Aさんには高校生の娘がいます。彼女は衣替えの季節になっても半袖の制服を着ることなく、どれだけ暑い日でも長袖制服を着ていました。Aさんが「半袖あるのに着ないの?暑くないの?」と聞くと、「長袖のほうが可愛いし、みんな着てるから」と言って半袖制服を拒否し続けます。
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確かに街を歩いていても、長袖を着ている高校生たちをよく見かけます。しかし長袖制服を着続けたために熱中症になってしまっては大変だとAさんは心配な様子です。実際に暑い日に長袖の服を着ることは、身体に影響がないのでしょうか。アンチエイジング美容医療に携わる美容外科医の近藤惣一郎さんに話を聞きました。
ー暑い時期に長袖を着ることで身体に何か影響は出ないのでしょうか?もし何か影響が出るとしたら、具体的にどのような影響があるのでしょうか?
夏に長袖を着ることには、メリットもあります。具体的には以下の5つです。
紫外線からの保護体温の上昇抑制4世竜げ叔による冷却効果の促進の篷爾砲茲詢笋┣瓩の防止ッ郢匹気譴箍我の防止
長袖は直射日光(紫外線)から肌を守るもっとも効果的な方法の1つです。紫外線は日焼けを引き起こすだけでなく、皮膚がんやシミ、シワの原因にもなります。長袖を着用することで、これらのリスクを軽減できます。
また、日焼けは軽度の火傷状態であり、体の水分を奪うため、脱水症状や熱中症のリスクを高めます。長袖で肌を覆うことは、これらのリスクを低減することにもつながります。
長袖は一見暑そうに思えますが、通気性や吸湿性に優れた素材であれば、直射日光を遮ることで肌表面の温度が急激に上昇するのを防ぎます。これにより体温の上昇を抑え、涼しく感じられる場合があります。
さらに、かいた汗を生地が吸い取り広範囲で効率的に蒸発させます。汗が蒸発する際に体の熱を奪う「気化熱」という現象が起き、これが体を冷やす効果をもたらします。
その他、オフィスや商業施設など冷房が強く効いている場所では、半袖だと体が冷えすぎてしまうことがあります。長袖を着ていれば、腕まくりなどで簡単に体温調節ができ冷えによる体調不良を防げます。
キャンプやハイキングなど、屋外での活動時には、虫刺されや、草木などによる擦り傷から肌を保護する役割も果たします。
ー反対にデメリットはあるのでしょうか?
通気性が悪く汗を吸収しない素材の長袖は、熱がこもりやすく汗が蒸発しにくくなります。その結果、体温がうまく下がらず熱中症のリスクを高める可能性があります。特に高温多湿の環境下で激しい運動をする際は、注意が必要です。また吸水性や速乾性の低い素材の長袖は、汗でべたつき不快感を感じることがあります。通気性が悪いと、蒸れてかゆみなどの肌トラブルを引き起こすこともあります。
ーその他、夏でも屋外で冬服を着るのは、どのような影響があるのでしょうか?
冬服の多くが、保温性を高めるように作られているため、屋外でも冬服を着るのは熱中症のリスクを高めることになります。特にニットやウール、厚手の綿などは、体温を外に逃がしにくい素材です。また冬の冷たい風を通しにくいように、目が詰まった織り方や編み方をされていることが多く、汗を吸っても乾きにくく、服の中に湿気がこもりがちです。
そのため、体内で発生した熱が外に逃げにくくなり、体温が上昇しやすくなります。さらに、汗が生地に吸収されても、なかなか蒸発しないため、気化熱による冷却効果が十分に得られません。他にも、汗と熱が服の中にこもり、肌がベタつき、不快感やあせもなどの肌トラブルを引き起こす可能性があります。
これらの状態が続くと、体温調節機能がうまく働かなくなり、熱中症を発症するリスクが非常に高まります。もしそのような服装をしている方がいる場合は、こまめな水分補給を促したり、涼しい場所で休憩を取るよう、声をかけてあげてください。
◆近藤 惣一郎(こんどう・そういちろう)SOグレイスクリニック院長 京大卒・医学博士
若返り専門の美容外科医。美は健康の上になり立つという理念のもと、正しい食生活・運動習慣・ダイエットに関する知識が豊富で、自らもダンサーとして、プロフィッシングアングラー(DAIWA)として、若さとナイスボディを保ち続ける。
▽SOグレイスクリニックHP
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)