【独自】“モラルなき”感染者急増 保険金目当て?療養延期…「陽性者なりたい」人も

21日、新型コロナウイルスの全国の新規感染者は、日曜日として過去最多を更新しました。感染者が増加するなか、療養施設で泥酔する陽性者や、療養期間を引き延ばして保険金を多くもらおうとする陽性者が相次ぎ、保健所の業務が逼迫(ひっぱく)しています。
■“モラルなき感染者”実態は?
関東の元保健所職員:「税金の無駄使いだなと思ってしまって。税金の無駄に加担している自分も、嫌になってしまったというか」
怒りをあらわにするのは、関東地方のある保健所に勤務していた女性です。
“第6波”のときは、困っている人のためにと頑張っていました。しかし、感染者が爆発的に増えた現在の“第7波”では、モラルのない感染者も続出。6月に退職してしまいました。
一体、モラルなき感染者とは、どんな人たちなのでしょうか。実態を聞きました。
■宿泊療養施設で“非常識行為”
関東の元保健所職員:「最初は、荷物とかチェックするらしいんですけど。差し入れとかに関しては、ビニール袋に入れて、中身をチェックしないので。お酒が入っていてという感じで」
当然のこととして、宿泊療養施設は禁酒です。それにもかかわらず、差し入れに酒を紛れ込ませて、酒盛りする人たちもいたといいます。
関東の元保健所職員:「酔っぱらってウロウロしていたら、誰かに見つかって、強制退去とか結構いました」
実際に療養施設に入っていた女性は、こんな経験をしました。
療養施設を利用した10代女性:「私が自分の部屋に戻ろうとした時に『あの、すみません』と言われて。『きのう、見掛けたときに、顔がかわいいなと思って』と言われて。LINEのIDを渡されたんです」
弁当を取りに行った時、ナンパをされたといいます。女性は断りましたが…。
療養施設を利用した10代女性:「ナンパなんてされたことなかったので。びっくりして、何で私なんだろうって思いました」
中には…。
関東の元保健所職員:「カップルで入りたがる方とか、すごい多かったみたいで」
■感染者による“迷惑電話”
関東の元保健所職員:「おじさんとかに電話すると、『あしたもさみしいから電話してね』って」
感染者の経過観察などを行う保健所職員に対して、業務以外のことを話してくる患者も多いといいます。
関東の元保健所職員:「クイズ出す方もいましたね、毎日。何の電話だろうって、何のために仕事しているんだか。本当にバカバカしいというか」
感染者の「全数把握」の見直しが検討されるなか、21日、国内の感染者は22万6171人が確認され、日曜日最多を記録しました。
医療体制の逼迫は、続いています。そうしたなか…。
■“不正受給”感染者の急増
生命保険会社によるコロナ関連の入院給付金の支払いの一部で、不正行為が横行しているといいます。
保健所職員も、不自然に療養期間を延ばそうとする患者が急増したと感じていました。
関東の元保健所職員:「(発症して)2、3日経つと、熱下がるので。電話すると、『毎日いらないんだけど』みたいなことを言われて。そういったやり取りが2、3日続いたかと思うと、8日目ぐらいで『また熱が出ました』『のどが痛い』とか言い始めて。会って会話をしているわけではないので、それで延長になってしまって」
港区の保健所でも…。
港区みなと保健所・二宮博文課長:「(Q.療養を延ばしたいという人もいる?)中には、そういうことを言われる方もいるとは思いますけど。自宅療養で、本人の申告が中心になってきてしまうので。なかなか、真偽を確かめるというのは、難しいところではあります」
隔離の期間が終了する10日目直前になると、熱やせき、のどの痛みを訴える人が増えるというのです。
関東の元保健所職員:「保険金目当てらしいよという話になってきて。1日、5000円とか1万円とか入院補償が出るらしいよって。そういった頭で人の話を聞くと、納得がいくというか」
わざと療養期間を延ばし、入院給付金を多くもらおうとする不正。入院給付金の急増の一因になっています。
■演技?「いやまだ熱が…」
生命保険協会によりますと、加盟全42社が6月に支払った総額は約640億3300万円。これは、前の年の同じ月の約12倍に上ります。
ほとんどが病院以外の自宅などで療養する「みなし入院」への支払いでした。症状が再発したと訴える人の中には…。
関東の元保健所職員:「外に出ているよね、この人たち。というのが、結構いて。(車の)バックギア入れたよねっていう、そういう音とか」
さらに、こんな身勝手な人もいたといいます。
関東の元保健所職員:「最大2週間。ウダウダ言っている方はいました。若い男性で『いや、まだ熱が…』って。演技かなって思ったりもしたけど、その後、連絡取れなくなって。でも、療養証明書はほしいと、クレームの電話は掛かってきた」
■“陽性者になりたい”人も…
中には、こんな信じられない人もいるといいます。
関東の元保健所職員:「陽性者になりたい方もいました。4、5人家族で1、2人だけ陽性にならない人っているんです。『何で私は、陽性にならないんだ』と毎日、病院へ行って検査している方もいて。そこまでするのかなと。何で陽性者になりたいんだろうと、すごい不思議でした」
保険業界に詳しい専門家は、本来の医療保険の機能がマヒしかねないと話します。
福岡大学・植村信保教授:「元々これは、入院ができない方が自宅療養ということで。保険会社として支払うというのが、世の中に貢献するという話で始まった。みなし入院の方ばかりになって、かなりの程度が軽症の方で、給付金もらえたらラッキーみたいな話になっている。いっそのこと、“みなし入院”に対しては、支払いをやめるということも、選択肢なのかも」
■“不正請求”行われた場合は…
今起こっている入院給付金の急増は、主に年始から流行した第6波によるもので、第7波の影響による入院給付金の支払いは今後、さらに増える見込みです
不正な請求が行われた場合、保険会社は通報する窓口に連絡し、個人情報や手口などを共有。警察や他の保険会社と連携して、対処する取り組みをしています。