月収の大半を投げ銭する子供部屋おじさん、1400万円費やし一家離散した63歳etc…。「推し」のためにはお金を惜しまない推し活ジャンキーたち。しかしいつまでも推しが輝き続ける保証はない。突如として訪れた“推しとの別れ”のその後を追った。
◆20年で借金1400万円。一家離散した63歳
水商売での“指名”も古くからある推し活のひとつだ。
「フィリピンパブに通い続けて20年。見えと欲でやめ時がわからなくなって借金が1400万円に。そして10年前、家族に逃げられました」
遠い目でそう語るのは明石将一さん(仮名・63歳)。今は都内で一人暮らしの身だ。
「40代の頃、単身赴任先でフィリピンパブにどハマり。ピーナ(フィリピン人女性)はフレンドリーで優しくて、ボディタッチにも寛容。彼女たちの気を引きたくて、当時はやりのバックストリートボーイズのCDを買い、必死に覚えてカラオケで歌いました」
次第に推し活はエスカレートし、ピンパブ愛好家が集まるオフ会にも参加。全国の名店に遠征するようになった。
◆ある日突然音信不通。今思えば詐欺だろうけど…
「浜松の店にとてつもなく美人のママがいて、東京から浜松まで毎週新幹線で通いました。フィリピンにいる彼女の家族にも数十万円単位でお金を送っていた時期も。
結局、一番の推しだった彼女には1000万円使いました。ある日突然帰国して音信不通。今思えば詐欺だろうけど……後悔はまったくない。だって、彼女の笑顔が冴えない日常の唯一の光でしたから」
◆家族を失い残ったのは借金だけ
話を続ける明石さんの目が、徐々に赤みを帯びていく。
「家族を失い残ったのは借金だけ。でも、すべては自分が選択した道。やり直したいけど、あの頃に戻ってもまたフィリピンパブに行くんじゃないかと思うんです。それだけあの日々が楽しかったし、人間って弱いですから……」
◆借金を老いた母が返済
老いた母親が葬式代にと貯めていた資金と退職金で3年前に借金を返済。娘は成人し、結婚、出産を経た今は孫に会わせてくれるようになった。
「孫も歌うのが好きでずっと歌っているんです。僕に似たのかな……(笑)」
取材・文/週刊SPA!編集部