外見から分からなくても援助や配慮を必要とする人が身につける“ヘルプマーク”。電車やバスの優先席でも、席を譲るよう促す張り紙が貼られているが、人気漫画「キン肉マン」の作者、ゆでたまご・嶋田隆司氏が「ヘルプマークをつける事になりました。しかし席は誰も譲りません。正義はないのかこの日本」と投稿したことを皮切りに、同様の声が次々と噴出。なぜ、多くの人が無視されてしまうのだろうか。当事者と共に『ABEMA Prime』で考えた。
【映像】ヘルプマークを悪用したトラブル■ヘルプマークとは ヘルプマークは、2012年から東京都で「外見からわかりにくい障害を持つ人」に作成・配布を開始した。義足・人工関節使用者、内部障害、妊娠初期など、援助や配慮が必要で、希望する人には、診断書や書類不要で配布されている。 ヘルプマークの普及団体を立ち上げ10年近く普及活動をしている、立憲民主党の宮口治子参議院議員は、「私は20歳の息子がいるが、重度の広汎性発達障害を抱えている。彼が小学校の時、混雑した駐車場で車椅子マークのところに止めさせてもらった。元気に体は動くので、普通に車から降りてくるのを見た方が“健常者が利用しているのか”と。それがきっかけで、こちらも障害があるとわかることを発信するものはないかと調べて、このヘルプマークがあった」と話す。 裏面には症状や援助してほしい内容を記載できるようになっている。「例えば、“私はパニック障害がある。倒れた時は何もしなくて大丈夫。救急車は呼ばずに見守ってほしい”など裏面に書き込む。また、障害者のためだけではなく、手術をした後や認知症の方、生理痛がひどい方など、誰でも持つことができる」「このマークの良いところは、疾患名が特定されない。“何かフォローできるかな?”とやさしい気持ちになれること」と補足。 裏面を見るのは倒れたり、困っている時で良いという。また、ヘルプマークとは別に、詳細を記載できるヘルプカードがある。「かかりつけ医院などを記載し、普段飲んでいる薬をセットで持っていただくと、倒れて病院に行った時も分かりやすい」とした。■認知されていない状況 周りの人はどう行動すべきか ヘルプマークを日頃からつけている、てんかん・パニック障害を抱えている吉田さんは「優先席に座っている時、見た目は健常者と変わらないので、“席を代われ”と怒鳴られたことがある」と認知度の低さを実感している。 このときの状況を「満席近くでパニック障害が起きそうだったので、優先席に座らせていただいたら、50代ぐらいの男性が来られて“目の前に妊婦がいるじゃないか”と怒られた。横には若い男性が座っていたのだが、そっちには怖くて言えなかったのだと思う」と振り返る。 席をゆずられたのは5年間で1、2回程度だそうだが、周りの方にどうしてほしいか。「パニック発作を起こした時は立ち上がれないほど泣いてしまうことがあるので、その時に裏面を見て対処していただけたら助かる」と答えた。 ヘルプマークが認知されていない状況について、宮口氏は「東京はよく見かけるが、地方に行くと知られていない。だから持っていてもなんのマークか分からない、支える側もどうして良いか分からない」と答えた上で、「絶対に席を代わってくれというマークでもない。子どもたちに話をする時は、“包帯をぐるぐる巻いている人がいたらドアを開けてあげようという気持ちになるでしょう。ヘルプマークはこの包帯の代わりだ”と言うと、すごく納得してもらえる」とした。■フリマサイトで販売…ヘルプマークの悪用例も ヘルプマークはフリマサイトで転売されることがあるという。宮口氏は「東京都は無料配布が前提だから、それをまとめて転売する方がいる。あとは自分が使いやすいように変えたり、作ったりする人もいるが、東京都のガイドラインに沿ったものでないと正式なものではない」とした上で、「このマークは本当に大変な方が救われるためにあることを知っていただきたい」と話す。 さらにヘルプマークをめぐるトラブルとして、「このマークが見えないのか!」と怒鳴って席を譲るよう強要したり、男性が駅で若い女性に声をかけ、他の男性が助けを申し出ても「大丈夫です」と拒絶する、ナンパ目的かと思われるような使われ方もあるようだ。 ヘルプマークは一定の基準を設けて配布したほうがいいのか。宮口氏は「例えば生理痛は障害があるわけでも、手帳があるわけでもない。身体の内部のしんどさは人に伝えにくく、診断書をつけるのは難しい」と答えた。 吉田さんは「隣の席に座っていた女性たちから“この人、病気持っているんじゃないの?”と聞こえるように言われて、向こうに行かれたことがある。認識のずれがあることが問題だと思う」と訴えた。(「ABEMA Prime」より)
■ヘルプマークとは
ヘルプマークは、2012年から東京都で「外見からわかりにくい障害を持つ人」に作成・配布を開始した。義足・人工関節使用者、内部障害、妊娠初期など、援助や配慮が必要で、希望する人には、診断書や書類不要で配布されている。
ヘルプマークの普及団体を立ち上げ10年近く普及活動をしている、立憲民主党の宮口治子参議院議員は、「私は20歳の息子がいるが、重度の広汎性発達障害を抱えている。彼が小学校の時、混雑した駐車場で車椅子マークのところに止めさせてもらった。元気に体は動くので、普通に車から降りてくるのを見た方が“健常者が利用しているのか”と。それがきっかけで、こちらも障害があるとわかることを発信するものはないかと調べて、このヘルプマークがあった」と話す。
裏面には症状や援助してほしい内容を記載できるようになっている。「例えば、“私はパニック障害がある。倒れた時は何もしなくて大丈夫。救急車は呼ばずに見守ってほしい”など裏面に書き込む。また、障害者のためだけではなく、手術をした後や認知症の方、生理痛がひどい方など、誰でも持つことができる」「このマークの良いところは、疾患名が特定されない。“何かフォローできるかな?”とやさしい気持ちになれること」と補足。
裏面を見るのは倒れたり、困っている時で良いという。また、ヘルプマークとは別に、詳細を記載できるヘルプカードがある。「かかりつけ医院などを記載し、普段飲んでいる薬をセットで持っていただくと、倒れて病院に行った時も分かりやすい」とした。
■認知されていない状況 周りの人はどう行動すべきか
ヘルプマークを日頃からつけている、てんかん・パニック障害を抱えている吉田さんは「優先席に座っている時、見た目は健常者と変わらないので、“席を代われ”と怒鳴られたことがある」と認知度の低さを実感している。
このときの状況を「満席近くでパニック障害が起きそうだったので、優先席に座らせていただいたら、50代ぐらいの男性が来られて“目の前に妊婦がいるじゃないか”と怒られた。横には若い男性が座っていたのだが、そっちには怖くて言えなかったのだと思う」と振り返る。
席をゆずられたのは5年間で1、2回程度だそうだが、周りの方にどうしてほしいか。「パニック発作を起こした時は立ち上がれないほど泣いてしまうことがあるので、その時に裏面を見て対処していただけたら助かる」と答えた。
ヘルプマークが認知されていない状況について、宮口氏は「東京はよく見かけるが、地方に行くと知られていない。だから持っていてもなんのマークか分からない、支える側もどうして良いか分からない」と答えた上で、「絶対に席を代わってくれというマークでもない。子どもたちに話をする時は、“包帯をぐるぐる巻いている人がいたらドアを開けてあげようという気持ちになるでしょう。ヘルプマークはこの包帯の代わりだ”と言うと、すごく納得してもらえる」とした。
■フリマサイトで販売…ヘルプマークの悪用例も
ヘルプマークはフリマサイトで転売されることがあるという。宮口氏は「東京都は無料配布が前提だから、それをまとめて転売する方がいる。あとは自分が使いやすいように変えたり、作ったりする人もいるが、東京都のガイドラインに沿ったものでないと正式なものではない」とした上で、「このマークは本当に大変な方が救われるためにあることを知っていただきたい」と話す。
さらにヘルプマークをめぐるトラブルとして、「このマークが見えないのか!」と怒鳴って席を譲るよう強要したり、男性が駅で若い女性に声をかけ、他の男性が助けを申し出ても「大丈夫です」と拒絶する、ナンパ目的かと思われるような使われ方もあるようだ。
ヘルプマークは一定の基準を設けて配布したほうがいいのか。宮口氏は「例えば生理痛は障害があるわけでも、手帳があるわけでもない。身体の内部のしんどさは人に伝えにくく、診断書をつけるのは難しい」と答えた。
吉田さんは「隣の席に座っていた女性たちから“この人、病気持っているんじゃないの?”と聞こえるように言われて、向こうに行かれたことがある。認識のずれがあることが問題だと思う」と訴えた。(「ABEMA Prime」より)