理不尽な苦情→ドラレコ証拠に反論…高槻市営バス「お客様の声」が話題に 7年続く取り組みの背景は

「ご指摘のような事案は確認できませんでした」――。2025年8月中旬、ドライブレコーダーなどの証拠に基づいて、乗客の理不尽な苦情に対応するバス事業者が注目を集めた。
この事業者は、大阪府高槻市内を走る高槻市営バスだ。公式サイト上の「お客様の声」では、利用者からの苦情・意見の内容を公開した上で、証拠に基づきながら確認した結果などを伝えている。
高槻市交通部の総務企画課は25年8月26日、「利用者からの苦情や要望に対し、事実確認できたものを公開している」と取材に説明する。クレームへの反論が目的ではなく、「適切な意見に対し、反省した上で今後は改善していくことを伝える目的で行っています」と話した。
今回SNSで注目を集めたのは、高槻市営バスの「お客様の声」。例えば、乗る予定だったバスが停留所を止まらずに通り過ぎていったという利用者の「苦情」に対し、バス側は次のように回答した。
そのほかにも、複数の利用者が乗車している最中に、運転士が「ドアを閉める」と言い出したため、1人の高齢者が乗れなかったという「苦情」があった。これに対しても、バス側は証拠に基づきながら対応している。
このような利用者からの不当な苦情に対し、証拠に基づきながら対応している点が大きな話題になった。「バス会社の真摯な姿勢に頭が下がります」「会社に落ち度がないことをしっかり主張してて偉い」「事実のみで返答しているところに好感がもてる」などの声が上がっている。
適切な苦情があった場合も、「お客様の声」で公表している。たとえば、バス亭を通り過ぎるケースについて、先述した件とは別の苦情に対し、「当該乗務員からの報告により、当該事実を確認しました。今後は同様のことがないよう再発防止に努めてまいります」としている。
高槻市交通部の総務企画課によれば、高槻市営バスの公式サイトを開設した19年1月から「お客様の声」を行っている。約7年続く取り組みだ。当初から、事実に基づいた適切な苦情・意見だけではなく、事実無根の苦情も公表する方針を取っていたという。
電話やメールなどで、月に数十件の苦情や要望が寄せられる。全てを記録として残し、この中から事実を確認できたものは基本的に公表している。ドラレコなどで事実を確認できない場合には、真偽が不明なため掲載しないという。