気づかないうちにスマホ依存になっているかもしれません(写真:Pangaea/PIXTA)
「スマホを肌身離さず持っていなければ落ち着かない」「暇な時間があるとスマホをつい触ってしまう」「SNSを確認するだけのつもりが、気づいたら数時間もスマホを操作していた」。これらにもし思い当たる節があるなら、気づかないうちに「スマホ依存」になっているかもしれません。
スマホ依存はさまざまな心身の不調の原因となります。日本認知症学会専門医・指導医であり、多くのスマホ依存症の人を改善に導いてきた『スマホ脳の処方箋』の著者・奥村歩氏が、スマホ依存の仕組みと引き起こされる心身の不調について詳しく解説します。
現在、スマホ=「プチ麻薬」といっていいほどスマホ依存が深刻な問題になっています。「そんな大袈裟な!」と思われるかもしれませんが、最近の医療現場では、スマホはお酒やたばこ、薬物と同じ危険な「依存性物質」と認定されています。
依存症を引き起こす依存性物質には次の共通した特徴があるのですが、スマホはこの 銑イ琉預言物質の特徴をバランスよく満たしています。
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脳は依存性物質に対して飽き性なため、同じ刺激では次第にドーパミンの分泌が減少します。そのため、依存症の人はさらに強い刺激を求める傾向にあります。
例えばアルコール依存症では、初めは缶ビール1本で気持ちよく酔っぱらうことができていたのに、それがビールを2本、3本、さらにウイスキーなどより度数の強いお酒に手を出すようになります。このように摂取する依存性物質の量や質がエスカレートしていくのが依存症の怖さです。
スマホはその点で特筆すべきものがあります。SNSやウェブサイトでは、視聴者が飽きないように、毎日、刺激が強いコンテンツを無料で配信し続けます。膨大な情報が次から次へと脳へ流れていき脳のエネルギーを消耗させるのです。
さらに他の依存性物質と違って、人に迷惑をかけない点もポイントです。これがイ砲△燭蝓⇔磴┐价浪偲瓦任和燭の人がスマホを触って移動しています。電車のなかでたばこを吸ったり、お酒を飲んだりすれば非難の視線を浴びますが、スマホを利用しても白い目を向けられることはほぼありません。
スマホは他の依存性物質と同様に危険な一面があるのに安全そうに見える。だからかなり問題なのです。
スマホ依存は、本人に依存症になっている自覚が乏しいです。自覚しないと対策もしないため、脳の疲れがどんどん悪化して「脳過労」となります。脳過労とは脳の使いすぎによって脳の機能が低下した状態のことです。
本来、聡明な方であっても脳過労の状態になると、依存症から逃げ出すことが困難になります。脳過労では、行動を柔軟に変えていく前頭葉の働きが低下するためです。
スマホ依存になると脳過労になると述べました。この脳過労を改善するには仕事や家事から解放される「ひととき」の活用がとても有効なのですが、現代人はこれがうまくできません。例えば、人工的な情報を遮断して四季の移り変わりを感じる。自然のなかに身を置き、一息つく。脳はそういうぼんやりとした状態でリフレッシュされ、疲れが癒やされます。
『スマホ脳の処方箋』より
ところが、脳を休めることができる暇なときにも、多くの人がスマホなどで「ネットサーフィン」をしています。これが悪影響を及ぼします。ラインやゲームアプリ、インターネット情報などをなんとなく閲覧するなどといった「だらだらスマホ」は、情報量がとてつもなく巨大です。
リラックスしてスマホを操作しているつもりでも、脳には多大な負担がかかっています。スマホを長時間使用し続ければ、脳のセロトニンが枯渇して、やがては脳過労の状態が増悪してしまうでしょう。
脳過労の状態が増悪すると、多様な心身の不調を引き起こします。上の図をご覧いただければわかるとおり、それらは頭痛や身体の痛みなど症状が多岐にわたっています。
そのため、一般の病院では脳過労が原因であることを見過ごしてしまうことも少なくなく、長期的に症状に悩まされている患者さんもよくいらっしゃいます。
参考までに、下の図は脳過労が原因になっている可能性がある診断名です。これらは客観的な異常が視覚的に示されない心身の不調が中心であるため、「精神的な問題」として片づけられることもよくあります。
『スマホ脳の処方箋』より
ですが、これらの症状は身体の各部位や精神的な問題ではなく、スマホ依存によるセロトニンの枯渇が脳過労の状態を増悪させて発生している場合が多くあるのです。
みなさんも次のような行為に思い当たる節はありませんか?メールが届くとすぐに確認するメールがあるかどうか1日に何度もチェックするグループラインで回っている情報を知らないのは怖いたいして役に立たないとわかっているサイトを皆が見ているといった理由で定期的に訪ねるスマホが手元にないと不安に感じるこのような行為に少しでも心当たりがあるなら、スマホ依存を原因とした脳過労になっている可能性があります。スマホ依存は、生活習慣を変える必要がありますが、まずはあなたがスマホ依存であるかチェックするリストを拙書『スマホ脳の処方箋』より抜粋し下記に記載いたしました。ぜひ一度自身の状態を確認してみることをお勧めします。『スマホ脳の処方箋』より(奥村 歩 : 日本認知症学会専門医・指導医 おくむらメモリークリニック理事長)
みなさんも次のような行為に思い当たる節はありませんか?
このような行為に少しでも心当たりがあるなら、スマホ依存を原因とした脳過労になっている可能性があります。スマホ依存は、生活習慣を変える必要がありますが、まずはあなたがスマホ依存であるかチェックするリストを拙書『スマホ脳の処方箋』より抜粋し下記に記載いたしました。ぜひ一度自身の状態を確認してみることをお勧めします。
『スマホ脳の処方箋』より
(奥村 歩 : 日本認知症学会専門医・指導医 おくむらメモリークリニック理事長)