自民党安倍派の政治資金パーティー裏金問題を巡り更迭される見通しとなった松野博一官房長官の後任の人選について、(1)菅義偉氏(衆院神奈川2区)が首相時の要職経験者(2)岸田文雄内閣の現職閣僚─の2系統を軸に進められていることが9日、複数の政府関係者の話で分かった。無派閥議員まとめ役の菅氏と縁が深い議員の起用で派閥色を一掃し、挙党一致をアピールする狙いがあるようだ。
菅氏関係では、菅内閣の官房長官・加藤勝信、厚生労働相・田村憲久、環境相・小泉進次郎(11区)、官房副長官・坂井学(5区)の4氏が浮上。加藤氏は長官として菅内閣の要に就き、その前後には厚労相も務めた。茂木敏充幹事長の派閥に所属し、茂木氏を支えて同派と党内の融和を保ってきた。田村氏は今年9月に岸田派に入会したがそれまでは無派閥。かつて茂木氏の派閥や石破茂元幹事長の派閥にも参加し党内人脈も広い。
小泉氏は報道各社の調査で次期総裁候補の上位に名前が挙げられ、坂井氏は菅氏を官邸で支えた。ともに無派閥で政治資金パーティー券の販売活動とは無縁と見られている。
現職閣僚では、外相の上川陽子、デジタル相の河野太郎(15区)の2氏が有力視されている。上川氏は岸田派で首相の信任が厚い上、菅内閣では法相を務めた。やはり同内閣でワクチン担当相などを務め、新型コロナウイルス対策を進めた河野氏は総裁選で岸田氏と対決した間柄だが、小泉氏同様に国民から人気がある。
「キックバック(還流)の疑いが党役職者などに広がった」(自民党幹部)ことから小幅改造並みの人事構想が浮上したため、現閣僚からの起用も選択肢となっているという。