨年11月の兵庫県知事選で日本維新の会の兵庫県議がNHK党の立花孝志党首に百条委員会の音声データや真偽不明の文書を渡した問題で、維新が崩壊寸前だ。昨年から党勢退潮で、吉村洋文新代表体制で立て直しを図ろうとするものの内憂外患の状況に追い打ちをかけている。
「すぐになくなることはないでしょうが、都議選や参院選もさすがにもう厳しい状況ですね」。こう語るのは維新関係者だ。橋下徹氏が結党した維新はこれまでもイバラの道を歩んできたが、大阪では依然、第1党をキープし、盤石に見える。ただ、関西圏から全国への支持拡大は頭打ちどころか昨年の衆院選では公示前より6議席を減らし、地方選でも負けが続いている。
昨年12月には馬場伸幸氏から吉村氏に代表が代わったものの、京都・舞鶴市で唯一の維新所属だった鴨田秋津市長が離党した。今月には立花氏への情報提供問題が明るみに出て、増山誠、岸口実、白井孝明の3県議が23日に会見を開き、謝罪した。増山氏は離党届を提出し、党の県組織は25日に3人の処分を決める。
維新創設者の橋下氏は24日に出演した「めざまし8」(フジテレビ系)で、「15年前に維新をつくった意味では、もう責任を感じている。こういう集団になってしまったと本当に残念だし、申し訳ない」と謝罪。その上で「維新に国会議員が来てからおかしくなった。飲み食いで派手に使う、領収書は取らない。いまだにそんなのやっていて、積み重ねでこうなる。遅まきながらやっとガバナンスコードを作ろうと飲み食いについてはルールを作ろうとなった」と指摘した。
しかし、時すでに遅しというのが冒頭の維新関係者だ。先日、自民党の小泉進次郎衆院議員が維新の連立入りを私見で述べ、永田町をざわつかせた。自民党、公明党、維新は政調会長レベルで2025年度予算案の修正で合意。維新が主張した高校無償化では25年度から国公私立で年収を問わず全世帯に年11万8800円を支給することなどが盛り込まれた。小泉氏の主張は修正合意するなら連立入りして自民党とともに維新も責任を負うべしというわけだ。
「自民党にすり寄っていけば、いずれ取り込まれることになる。すでに維新に先はないと、自民党に移籍できないかと水面下で動いている国会議員も多い。地方議員も同様です。もうガバナンスが取れていないのが実情で、党勢は減衰していく一方ですよ」(同)
各メディアの最新世論調査では維新の支持率は自民、国民、立憲、れいわに次ぐ5番手以降に転落している結果もある。吉村新体制で巻き返しを図り、大阪・関西万博の成功で勢いをつけるはずが、万博の前売りチケットの売れ行きは目標の半分に届かず、今回の騒動で弱り目にたたり目だ。
橋下氏は「兵庫県議会の維新は解散すべき」とも語っているが、長年、党のガバナンスが問われる事態に陥っているものの改善される兆しがない中で、兵庫だけでは済まない事態となりかねない。