「まさかと目を疑った」高速道路でハンドルを握る子どもが目撃される 法的問題は?

高速道路で乗用車のハンドルを子どもに持たせて運転している様子を映した動画がツイッターで投稿され、1万回以上リツイートされるなど話題となっている。
投稿によると、撮影された場所は中央自動車道の上り線の上野原インターチェンジ付近で、男性が女の子に車のハンドルを持たせて、低速で走行している様子が映っている。投稿者の車のドアミラーに写っている後方の様子からして、渋滞していたものとみられる。
「目を疑った」という投稿者は、「高速道路で悲惨な事故が後をたたないのは、こういう人が少なからずいるからでしょうね」とツイート。子どもがシートベルトをしていないことにも言及していた。
この投稿に対しては、「これは酷い」「事故起きてからじゃ遅いのに」など批判する意見が殺到。「警察へ通報するべき」との声もあがっていた。
アクセル・ブレーキのペダル操作は大人がしていたとみられるが、動画の男性は右手を窓の外に出すなど、少なくとも片手はハンドルから離して、女の子にハンドル操作をさせていた。
動画の女の子は、小学校中学年から高学年くらいの年齢とみられ、運転免許を取得している可能性はまずないといっていい。
走行中に自動車のハンドルを操作することは「運転」(道路交通法2条1項17号)に当たる。運転免許を取得していない子どもが運転すれば、「無免許運転」(同法64条1項)となる。
小学生であれば14歳未満のため、刑事責任を問われることはないが、運転させた大人は共犯として処罰される可能性がある。無免許運転の法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」(道交法117条の2の2第1号)だ。
過去に実際に起訴されたケースもある。2017年、子どもに車を運転させたとして、無免許運転「教唆」の罪で略式起訴された男性が罰金30万円の略式命令を受けた。逮捕容疑は無免許運転「幇助」だったことから、男性が積極的に子どもに運転させようとしたと判断されたものとみられる。
子どもには単にハンドルを握らせただけで、事実上のハンドル操作は大人がおこなっていた場合なら、無免許運転とまではいえないケースもあるかもしれない。
ただし、その場合でも、膝の上に子どもを乗せて運転していることから、安全運転義務違反(道交法70条)に問われる可能性がある。罰則は「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」(道交法119条1項9号)となっている。
また、自動車の運転者は、シートベルトを着用しない者を乗せて自動車を運転してはならない義務を負っている(道交法71条の3第2項)。膝の上に乗っている子どもはシートベルトをしていないとみられ、これに違反している可能性もある。
本物の車のハンドルを握る子どもにとっては楽しい体験なのかもしれないが、同乗者はもちろんのこと、他の車をも巻き込む事故につながりかねない極めて危険な行為だ。どれだけ子どもにせがまれても絶対にハンドルを握らせず、安全運転を徹底する。これこそが「格好いいオトナ」のあるべき姿だろう。