「聞こえへん!聞こえへんよ~!!」と裁判中に傍聴席から…裁判ウォッチャーのすぐそばにいた“ヤバい傍聴人”

どうも、今年公開された映画『死刑にいたる病』の法廷シーンで傍聴席にこっそり座っている阿曽山大噴火です。傍聴席に座っているだけなのでストーリーに絡むこともなく、撮影でも監督から何の指示も無いというホントになんでもない人でしたが。
【画像】突然、傍聴席から両手をメガホンのように口元に当てて女性が叫んだ言葉 さて、裁判は公開されているので座席が空いていれば誰でも傍聴が可能です。傍聴席まで描写してある傍聴記は少ないですが、傍聴人も裁判を構成する一員なのです。

そして、裁判傍聴は自由ですが傍聴にはルールがあります。飲食禁止とか、撮影録音禁止とか、スマホの電源は切るとか、居眠り禁止とか、読書禁止とか、ヘルメット禁止とか…。ホント細かい決まりがあるのです。じゃないと裁判の邪魔になっちゃいますからね。 でも、中にはルールを守らない傍聴人もいるんですよね……。という訳で、傍聴席の方でも動きがあった印象深い裁判の傍聴記を。傍聴人も裁判を構成する一員。だが… iStock.comその裁判、争われた罪名は「窃盗」でした 2010年10月25日。大阪地裁で傍聴した裁判の話です。〈罪名:窃盗被告人:アルバイトの男性(59)〉 起訴されたのは、2010年4月21日午後4時08分頃、競艇の舟券売り場であるボートピア梅田の2階で、被告人がお客のショルダーバッグから勝舟投票券2枚(1300円相当)を盗んだという内容です。教師→風俗店勤務→コンビニ店員→非行防止の見回り…職を転々とした被告人 検察官の冒頭陳述によると、被告人は大学卒業後に小学校の教師になり、その後は中学校教師として働いていたものの、先生を辞めてからは風俗店勤務やコンビニ店員、青少年の非行防止の見回りの仕事など職を転々としていたそうです。前科は2犯で、いずれも窃盗だそうです。 被告人はボートレースを観戦するのが好きで、度々ボートピア梅田を訪れていたとのこと。犯行当日、ボートピア梅田で被告人はショルダーバッグから舟券が見えている被害男性を発見。 被告人はその後ろを追尾して、被害男性がテレビモニターでレースに集中しているスキに舟券2枚を窃取。防犯カメラを確認していた警備員が不審な動きをしている被告人を注目していたところ、舟券を盗んだのでその場で逮捕したというのが事件の詳細でした。 ちなみに被告人が盗んだ舟券は2枚ともハズレ。ギャンブルはなかなか上手くいきませんね。「逮捕された時の所持金は?」「90円です。2万円の炊飯器を買ってしまって…」 そして、被告人質問。まずは、弁護人から。弁護人「逮捕された時の所持金は?」被告人「90円です」弁護人「ちょっとのアルバイト、あとは生活保護ももらってたんですよね。なんでそんなにお金がなかったんですか?」被告人「その日は家賃と光熱費を払って、あと、2万円の炊飯器を買ってしまって……」弁護人「無計画にボートレースをやって、お金がなくなったわけじゃないんですね?」被告人「はい」 無計画にギャンブルで散財して所持金が90円になったわけじゃない……とアピールです。2万円の炊飯器を買うのが無計画な気もしますが。被告人質問の真っ只中に突然、傍聴席から…弁護人「90円しかないのに、なぜボートピア梅田に行ったんですか?」被告人「私は競艇を観るのが好きで、舟券を買わないで観戦することもよくありました。それで以前、ボートピア梅田で知り合った人に1000円を貸してたんです。できれば返してもらいたくて……。名前は知らないんですけど、その人は毎回見かけるので」弁護人「観戦目的もあったけど、金を返してもらう目的もあったと?」被告人「そうです」弁護人「でも、あなたを逮捕した警備員によると、“キョロキョロしてた”と、あなたの犯行の様子を答えてるんですけど、盗めそうな人を物色してたんですか?」被告人「いいえ。確かにキョロキョロしてましたけど、名前知らない人を探してたので……」 と、金を貸していた人を探していたのが怪しく見えただけだと答えたところで、ハプニング発生! なんと、傍聴席に座っていたメガネを掛けた高齢の女性が、傍聴人「これ、嘘ついてんな。な、な?」 と、ツッコミを入れたのです。もちろん傍聴席は私語禁止。喋るだけでもアウトなのに結構な大声。しかも、社会科見学なのか数人で固まって傍聴している男子高校生グループに同意を求めているんです。続く被告人質問。しかし… これは裁判官から注意されて、最悪の場合は退廷命令を言われるかもなぁ……と思って見ていたら、裁判官の所まで声が届いていないのかノーリアクション。何の注意も無いんです。これが大阪のルールなのか……?弁護人もちょっと傍聴席の方を気にしつつ、被告人質問継続です。弁護人「12レースは何時に終わるんですか?」被告人「場所によって違いますけど、午後4時20分くらいです」弁護人「あなたが盗んだのは11レースと12レースの舟券1枚ずつですね。起訴状では午後4時08分に盗んだと書いてありますけど、この盗んだ時間はレースが始まる前ですか?後ですか?」被告人「え~っと、11レースが午後3時55分スタートで、12レースが午後4時20分です」弁護人「じゃあ、11レースは始まっていた、と。競艇って一つのレースはどれくらいで終わるんですか?」被告人「2分くらいで決まります」弁護人「結果はどうだったか知ってますか?」被告人「ハズレだったと聞いてます」弁護人「あなたが盗んだ舟券は2枚ともハズレだったわけですけど、盗んだ時点で1枚はすでにハズレが確定していたんですね?」被告人「はい」被告人の発した一言に傍聴人は… スタート前の12レースの舟券はさて置き、レース結果が確定した11レースのハズレ舟券は財産的価値が無いから単なる紙クズを盗んだだけというアピールをしたのです。 すると、これを聞いた傍聴席の高齢女性が再び動き出し、傍聴人「どっちでもええやん!」 と、メガネをキラリと光らせ華麗なツッコミ。確かにどっちでもいいな、と賛同してしまいましたが傍聴席は発言が許されないですからね。もう流石に裁判官に怒られるかと思いきや、またもやスルー。なんで?弁護人としても無罪を主張してるわけじゃないので弁護人「ハズレが確定してたとしても被害者の物だし、あなたが被害者だとしたら頭にくるでしょ。もう1枚は当たりの可能性もあったんだし」被告人「そうですね」 と、この後反省の言葉を述べて弁護人からの質問終了です。「聞こえへん!聞こえへんよ~!!」 続いて、検察官からの質問。検察官「あなたが探していた人って、今回の被害者なんですか?」被告人「いいえ、違います」検察官「警備員の供述によると、あなたが被害者の後ろをつけていたと言っているんですよ。盗めるタイミングをうかがっていたんじゃないですか?」被告人「いや、つけてません! あの~、えー、お金を貸した人がこのフロアにはいないなぁ、ここにはいないなと歩いていたのがたまたま……あの、被害者と同じ方に歩いていたみたいで……あの~、それが後ろをつけてるように……みえていたのかな、と……」 何かバツが悪そうにモゴモゴと小声になりながら被告人が答えたんです。すると、例の人が両手をメガホンのように口元に当てて傍聴人「聞こえへん! 聞こえへんよ~!!」 と大声でクレームです。クレームと言うよりは叱咤激励ですかね。スポーツの応援のよう。 これだけ大声を出しても裁判官から注意されなかったので、大阪地裁の名物傍聴人だったのかも知れませんね。なかなかの強烈キャラ。裁判官にツッコミは届くことなく… ちなみに裁判はこの日のうちに判決が言い渡されて、懲役2年6月執行猶予4年でした。「どっちでもええやん!」のツッコミは裁判官に届くことはなかったようで、舟券2枚を盗んだと認定されていました。 とにかく傍聴は自由ですけど、審理の邪魔にならないように静かにしましょう。(阿曽山大噴火)
さて、裁判は公開されているので座席が空いていれば誰でも傍聴が可能です。傍聴席まで描写してある傍聴記は少ないですが、傍聴人も裁判を構成する一員なのです。
そして、裁判傍聴は自由ですが傍聴にはルールがあります。飲食禁止とか、撮影録音禁止とか、スマホの電源は切るとか、居眠り禁止とか、読書禁止とか、ヘルメット禁止とか…。ホント細かい決まりがあるのです。じゃないと裁判の邪魔になっちゃいますからね。
でも、中にはルールを守らない傍聴人もいるんですよね……。という訳で、傍聴席の方でも動きがあった印象深い裁判の傍聴記を。
傍聴人も裁判を構成する一員。だが… iStock.com
2010年10月25日。大阪地裁で傍聴した裁判の話です。
〈罪名:窃盗
被告人:アルバイトの男性(59)〉
起訴されたのは、2010年4月21日午後4時08分頃、競艇の舟券売り場であるボートピア梅田の2階で、被告人がお客のショルダーバッグから勝舟投票券2枚(1300円相当)を盗んだという内容です。教師→風俗店勤務→コンビニ店員→非行防止の見回り…職を転々とした被告人 検察官の冒頭陳述によると、被告人は大学卒業後に小学校の教師になり、その後は中学校教師として働いていたものの、先生を辞めてからは風俗店勤務やコンビニ店員、青少年の非行防止の見回りの仕事など職を転々としていたそうです。前科は2犯で、いずれも窃盗だそうです。 被告人はボートレースを観戦するのが好きで、度々ボートピア梅田を訪れていたとのこと。犯行当日、ボートピア梅田で被告人はショルダーバッグから舟券が見えている被害男性を発見。 被告人はその後ろを追尾して、被害男性がテレビモニターでレースに集中しているスキに舟券2枚を窃取。防犯カメラを確認していた警備員が不審な動きをしている被告人を注目していたところ、舟券を盗んだのでその場で逮捕したというのが事件の詳細でした。 ちなみに被告人が盗んだ舟券は2枚ともハズレ。ギャンブルはなかなか上手くいきませんね。「逮捕された時の所持金は?」「90円です。2万円の炊飯器を買ってしまって…」 そして、被告人質問。まずは、弁護人から。弁護人「逮捕された時の所持金は?」被告人「90円です」弁護人「ちょっとのアルバイト、あとは生活保護ももらってたんですよね。なんでそんなにお金がなかったんですか?」被告人「その日は家賃と光熱費を払って、あと、2万円の炊飯器を買ってしまって……」弁護人「無計画にボートレースをやって、お金がなくなったわけじゃないんですね?」被告人「はい」 無計画にギャンブルで散財して所持金が90円になったわけじゃない……とアピールです。2万円の炊飯器を買うのが無計画な気もしますが。被告人質問の真っ只中に突然、傍聴席から…弁護人「90円しかないのに、なぜボートピア梅田に行ったんですか?」被告人「私は競艇を観るのが好きで、舟券を買わないで観戦することもよくありました。それで以前、ボートピア梅田で知り合った人に1000円を貸してたんです。できれば返してもらいたくて……。名前は知らないんですけど、その人は毎回見かけるので」弁護人「観戦目的もあったけど、金を返してもらう目的もあったと?」被告人「そうです」弁護人「でも、あなたを逮捕した警備員によると、“キョロキョロしてた”と、あなたの犯行の様子を答えてるんですけど、盗めそうな人を物色してたんですか?」被告人「いいえ。確かにキョロキョロしてましたけど、名前知らない人を探してたので……」 と、金を貸していた人を探していたのが怪しく見えただけだと答えたところで、ハプニング発生! なんと、傍聴席に座っていたメガネを掛けた高齢の女性が、傍聴人「これ、嘘ついてんな。な、な?」 と、ツッコミを入れたのです。もちろん傍聴席は私語禁止。喋るだけでもアウトなのに結構な大声。しかも、社会科見学なのか数人で固まって傍聴している男子高校生グループに同意を求めているんです。続く被告人質問。しかし… これは裁判官から注意されて、最悪の場合は退廷命令を言われるかもなぁ……と思って見ていたら、裁判官の所まで声が届いていないのかノーリアクション。何の注意も無いんです。これが大阪のルールなのか……?弁護人もちょっと傍聴席の方を気にしつつ、被告人質問継続です。弁護人「12レースは何時に終わるんですか?」被告人「場所によって違いますけど、午後4時20分くらいです」弁護人「あなたが盗んだのは11レースと12レースの舟券1枚ずつですね。起訴状では午後4時08分に盗んだと書いてありますけど、この盗んだ時間はレースが始まる前ですか?後ですか?」被告人「え~っと、11レースが午後3時55分スタートで、12レースが午後4時20分です」弁護人「じゃあ、11レースは始まっていた、と。競艇って一つのレースはどれくらいで終わるんですか?」被告人「2分くらいで決まります」弁護人「結果はどうだったか知ってますか?」被告人「ハズレだったと聞いてます」弁護人「あなたが盗んだ舟券は2枚ともハズレだったわけですけど、盗んだ時点で1枚はすでにハズレが確定していたんですね?」被告人「はい」被告人の発した一言に傍聴人は… スタート前の12レースの舟券はさて置き、レース結果が確定した11レースのハズレ舟券は財産的価値が無いから単なる紙クズを盗んだだけというアピールをしたのです。 すると、これを聞いた傍聴席の高齢女性が再び動き出し、傍聴人「どっちでもええやん!」 と、メガネをキラリと光らせ華麗なツッコミ。確かにどっちでもいいな、と賛同してしまいましたが傍聴席は発言が許されないですからね。もう流石に裁判官に怒られるかと思いきや、またもやスルー。なんで?弁護人としても無罪を主張してるわけじゃないので弁護人「ハズレが確定してたとしても被害者の物だし、あなたが被害者だとしたら頭にくるでしょ。もう1枚は当たりの可能性もあったんだし」被告人「そうですね」 と、この後反省の言葉を述べて弁護人からの質問終了です。「聞こえへん!聞こえへんよ~!!」 続いて、検察官からの質問。検察官「あなたが探していた人って、今回の被害者なんですか?」被告人「いいえ、違います」検察官「警備員の供述によると、あなたが被害者の後ろをつけていたと言っているんですよ。盗めるタイミングをうかがっていたんじゃないですか?」被告人「いや、つけてません! あの~、えー、お金を貸した人がこのフロアにはいないなぁ、ここにはいないなと歩いていたのがたまたま……あの、被害者と同じ方に歩いていたみたいで……あの~、それが後ろをつけてるように……みえていたのかな、と……」 何かバツが悪そうにモゴモゴと小声になりながら被告人が答えたんです。すると、例の人が両手をメガホンのように口元に当てて傍聴人「聞こえへん! 聞こえへんよ~!!」 と大声でクレームです。クレームと言うよりは叱咤激励ですかね。スポーツの応援のよう。 これだけ大声を出しても裁判官から注意されなかったので、大阪地裁の名物傍聴人だったのかも知れませんね。なかなかの強烈キャラ。裁判官にツッコミは届くことなく… ちなみに裁判はこの日のうちに判決が言い渡されて、懲役2年6月執行猶予4年でした。「どっちでもええやん!」のツッコミは裁判官に届くことはなかったようで、舟券2枚を盗んだと認定されていました。 とにかく傍聴は自由ですけど、審理の邪魔にならないように静かにしましょう。(阿曽山大噴火)
起訴されたのは、2010年4月21日午後4時08分頃、競艇の舟券売り場であるボートピア梅田の2階で、被告人がお客のショルダーバッグから勝舟投票券2枚(1300円相当)を盗んだという内容です。
検察官の冒頭陳述によると、被告人は大学卒業後に小学校の教師になり、その後は中学校教師として働いていたものの、先生を辞めてからは風俗店勤務やコンビニ店員、青少年の非行防止の見回りの仕事など職を転々としていたそうです。前科は2犯で、いずれも窃盗だそうです。
被告人はボートレースを観戦するのが好きで、度々ボートピア梅田を訪れていたとのこと。犯行当日、ボートピア梅田で被告人はショルダーバッグから舟券が見えている被害男性を発見。
被告人はその後ろを追尾して、被害男性がテレビモニターでレースに集中しているスキに舟券2枚を窃取。防犯カメラを確認していた警備員が不審な動きをしている被告人を注目していたところ、舟券を盗んだのでその場で逮捕したというのが事件の詳細でした。
ちなみに被告人が盗んだ舟券は2枚ともハズレ。ギャンブルはなかなか上手くいきませんね。「逮捕された時の所持金は?」「90円です。2万円の炊飯器を買ってしまって…」 そして、被告人質問。まずは、弁護人から。弁護人「逮捕された時の所持金は?」被告人「90円です」弁護人「ちょっとのアルバイト、あとは生活保護ももらってたんですよね。なんでそんなにお金がなかったんですか?」被告人「その日は家賃と光熱費を払って、あと、2万円の炊飯器を買ってしまって……」弁護人「無計画にボートレースをやって、お金がなくなったわけじゃないんですね?」被告人「はい」 無計画にギャンブルで散財して所持金が90円になったわけじゃない……とアピールです。2万円の炊飯器を買うのが無計画な気もしますが。被告人質問の真っ只中に突然、傍聴席から…弁護人「90円しかないのに、なぜボートピア梅田に行ったんですか?」被告人「私は競艇を観るのが好きで、舟券を買わないで観戦することもよくありました。それで以前、ボートピア梅田で知り合った人に1000円を貸してたんです。できれば返してもらいたくて……。名前は知らないんですけど、その人は毎回見かけるので」弁護人「観戦目的もあったけど、金を返してもらう目的もあったと?」被告人「そうです」弁護人「でも、あなたを逮捕した警備員によると、“キョロキョロしてた”と、あなたの犯行の様子を答えてるんですけど、盗めそうな人を物色してたんですか?」被告人「いいえ。確かにキョロキョロしてましたけど、名前知らない人を探してたので……」 と、金を貸していた人を探していたのが怪しく見えただけだと答えたところで、ハプニング発生! なんと、傍聴席に座っていたメガネを掛けた高齢の女性が、傍聴人「これ、嘘ついてんな。な、な?」 と、ツッコミを入れたのです。もちろん傍聴席は私語禁止。喋るだけでもアウトなのに結構な大声。しかも、社会科見学なのか数人で固まって傍聴している男子高校生グループに同意を求めているんです。続く被告人質問。しかし… これは裁判官から注意されて、最悪の場合は退廷命令を言われるかもなぁ……と思って見ていたら、裁判官の所まで声が届いていないのかノーリアクション。何の注意も無いんです。これが大阪のルールなのか……?弁護人もちょっと傍聴席の方を気にしつつ、被告人質問継続です。弁護人「12レースは何時に終わるんですか?」被告人「場所によって違いますけど、午後4時20分くらいです」弁護人「あなたが盗んだのは11レースと12レースの舟券1枚ずつですね。起訴状では午後4時08分に盗んだと書いてありますけど、この盗んだ時間はレースが始まる前ですか?後ですか?」被告人「え~っと、11レースが午後3時55分スタートで、12レースが午後4時20分です」弁護人「じゃあ、11レースは始まっていた、と。競艇って一つのレースはどれくらいで終わるんですか?」被告人「2分くらいで決まります」弁護人「結果はどうだったか知ってますか?」被告人「ハズレだったと聞いてます」弁護人「あなたが盗んだ舟券は2枚ともハズレだったわけですけど、盗んだ時点で1枚はすでにハズレが確定していたんですね?」被告人「はい」被告人の発した一言に傍聴人は… スタート前の12レースの舟券はさて置き、レース結果が確定した11レースのハズレ舟券は財産的価値が無いから単なる紙クズを盗んだだけというアピールをしたのです。 すると、これを聞いた傍聴席の高齢女性が再び動き出し、傍聴人「どっちでもええやん!」 と、メガネをキラリと光らせ華麗なツッコミ。確かにどっちでもいいな、と賛同してしまいましたが傍聴席は発言が許されないですからね。もう流石に裁判官に怒られるかと思いきや、またもやスルー。なんで?弁護人としても無罪を主張してるわけじゃないので弁護人「ハズレが確定してたとしても被害者の物だし、あなたが被害者だとしたら頭にくるでしょ。もう1枚は当たりの可能性もあったんだし」被告人「そうですね」 と、この後反省の言葉を述べて弁護人からの質問終了です。「聞こえへん!聞こえへんよ~!!」 続いて、検察官からの質問。検察官「あなたが探していた人って、今回の被害者なんですか?」被告人「いいえ、違います」検察官「警備員の供述によると、あなたが被害者の後ろをつけていたと言っているんですよ。盗めるタイミングをうかがっていたんじゃないですか?」被告人「いや、つけてません! あの~、えー、お金を貸した人がこのフロアにはいないなぁ、ここにはいないなと歩いていたのがたまたま……あの、被害者と同じ方に歩いていたみたいで……あの~、それが後ろをつけてるように……みえていたのかな、と……」 何かバツが悪そうにモゴモゴと小声になりながら被告人が答えたんです。すると、例の人が両手をメガホンのように口元に当てて傍聴人「聞こえへん! 聞こえへんよ~!!」 と大声でクレームです。クレームと言うよりは叱咤激励ですかね。スポーツの応援のよう。 これだけ大声を出しても裁判官から注意されなかったので、大阪地裁の名物傍聴人だったのかも知れませんね。なかなかの強烈キャラ。裁判官にツッコミは届くことなく… ちなみに裁判はこの日のうちに判決が言い渡されて、懲役2年6月執行猶予4年でした。「どっちでもええやん!」のツッコミは裁判官に届くことはなかったようで、舟券2枚を盗んだと認定されていました。 とにかく傍聴は自由ですけど、審理の邪魔にならないように静かにしましょう。(阿曽山大噴火)
ちなみに被告人が盗んだ舟券は2枚ともハズレ。ギャンブルはなかなか上手くいきませんね。
そして、被告人質問。まずは、弁護人から。
弁護人「逮捕された時の所持金は?」被告人「90円です」弁護人「ちょっとのアルバイト、あとは生活保護ももらってたんですよね。なんでそんなにお金がなかったんですか?」被告人「その日は家賃と光熱費を払って、あと、2万円の炊飯器を買ってしまって……」
弁護人「無計画にボートレースをやって、お金がなくなったわけじゃないんですね?」被告人「はい」
無計画にギャンブルで散財して所持金が90円になったわけじゃない……とアピールです。2万円の炊飯器を買うのが無計画な気もしますが。
被告人質問の真っ只中に突然、傍聴席から…弁護人「90円しかないのに、なぜボートピア梅田に行ったんですか?」被告人「私は競艇を観るのが好きで、舟券を買わないで観戦することもよくありました。それで以前、ボートピア梅田で知り合った人に1000円を貸してたんです。できれば返してもらいたくて……。名前は知らないんですけど、その人は毎回見かけるので」弁護人「観戦目的もあったけど、金を返してもらう目的もあったと?」被告人「そうです」弁護人「でも、あなたを逮捕した警備員によると、“キョロキョロしてた”と、あなたの犯行の様子を答えてるんですけど、盗めそうな人を物色してたんですか?」被告人「いいえ。確かにキョロキョロしてましたけど、名前知らない人を探してたので……」 と、金を貸していた人を探していたのが怪しく見えただけだと答えたところで、ハプニング発生! なんと、傍聴席に座っていたメガネを掛けた高齢の女性が、傍聴人「これ、嘘ついてんな。な、な?」 と、ツッコミを入れたのです。もちろん傍聴席は私語禁止。喋るだけでもアウトなのに結構な大声。しかも、社会科見学なのか数人で固まって傍聴している男子高校生グループに同意を求めているんです。続く被告人質問。しかし… これは裁判官から注意されて、最悪の場合は退廷命令を言われるかもなぁ……と思って見ていたら、裁判官の所まで声が届いていないのかノーリアクション。何の注意も無いんです。これが大阪のルールなのか……?弁護人もちょっと傍聴席の方を気にしつつ、被告人質問継続です。弁護人「12レースは何時に終わるんですか?」被告人「場所によって違いますけど、午後4時20分くらいです」弁護人「あなたが盗んだのは11レースと12レースの舟券1枚ずつですね。起訴状では午後4時08分に盗んだと書いてありますけど、この盗んだ時間はレースが始まる前ですか?後ですか?」被告人「え~っと、11レースが午後3時55分スタートで、12レースが午後4時20分です」弁護人「じゃあ、11レースは始まっていた、と。競艇って一つのレースはどれくらいで終わるんですか?」被告人「2分くらいで決まります」弁護人「結果はどうだったか知ってますか?」被告人「ハズレだったと聞いてます」弁護人「あなたが盗んだ舟券は2枚ともハズレだったわけですけど、盗んだ時点で1枚はすでにハズレが確定していたんですね?」被告人「はい」被告人の発した一言に傍聴人は… スタート前の12レースの舟券はさて置き、レース結果が確定した11レースのハズレ舟券は財産的価値が無いから単なる紙クズを盗んだだけというアピールをしたのです。 すると、これを聞いた傍聴席の高齢女性が再び動き出し、傍聴人「どっちでもええやん!」 と、メガネをキラリと光らせ華麗なツッコミ。確かにどっちでもいいな、と賛同してしまいましたが傍聴席は発言が許されないですからね。もう流石に裁判官に怒られるかと思いきや、またもやスルー。なんで?弁護人としても無罪を主張してるわけじゃないので弁護人「ハズレが確定してたとしても被害者の物だし、あなたが被害者だとしたら頭にくるでしょ。もう1枚は当たりの可能性もあったんだし」被告人「そうですね」 と、この後反省の言葉を述べて弁護人からの質問終了です。「聞こえへん!聞こえへんよ~!!」 続いて、検察官からの質問。検察官「あなたが探していた人って、今回の被害者なんですか?」被告人「いいえ、違います」検察官「警備員の供述によると、あなたが被害者の後ろをつけていたと言っているんですよ。盗めるタイミングをうかがっていたんじゃないですか?」被告人「いや、つけてません! あの~、えー、お金を貸した人がこのフロアにはいないなぁ、ここにはいないなと歩いていたのがたまたま……あの、被害者と同じ方に歩いていたみたいで……あの~、それが後ろをつけてるように……みえていたのかな、と……」 何かバツが悪そうにモゴモゴと小声になりながら被告人が答えたんです。すると、例の人が両手をメガホンのように口元に当てて傍聴人「聞こえへん! 聞こえへんよ~!!」 と大声でクレームです。クレームと言うよりは叱咤激励ですかね。スポーツの応援のよう。 これだけ大声を出しても裁判官から注意されなかったので、大阪地裁の名物傍聴人だったのかも知れませんね。なかなかの強烈キャラ。裁判官にツッコミは届くことなく… ちなみに裁判はこの日のうちに判決が言い渡されて、懲役2年6月執行猶予4年でした。「どっちでもええやん!」のツッコミは裁判官に届くことはなかったようで、舟券2枚を盗んだと認定されていました。 とにかく傍聴は自由ですけど、審理の邪魔にならないように静かにしましょう。(阿曽山大噴火)
弁護人「90円しかないのに、なぜボートピア梅田に行ったんですか?」被告人「私は競艇を観るのが好きで、舟券を買わないで観戦することもよくありました。それで以前、ボートピア梅田で知り合った人に1000円を貸してたんです。できれば返してもらいたくて……。名前は知らないんですけど、その人は毎回見かけるので」弁護人「観戦目的もあったけど、金を返してもらう目的もあったと?」被告人「そうです」弁護人「でも、あなたを逮捕した警備員によると、“キョロキョロしてた”と、あなたの犯行の様子を答えてるんですけど、盗めそうな人を物色してたんですか?」被告人「いいえ。確かにキョロキョロしてましたけど、名前知らない人を探してたので……」
と、金を貸していた人を探していたのが怪しく見えただけだと答えたところで、ハプニング発生! なんと、傍聴席に座っていたメガネを掛けた高齢の女性が、
傍聴人「これ、嘘ついてんな。な、な?」
と、ツッコミを入れたのです。もちろん傍聴席は私語禁止。喋るだけでもアウトなのに結構な大声。しかも、社会科見学なのか数人で固まって傍聴している男子高校生グループに同意を求めているんです。
これは裁判官から注意されて、最悪の場合は退廷命令を言われるかもなぁ……と思って見ていたら、裁判官の所まで声が届いていないのかノーリアクション。何の注意も無いんです。これが大阪のルールなのか……?
弁護人もちょっと傍聴席の方を気にしつつ、被告人質問継続です。
弁護人「12レースは何時に終わるんですか?」被告人「場所によって違いますけど、午後4時20分くらいです」弁護人「あなたが盗んだのは11レースと12レースの舟券1枚ずつですね。起訴状では午後4時08分に盗んだと書いてありますけど、この盗んだ時間はレースが始まる前ですか?後ですか?」被告人「え~っと、11レースが午後3時55分スタートで、12レースが午後4時20分です」弁護人「じゃあ、11レースは始まっていた、と。競艇って一つのレースはどれくらいで終わるんですか?」被告人「2分くらいで決まります」弁護人「結果はどうだったか知ってますか?」被告人「ハズレだったと聞いてます」弁護人「あなたが盗んだ舟券は2枚ともハズレだったわけですけど、盗んだ時点で1枚はすでにハズレが確定していたんですね?」被告人「はい」
被告人の発した一言に傍聴人は… スタート前の12レースの舟券はさて置き、レース結果が確定した11レースのハズレ舟券は財産的価値が無いから単なる紙クズを盗んだだけというアピールをしたのです。 すると、これを聞いた傍聴席の高齢女性が再び動き出し、傍聴人「どっちでもええやん!」 と、メガネをキラリと光らせ華麗なツッコミ。確かにどっちでもいいな、と賛同してしまいましたが傍聴席は発言が許されないですからね。もう流石に裁判官に怒られるかと思いきや、またもやスルー。なんで?弁護人としても無罪を主張してるわけじゃないので弁護人「ハズレが確定してたとしても被害者の物だし、あなたが被害者だとしたら頭にくるでしょ。もう1枚は当たりの可能性もあったんだし」被告人「そうですね」 と、この後反省の言葉を述べて弁護人からの質問終了です。「聞こえへん!聞こえへんよ~!!」 続いて、検察官からの質問。検察官「あなたが探していた人って、今回の被害者なんですか?」被告人「いいえ、違います」検察官「警備員の供述によると、あなたが被害者の後ろをつけていたと言っているんですよ。盗めるタイミングをうかがっていたんじゃないですか?」被告人「いや、つけてません! あの~、えー、お金を貸した人がこのフロアにはいないなぁ、ここにはいないなと歩いていたのがたまたま……あの、被害者と同じ方に歩いていたみたいで……あの~、それが後ろをつけてるように……みえていたのかな、と……」 何かバツが悪そうにモゴモゴと小声になりながら被告人が答えたんです。すると、例の人が両手をメガホンのように口元に当てて傍聴人「聞こえへん! 聞こえへんよ~!!」 と大声でクレームです。クレームと言うよりは叱咤激励ですかね。スポーツの応援のよう。 これだけ大声を出しても裁判官から注意されなかったので、大阪地裁の名物傍聴人だったのかも知れませんね。なかなかの強烈キャラ。裁判官にツッコミは届くことなく… ちなみに裁判はこの日のうちに判決が言い渡されて、懲役2年6月執行猶予4年でした。「どっちでもええやん!」のツッコミは裁判官に届くことはなかったようで、舟券2枚を盗んだと認定されていました。 とにかく傍聴は自由ですけど、審理の邪魔にならないように静かにしましょう。(阿曽山大噴火)
スタート前の12レースの舟券はさて置き、レース結果が確定した11レースのハズレ舟券は財産的価値が無いから単なる紙クズを盗んだだけというアピールをしたのです。
すると、これを聞いた傍聴席の高齢女性が再び動き出し、
傍聴人「どっちでもええやん!」
と、メガネをキラリと光らせ華麗なツッコミ。確かにどっちでもいいな、と賛同してしまいましたが傍聴席は発言が許されないですからね。もう流石に裁判官に怒られるかと思いきや、またもやスルー。なんで?
弁護人としても無罪を主張してるわけじゃないので
弁護人「ハズレが確定してたとしても被害者の物だし、あなたが被害者だとしたら頭にくるでしょ。もう1枚は当たりの可能性もあったんだし」被告人「そうですね」
と、この後反省の言葉を述べて弁護人からの質問終了です。
続いて、検察官からの質問。
検察官「あなたが探していた人って、今回の被害者なんですか?」被告人「いいえ、違います」検察官「警備員の供述によると、あなたが被害者の後ろをつけていたと言っているんですよ。盗めるタイミングをうかがっていたんじゃないですか?」被告人「いや、つけてません! あの~、えー、お金を貸した人がこのフロアにはいないなぁ、ここにはいないなと歩いていたのがたまたま……あの、被害者と同じ方に歩いていたみたいで……あの~、それが後ろをつけてるように……みえていたのかな、と……」
何かバツが悪そうにモゴモゴと小声になりながら被告人が答えたんです。すると、例の人が両手をメガホンのように口元に当てて
傍聴人「聞こえへん! 聞こえへんよ~!!」
と大声でクレームです。クレームと言うよりは叱咤激励ですかね。スポーツの応援のよう。
これだけ大声を出しても裁判官から注意されなかったので、大阪地裁の名物傍聴人だったのかも知れませんね。なかなかの強烈キャラ。裁判官にツッコミは届くことなく… ちなみに裁判はこの日のうちに判決が言い渡されて、懲役2年6月執行猶予4年でした。「どっちでもええやん!」のツッコミは裁判官に届くことはなかったようで、舟券2枚を盗んだと認定されていました。 とにかく傍聴は自由ですけど、審理の邪魔にならないように静かにしましょう。(阿曽山大噴火)
これだけ大声を出しても裁判官から注意されなかったので、大阪地裁の名物傍聴人だったのかも知れませんね。なかなかの強烈キャラ。
ちなみに裁判はこの日のうちに判決が言い渡されて、懲役2年6月執行猶予4年でした。
「どっちでもええやん!」のツッコミは裁判官に届くことはなかったようで、舟券2枚を盗んだと認定されていました。
とにかく傍聴は自由ですけど、審理の邪魔にならないように静かにしましょう。
(阿曽山大噴火)