年の瀬も押し迫った26日の白昼に、名古屋駅近くのカラオケ店で女性が男に刺されて死亡する事件が起きた。
さらに、男の話をもとに、県警が店から2キロ離れた名古屋市中区のマンションを調べたところ、別の女性の遺体も発見。相次ぐ事件に、居合わせた利用客やマンション住民からは不安の声が相次いだ。
カラオケ店で女性を刺したとして殺人未遂容疑で現行犯逮捕されたのは、住所と職業不詳、自称曽我春暉容疑者(25)。捜査関係者によると、曽我容疑者は同市中村区のカラオケ店から自ら110番し、「女性を刺して殺した。中区のマンションでも女性を浴槽に沈めて殺した」などと説明したという。
事件が起きたカラオケ店で、同じフロアに居合わせたという同市内の男子高校生(18)は突然、部屋にある電話で店員から「危険な状況なので部屋を出ないでほしい」と指示を受けた。廊下を見ると、救急隊員らが倒れている人に心臓マッサージを施しているのが目に入り、「三角巾持ってきて」「AEDも」などと大きな声が次々と飛び交った。
高校生は電話から40分ほど後に警察官に誘導されて室外に出られたが、廊下には血痕が点々と落ちていた。「かなり緊迫した様子だった。被害者の様子が痛ましかったし、犯人がどうなったのかもわからなかったので怖かった」と話した。
一方、浴室から女性の遺体が発見された中区大須のマンションでは、現場の部屋を捜査員が繰り返し出入りし、遺体を運び出すなどしていた。
同じ階に住む70歳代の女性は、現場の部屋から若い男性と女性が夕方頃に連れだって出かける姿を半年ほど前から何度か見かけるようになった。最近では10日ほど前にも見かけたが、男性は顔を合わせればあいさつをしてくれたといい、「トラブルや変わった様子はなかった。物音などにも気付かなかったのに」と驚いた様子で話した。
住人によると、このマンションは入れ替わりが激しく、住人同士の交流もあまりないという。50歳代の男性は「あいさつを交わす人も少ないが、まさかこんな事件が起きるとは」と不安そうな表情を浮かべていた。