中居正広さんと元女性アナウンサーとのトラブルへの対応をめぐり、フジテレビは8月28日、港浩一元社長と大多亮元専務を相手取り、50億円の損害賠償を求める裁判を東京地裁に起こしました。
トラブルについて報告を受けた港元社長と大多元専務が、重大な人権侵害の可能性のある事案だったにもかかわらず、善管注意義務を怠った結果、同局に損害を与えたとしています。
フジテレビが被った損害を約453億としたうえで、その一部として50億円の支払いを二人に連帯して求めています。テレビ局の経営陣をめぐる訴訟としては極めて異例の規模といえそうです。
実は、訴訟を起こす際、裁判所に「手数料」(収入印紙代)を収める必要があります。請求金額(訴額)によって決まる仕組みなのですが、はたして50億円の場合いくらになるのでしょうか。
手数料の金額は、民事訴訟費用等に関する法律で定められており、具体的には裁判書が公開している別表によるものとされています。
計算が少しややこしいので省きますが、たとえば100万円を請求する場合、手数料は1万円、1000万円なら5万円となり、10億円なら302万円となります。つまり、訴額が大きいほど手数料も高くなります。
上記の表に基づいて計算すると、50億円の場合、なんと1102万円の収入印紙代を裁判所に納める必要になります。これに弁護士費用もかかるため、フジテレビの実際の負担はさらに大きくなるでしょう。
この訴訟では、フジテレビが主張する「経営上の不適切対応」と損害の因果関係が争点になると思われます。
テレビ局が元経営陣を相手にこれほどの規模の損害賠償を求めるケースはめずらしく、裁判の行方次第では、企業統治や経営責任のあり方をめぐる議論にも波及する可能性があります。