「九尾の狐(きつね)」の伝説が残る国の名勝史跡「殺生石」(栃木県那須町湯本)で7日、イノシシ8頭の死骸が見つかっていたことが分かった。
付近から出る有毒な火山ガスが原因とみられ、一度に8頭もの死骸が見つかるのは極めて珍しいという。管理する環境省日光国立公園管理事務所那須管理官事務所は、見物の際に柵を越えて近づかないよう呼びかけている。
同事務所によると、7日午前10時20分頃、事務所職員が死骸を発見。8頭とも石の正面から見て右奥付近で横たわっていた。硫化水素などの有毒ガスが特に多い場所だという。連絡を受けた県や那須町は豚熱感染ではないと判断。事務所とともに死骸を回収し、焼却処分した。
殺生石付近では、過去にもキツネやタヌキの死骸が見つかってきたが、関係者は「これだけの数は聞いたことがない」と驚く。散策路と殺生石の間には立ち入り禁止の柵があり、火山ガスへの注意を促す看板も設置されている。同事務所によると、人は極端に近寄らなければ問題ないが、幼児やペットが柵を越えないよう注意が必要という。
殺生石は今年3月、突然真っ二つに割れ、「狐の封印が解かれた」などとネットで話題になった。同事務所の管理官補佐(63)は、今回の件について「自然現象とみているが、皆さんが想像を膨らませてもらう分にはいいのでは」としつつ、「柵を越えたり順路から外れたりしないでほしい」と注意喚起している。