熱中症対策のつもりが逆効果にも……正しい知識が必要な夏の涼しさ「扇風機の風を浴びて寝ると死ぬ」──そんな都市伝説を耳にしたことはありませんか? 猛暑が年々厳しくなる中、熱帯夜も切実な問題です。熱中症予防や睡眠環境の改善のために扇風機を活用したい一方、「つけっぱなしで寝ると体に悪いのでは」と不安を感じる人も多いでしょう。
結論から言えば、現代の日本で健康な人が扇風機の風で命を落とすことは、医学的に考えにくいです。ただし使い方を誤ると、夏特有の体調不良を引き起こす可能性があります。この記事では「扇風機と健康」の正しい関係を解説します。
「扇風機の風に当たりすぎると死ぬ」は本当か? 都市伝説の真偽かつて、「Fan Death(扇風機死)」という都市伝説が話題になったことがあります。「寝ている間に扇風機をつけっぱなしにすると、低体温症になり死亡する」という話です。
しかし、日本の夏は湿度が高いため、皮膚表面の熱が気化熱で奪われにくく、扇風機の風で体温が危険なレベルまで下がることは通常ないでしょう。風により冷気で皮膚温が一時的に下がったとしても、健康な成人の深部体温が命に関わるほど下がることは現実的には考えられません。
夜の扇風機で胃腸不調? 健康な人も注意が必要な「寝冷え」東洋医学では「寝冷え」が体調不良の原因とされますが、西洋医学でも、冷気によって消化器の血流が変化し、腹痛や下痢など機能性胃腸症が現れることがあります。
睡眠中は深部体温が下がり、皮膚表面の血流が増えるため、体が冷えやすい状態です。そこに扇風機の風が加わると、特にお腹が冷え、翌朝の胃もたれや腹痛を引き起こす原因に。子どもや高齢者、胃腸が弱い人は「冷やしすぎない工夫」が大切です。
扇風機の効果的な使い方……熱中症・冷え対策のポイント▼1. 直接風を当てすぎない
風を体に直接当て続けるのではなく、部屋の空気を循環させるように使いましょう。扇風機の風は「汗の気化」を促して熱を逃がす効果があるため、体表温を数度下げることができます。