「ブラック校則」か、否か。企業の意見も参考に--。髪形などの校則見直しへ向けて活動している岡山県立興陽高校(岡山市南区)の生徒会が、主に県内の企業約160社に協力を求めたアンケートも参考とするユニークな取り組みを行っている。生徒の主張と社会の声を見比べ、新時代の校則を目指す。
県立高校のブラック校則、愛知県弁護士会が実態調査へ 興陽高では、男子のツーブロック、女子のポニーテールなど若い世代に人気がある髪形が禁止のほか、ソックスの長さや下着の色が定められている。生徒会には「時代に合わない」などの声が寄せられ、4月に校則見直しを学校側へ働きかけることを決めた。

当時、東京都立高校で「(茶色っぽい)地毛でも髪を黒色に染めさせる」などの「ブラック校則」が問題となっていた。都教育委員会は「必要性が疑われる校則」を提示して各校に見直しを促し、いくつかのブラック項目が廃止された。 こうした動きを参考に、生徒会は「大人に任せず、生徒主導での校則見直し」を目指した。一方で、一般社会の常識を取り入れることも意識。同校に就職活動用の求人票を持参する企業162社にアンケートを依頼し、8月31日までに139社から回答を得た。禁止されている髪形をイラストで示すなどして見解を求め、企業が求める人間像も探った。 8月25日には、玉野ライオンズクラブ(岡山県玉野市)の協力を得て「生の声」にも触れた。同市内で開かれた意見交換会には生徒17人、ライオンズクラブ会員ら8人が参加。企業側から「髪形より色が気になる」「何事も程度の問題」などの本音が出る中、生徒会書記の藤田羽楽(ゆら)さん(2年)は「私たちの意見も聞いてもらい、背中を押された気がした」と笑った。 アンケートでは、ジェンダーレスへの意見、取り組みについても参考意見を求めた。中心となった書記の大下隼(しゅん)ノ介さん(2年)は、自身の性別を「男女じゃなく、自分は自分」と表現する。髪形や制服が男女別になっていることに、疑問を抱いているという。 生徒会は2020年から制服見直しにも動き、在校生と県内の中学生にデザインを募集。計218点を生徒らからのインターネット投票などで絞り込み、4月には27年ぶりにリニューアルされた制服がお目見えした。 校則見直しは今後、アンケート内容を精査。10月の生徒総会を経て、具体案を学校側に示す予定。生徒指導課長の井上ゆみ教諭(56)は「生徒は社会の一員でもある」と語り、世代を超えた「声」が集約された校則の誕生に期待する。【堤浩一郎】
興陽高では、男子のツーブロック、女子のポニーテールなど若い世代に人気がある髪形が禁止のほか、ソックスの長さや下着の色が定められている。生徒会には「時代に合わない」などの声が寄せられ、4月に校則見直しを学校側へ働きかけることを決めた。
当時、東京都立高校で「(茶色っぽい)地毛でも髪を黒色に染めさせる」などの「ブラック校則」が問題となっていた。都教育委員会は「必要性が疑われる校則」を提示して各校に見直しを促し、いくつかのブラック項目が廃止された。
こうした動きを参考に、生徒会は「大人に任せず、生徒主導での校則見直し」を目指した。一方で、一般社会の常識を取り入れることも意識。同校に就職活動用の求人票を持参する企業162社にアンケートを依頼し、8月31日までに139社から回答を得た。禁止されている髪形をイラストで示すなどして見解を求め、企業が求める人間像も探った。
8月25日には、玉野ライオンズクラブ(岡山県玉野市)の協力を得て「生の声」にも触れた。同市内で開かれた意見交換会には生徒17人、ライオンズクラブ会員ら8人が参加。企業側から「髪形より色が気になる」「何事も程度の問題」などの本音が出る中、生徒会書記の藤田羽楽(ゆら)さん(2年)は「私たちの意見も聞いてもらい、背中を押された気がした」と笑った。
アンケートでは、ジェンダーレスへの意見、取り組みについても参考意見を求めた。中心となった書記の大下隼(しゅん)ノ介さん(2年)は、自身の性別を「男女じゃなく、自分は自分」と表現する。髪形や制服が男女別になっていることに、疑問を抱いているという。
生徒会は2020年から制服見直しにも動き、在校生と県内の中学生にデザインを募集。計218点を生徒らからのインターネット投票などで絞り込み、4月には27年ぶりにリニューアルされた制服がお目見えした。
校則見直しは今後、アンケート内容を精査。10月の生徒総会を経て、具体案を学校側に示す予定。生徒指導課長の井上ゆみ教諭(56)は「生徒は社会の一員でもある」と語り、世代を超えた「声」が集約された校則の誕生に期待する。【堤浩一郎】