カレー店倒産が過去最多。コメ高騰だけではない“本当の原因”とは?人気スーパーの驚きの進化も

カレー店倒産の理由は、米高騰だけじゃない。

高級パン専門店、唐揚げ専門店、焼肉店、ラーメン店……。

コロナ禍以降、飲食業界の倒産関連ニュースが目立つようになっています。そして先日話題になったのが、「カレー店」。帝国データバンクの調査によれば、2024年度のカレー店の倒産件数は13件に達し、2年連続で過去最多を更新しているそうです。

倒産の理由を考えてみると、「そりゃそうだ、米高騰が原因でしょ?」と考える人も少なくないでしょう。うーん、本当にそれだけなのでしょうか? 冷静に考察してみたところ、カレー店の倒産に限っては、米問題だけで片付く話ではなさそうです。

いったいどんなことが問題になっているのか、おいしいカレーの話をご紹介しながら見ていくことにしましょう。

◆カレーは、1000円以下で食べるのが当たり前の時代に

はじめに、身近な飲食店におけるカレーメニューに目を向けてみましょう。牛丼チェーンのすき家では6月24日から「ぷりぷりエビのビスクソースカレー」(850円)が発売されました。

すき家定番の「カレー」にぷりぷり食感のエビが乗り、濃厚なビスクソースがかかった目新しいカレーです。競合を見てみると、松屋では「欧風牛タンカレー」(780円)、吉野家では「牛×牛カルビスパイシーカレー」(927円)が登場し、いずれもこだわり感たっぷりなごちそうカレーであることがわかります。

そしてここで気がついたのは、「こだわりカレーは1000円以内で食べられる」ということ。そして容易に想像がつくのは、1000円を超える価格帯で勝負するカレー専門店の場合、よほど群を抜くようなおいしさでないと、大手チェーン店には戦てないのです。

このように牛丼チェーンの事例をみれば一目瞭然で、厨房で一から手作りしなくてもそこそこ美味しいカレーが調達できる時代になり、専門店でなくても参入しやすくなっている環境にあることは間違いありません。つまりカレーは、敵が多すぎるのです。

◆安い!ウマい!スーパーのカレーが驚く進化を遂げている

敵は飲食業界だけではありません。今、目を見張るような進化を遂げているのが、スーパーマーケットです。

例えば、「肉のハナマサ」。関東圏を中心に関西エリアにも進出しはじめた肉に強いスーパーで、プライベートブランド商品のカレー関連商品が人気を博しています。

料理派には「お肉屋さんが作った美味しい黒カレー」といったこだわりのルウがそろい、時短派にはタイカレーや骨付き肉が入ったレトルトカレーが種類豊富にラインナップされています。

◆ベイシアのセルフ式カレーライスが大人気

もう一つ注目すべきは、群馬を拠点に展開する「ベイシア」。惣菜売り場にある“セルフ式カレーライス”が大人気になっています。ルールとしては、ごはん、カレー、麻婆豆腐が盛りつけ自由で、容器のフタがしまればOK。価格は322円。カレーの味は申し分なく、麻婆豆腐と合わせることで新しい味わいを楽しむことができるのです。

つまり今の不景気な日本において、スーパーに行けばワンコインどころか、おつりが返ってくるような低価格でおいしいカレーが食べられるということ。こだわりのルウやレトルトカレーであってもワンコイン以内で調達が可能になっていることも忘れてはなりません。

私はスーパーマーケット研究家という立場として断言したい!スーパーはカレー専門店をしのぐような実力をつけつつある脅威の存在として、確かな進化を遂げているのです。

◆カレーはどこまで安くなる?無印の190円カレーに驚いた

このように広く見ていくと、上手に選択していくことができれば、カレーはどんどん美味しく、どんどん安くなっていると捉えることができます。

無印良品では、北と南で特色の違うインドカレーを3種類ずつ組み合わせた本格カレー商品が1人前590円で販売されています。そして出会ったのが、現在190円に値下げされている「素材を生かしたカレー マッシュルームマタル」。