チェーンソーを操る女子高校生が全国大会へ 「いかに森林が大事か」 温暖化や土砂災害を防ぎたい【岡山】

岡山県の女子高校生が今年の秋に鳥取で開催されるチェーンソーの操作技能を競う全国大会に挑みます。将来は林業関係の仕事に就き、環境保全に取り組みたいという彼女。夏休み返上で猛練習を行っていました。
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重さ6キロのチェーンソーを巧みに操る山本璃奈さん【画像①】。岡山県勝央町の勝間田高校で、林業に関する専門知識を学ぶ森林コースの3年生です。
その山本さんが出場するのが、今年10月に鳥取で開催される、チェーンソーの操作技能を競う全国大会です。学校内での選考に合格し、大会の抽選にも当選したことで、校内唯一の選手として大会に乗り込みます。
(勝間田高校 森林コース3年 山本璃奈さん)「誇らしいけど、やはり不安はありますね。ちょっとでも、いい成績を残して胸張って帰れたらいいなと」
出場するのはレディースクラスで、競技者10人のほとんどがプロの林業従事者という中、最年少で唯一の高校生です。競技は予選が3種目【画像③】。決勝は5種目【画像④】で各競技の総合得点を争います。
しかし、校内には、競技用の練習設備がないため、すべての種目を練習することができません。そのため、主に木を狙った方向に切り倒す伐倒と呼ばれる技術を磨いてきました。
「違う、ごめん。行き過ぎた」
(勝間田高校 植月基行教諭)「ここ【画像⑤】にあるのが練習したあとですね。自分たちがやるべきことを理解しながら技術として身に着けていってくれています」
(勝間田高校 森林コース3年 山本璃奈さん)「最初のうちは水平のところ【画像⑥】もうまくとれなかったので、夏休みずっと来てよかったと思います」
ともに練習にはげむ仲間からは…
(勝間田高校 森林コース3年 寺坂祐真さん)「もともとチェーンソーを動かせないところから始まったので、成長したなと思いました。目指せ日本一。がんばってほしい」
「練習が楽しくてしかたない」と話す山本さんです。そもそも、なぜ林業に興味を持ったのでしょうか。
(勝間田高校 森林コース3年 山本璃奈さん)「自分が中学3年生の時に地球温暖化のことなどがニュースにあがっていたりして、じゃあなくすためにどうしたらいいかと考えていくうちに…」
植樹や間伐などで森林を保全し、温暖化や土砂災害などを予防する林業に希望を見出したといいます。
(勝間田高校 森林コース3年 山本璃奈さん)「知れば知るほどいかに森林が大事かが分かったので、なおさら林業に携わる道に行きたいというのは強く思うようになりましたね」
現在、担い手不足が問題となっている林業です。海外から安い木材が入ってきたことで、国産のスギやヒノキの価格は50年前の3分の1に。それにともない岡山県の林業就業者も当時の半分以下の約1200人にまで減少しています。こうした中、勝間田高校の森林コースでは、毎年、卒業生の半数にあたる10人ほどが林業関係に就職しているといいます。
(勝間田高校 植月基行教諭【画像⑧】)「県内で唯一林業を学べる学校であるということなので、本校の担っている役割というのは非常に大きいと思います」
今月22日、山本さんらを指導するため、全国大会に出場経験のある林業関係者が学校を訪れました。去年の夏以来の訪問です。
(かわうち林業 河内孝介社長【画像⑨】)「すごく上手になっていて、努力したんだなと感じて。そこに感動しました」
この日は、競技種目の1つ、「接地丸太輪切り」【画像⑩】の練習環境が整えられました。競技は、板の上に置いた丸太を、断面を隠した状態で2本続けて輪切りにするというもの。板に少しでも傷がつくと「得点なし」という厳しい条件の中、どこまで深く切り込めるかを競います。まずは、大会出場4回という熟練者が手本を見せます。
「切れてない」「え~」
まさに神業。もう一本の丸太も板まで薄皮一枚という精度です。
(勝間田高校 森林コース3年 寺坂祐真くん)「日本トップクラスはすごいなと実感しました」
(勝間田高校 森林コース3年 山本璃奈さん)「自分にできるか不安でいっぱいです」
初めて挑む山本さん。その結果は…。
「しっかり残ってる」
板まで残り1.4センチと2センチというまずまずの記録でした【画像⑫】。
(かわうち林業 河内孝介社長)「上手だと思いますよ。十分戦えると思います」
(勝間田高校 森林コース3年 山本璃奈さん)「目指すは優勝と言いたいんですけれど、ちょっと厳しいので、今より上手になれてたらうれしいです」
大会は10月18日からの2日間です。自分の技術がどこまで通用するのか。今後の林業を担う女子高校生の挑戦が続きます。