「日本テレビ」の菅谷大介アナウンサーが、今月8日に亡くなったと報じられています。53歳でした。2022年に病を公表していました。そこで、膵臓がんになりやすい人の特徴・症状・原因・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
監修医師:関口 雅則(医師)
浜松医科大学医学部を卒業後、初期臨床研修を終了。その後、大学病院や市中病院で消化器内科医としてのキャリアを積み、現在に至る。内視鏡治療、炎症性腸疾患診療、消化管がんの化学療法を専門としている。消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、総合内科専門医。
膵臓がんは、膵臓に発生する悪性腫瘍のことです。とても進行が早く、かつ初期症状が出にくいために見つかった時には進行していることが多く、治療が難しいがんの一つです。今回の記事では、膵臓がんになりやすい要因や、症状、予防法について解説します。
膵臓がんになるリスクが高いと考えられる生活習慣等について、解説していきます。
タバコを吸うことは、膵臓がんのリスクを大幅に高める要因の一つです。喫煙者は非喫煙者に比べて膵臓がんになるリスクが約2倍に増加するとされています。喫煙により、膵臓の細胞にダメージが蓄積されることで、がんが発生しやすくなると考えられています。タバコは膵臓がんのみならず、他のがんのリスクも高めます。タバコを吸っている場合には禁煙を検討し、必要であれば禁煙外来などの医療機関を受診しましょう。
肥満も膵臓がんのリスクを高める要因の一つです。BMI(Body mass index:体格指数)が30以上では、膵臓がんになる可能性が高くなるといわれています。特に内臓脂肪が多い人は、インスリン抵抗性が高まり、それにより膵臓がんの発生リスクが増加する可能性があります。適切な体重管理と健康的な食生活を維持することで、膵臓がんのリスクを下げることができます。定期的な運動やバランスの取れた食事が効果的です。
年齢が高くなるにつれて、膵臓がんのリスクも増加します。膵臓がんは、50歳以上の高齢者に多く見られ、特に70歳以上でそのリスクが高まります。年齢とともに体の免疫力や細胞修復能力が低下するため、がんが発生しやすくなると考えられています。定期的な健康診断を受け、早期発見に努めることが重要です。
男性は女性よりも膵臓がんを発症する可能性がわずかに高いとされています。理由としては、男性の喫煙率の方が高く、膵臓がんのリスクを高めているのではないかと考えられています。
糖尿病患者は、膵臓がんのリスクが高いことが知られています。糖尿病と膵臓がんの関係は複雑で、糖尿病が膵臓がんのリスクを高めるのか、または逆に膵臓がんが糖尿病を引き起こすのか、まだ完全には解明されていません。しかし、血糖値の管理が不十分な場合、膵臓の機能が低下し、がんの発生リスクが高まる可能性があります。糖尿病の管理を適切に行うことが、膵臓がんの予防に寄与します。
膵臓がんは早期発見が難しい病気ですが、いくつかの症状が現れることがあります。以下に、膵臓がんの代表的な症状について解説します。
膵臓がんによる腹痛は、特に上腹部や背中に感じることが多いです。この痛みは持続的で、徐々に強くなることが特徴です。また、痛みが食事や姿勢に影響を受けることもあります。腹痛が続く場合、消化器内科を受診しましょう。
食欲不振は、膵臓がんの初期症状の一つです。特に、原因不明の体重減少や食べ物への興味が薄れる場合、膵臓がんが関与している可能性があります。食欲低下が続く場合は、早急に医師に相談し、適切な検査を受けることをおすすめします。
腹部膨満感も膵臓がんの症状の一つであり、特に病気が進んで腹水が溜まることによって起こることがあります。膵臓がんによる腹部膨満感は、消化不良や腸閉塞を引き起こす可能性があり、食事が困難になることがあります。このような症状が続く場合、専門医による診察が必要です。特に、症状が急速に悪化する場合は緊急性が高いと判断されます。
膵臓がんが胆管を圧迫することで、胆汁の流れが阻害され、黄疸が現れることがあります。黄疸は、皮膚や白目が黄色くなることで気づかれることが多く、尿が濃い色になることも特徴的です。黄疸が現れた場合、肝臓疾患や膵臓がんなどの可能性があり、直ちに医師の診察を受けることが必要です。消化器内科や外科、肝胆膵外科での早急な対応が求められます。
膵臓がんが進行するにつれて、がんが神経に浸潤し、腰や背中に痛みを感じることがあります。この痛みは、座ったり横になったりすることで少し和らぐことがありますが、持続的で徐々に悪化する傾向があります。腰や背中の痛みが続く場合、特に他の症状と併発している場合は、早急に医療機関での診察が必要です。
膵臓がんのリスクを高めるとされる主な要因について説明します。
慢性膵炎は、膵臓に炎症が長期間続く状態であり、膵臓がんのリスクを高める要因となります。膵炎が慢性的に続くと、膵臓の細胞が傷つき、がん化しやすくなると考えられています。慢性膵炎の患者は、定期的に消化器内科や肝胆膵外科で検査を受け、膵臓の状態をモニタリングすることが重要です。特に、症状の悪化や新たな症状が現れた場合には、早急に医師に相談することをおすすめします。
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は、膵臓内の管に発生する腫瘍です。この腫瘍は悪性化するリスクがあり、膵臓がんの前段階と考えられています。膵臓がんのリスクを軽減するためには、早期発見と適切な治療が鍵となります。そのため、IPMNを持つ患者は、定期的な検査と経過観察が必要です。
膵臓がんの家族歴がある場合、遺伝的な要因が関与している可能性があり、リスクが上昇します。特に、複数の家族が膵臓がんを患っている場合は、遺伝子検査を検討することが重要です。遺伝子カウンセリングを受けることで、膵臓がんのリスクの評価と、適切な予防策を講じることができます。定期的なスクリーニングや専門医の診察を受けることで、早期発見が期待されます。
高脂肪食や加工食品の過剰摂取は、膵臓がんのリスクを高める可能性があります。特に、赤身肉や加工肉の摂取が多い人は注意が必要です。食生活の改善は、膵臓がんの予防において重要な役割を果たします。野菜や果物を多く取り入れ、バランスの取れた食事を心がけることで、膵臓がんのリスクを下げることが期待できます。健康的な食事は、膵臓がんだけでなく、他の病気の予防にも役立ちます。
長期間にわたる大量の飲酒は、膵臓がんのリスクを高める要因となります。アルコールは膵臓に負担をかけ、炎症を引き起こす可能性があるため、適量を守ることが重要です。飲酒量を制限し、定期的に健康チェックを受けることで、膵臓がんのリスクを軽減することができます。アルコール依存のリスクがある場合、専門家の支援を受けることをおすすめします。
膵臓がんを予防する確実な方法は、現時点ではありません。しかし、以下のようなことに気をつけることで、膵臓がんのリスクを軽減できる可能性があります。
健康的な体重を維持することは、膵臓がんのリスクを低減する重要なポイントです。肥満はインスリン抵抗性を高め、膵臓に負担をかけるため、適切な体重管理が推奨されます。バランスの取れた食事と定期的な運動を取り入れることで、健康的な体重を維持し、膵臓がんのリスクを下げましょう。
喫煙は膵臓がんの最も大きなリスク要因の一つであり、禁煙は膵臓がんの予防において最も効果的な方法です。喫煙を続けると、膵臓の細胞が損傷を受け、がんが発生しやすくなります。禁煙することで、リスクを大幅に減らすことが可能です。自分一人での禁煙が難しい人は禁煙外来の受診も検討しましょう。
アルコール摂取を制限することも、膵臓がんの予防に有効です。大量のアルコールは膵臓に負担をかけ、がんのリスクを高めるため、適度な飲酒を心がけることが重要です。アルコール摂取量を見直し、適正な量を守ることで、膵臓の健康を維持し、膵臓がんの予防につながります。
ここまで膵臓がんになりやすい人の特徴を紹介しました。ここでは「膵臓がんになりやすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
関口 雅則 医師
膵臓がんの好発年齢は、通常50歳以上の高齢者に多く見られます。特に70歳以上でリスクが高まる傾向がありますが、若年層でも稀に発症することがあります。早期発見のためには、定期的な健康診断が重要です。
今回の記事では、膵臓がんのリスク要因や、その予防法について解説しました。膵臓がんは、早期に発見することが難しく、進行が早いため、予防と早期発見が重要です。リスク要因としては、喫煙、肥満、高齢、糖尿病、慢性膵炎、家族歴などが挙げられます。これらのリスク要因を持つ方は、定期的な健康診断を受け、症状が現れた際には早急に医師に相談することが重要です。さらに、禁煙や適度な運動、バランスの取れた食事、アルコール摂取の制限などの生活習慣の改善が、膵臓がんのリスクを減らすことにつながります。ぜひ、自分の生活習慣を見直していきましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「脳腫瘍の前兆となる4つの初期症状」はご存知ですか?原因も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。