ラーメン二郎 府中店が、「御食事は20分以内でお願い申し上げます」との張り紙を券売機に掲示しSNSにも投稿したところ、否定的な意見が相次ぎ炎上騒ぎになった(現在、当該投稿は削除)。同店は「ラーメン二郎は怖い店だ、高圧的な店だと誤解させる結果となり、お客様、二郎関係者、多方面にご迷惑と不快感をもたせてしまい、大変申し訳ありませんでした」などと謝罪に追い込まれる形となった。
これに「時間制限をかけたくなる気持ちもわかる」話すのは、ルールが多く厳しいことでも知られる行列店、福岡県八女市の『あなたの心を鷲掴み』(以下、あなわし)の店主である三浦隆寛氏(41)だ。
前編記事に続き、三浦氏にラーメン二郎炎上問題を語ってもらう。
“ロット”でラーメンを作るラーメン二郎は、1人の客が原因で複数の客を待たせてしまうという構造をとる。二郎と同じく“ロット制”の『あなわし』にも、他の客の存在が見えていないのでは? と感じる客がいるという。こうした人には、三浦氏も困っている。
「食事中、ずっとスマホを触っている人は多いです。これは私の考えですが、動画を見ながらくらいだと食べる時間にさほど影響は出ないんです。お客様のスマホを覗きこむことはできないので具体的にはわかりませんが、滞在時間が長い方は、ラーメンや店内の撮影をしてSNSへの投稿までその場でやっているみたいです」(三浦氏、以下「」も)
自身も長時間の行列を経てラーメンにたどり着いたのなら、投稿は店を出てからだと判断するのが当然のようにも感じられるのだが、そうではない人が現実にはたくさんいるのだ。
また、スマートフォン以外では、喫茶店やファミレスにいるかのように喋りすぎて、長居になるケースも多いとのことだ。
「カップルで来られた方で、ラーメンをなかなか食べずに2人でずっと喋っているんですよ。それだけではなく、頭をなでたりほっぺたを触り合ったり……。最終的には、男性が女性の唇についたスープを拭いてあげて、その様子を2人で動画に撮って笑いあったりしてるんです。イチャつくのは勝手ですが、並んでいる人がいるのに、ラーメンをほったらかしで極端に遅くなるのは勘弁してもらいたいですよ」
現在、『あなわし』には食事時間に関するルールはないが、こうした事例が増えてくれば、ルールを作らざるを得ない状況になることも想像に難くないだろう。
「前編でも話した通り、私の経験上、長居になる人はスマホをずっと触っている人かお喋りばかりしてなかなか食べ進めない人の2パターンだけなんです。だから、もう少し他のお客様のことも考えてもらいたいと思うケースはあります」
自身の店でも、複数のルールを設定している三浦氏は、ラーメン二郎 府中店の炎上について「ルールの設定自体が原因ではなく、背景があるのでは」と、自身の経験を話す。
「私も、ラーメン二郎の三田本店に食べに行ったことがあります。行列に並んでいて私の順番になったら、店員さんに『奥の席にどうぞ』と店の外で言われたんですね。初めて入る店だったので、店に入ってから「奥ってどこだろう」と一瞬キョロキョロしたんです。すると、厨房の店員さんにアゴで『あっち』と指示されたんです」
この経験から、「もうこの店には来ない」と思ったと三浦氏は振り返る。
「これは私が体験した一例ですが、こうした接客をしているから、そもそも『高圧的』という印象を持たれているのではないか。これらの背景も今回の炎上の一因と考えています」
ルールは多いが、大切な客への態度には気を遣う同店。だからこそ、三浦氏はラーメン二郎の接客に思うことがあったのだろう。
カスハラが話題に上ることが増えた現代。利用者のマナー悪化や横暴が跋扈すれば、ルールを定めなければやっていけない飲食店も増えているだろう。
しかし、炎上をして悪評を広めてしまっては本末転倒となってしまう。
飲食店と消費者が、お互いを思い合えるようになれば、こうした問題も減ってくるはずだ。
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(取材・文/Mr.tsubaking)
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