ニワトリの1品種「軍鶏(シャモ)」同士を闘わせる「闘鶏」について、動物虐待に当たるとして禁止条例の制定などを求める陳情が沖縄県議会に出され、議会で審議されている。
陳情を出した愛護団体は、軍鶏のクチバシなどが切られて捨てられている現状があると訴えている。そうした実態の有無や今後の方針について、県の自然保護課に話を聞いた。
この愛護団体は、2025年6月10日に「闘鶏の禁止条例の制定と適切な法運用を求める陳情」を県議会に提出した。
それによると、闘鶏は、日本各地で「受けシャモ」と「攻めシャモ」を対戦させる形式で行われているという。特に、受けシャモは、攻撃力を奪うためクチバシや蹴り爪を道具で切断され、強い痛みを伴うとした。丸い囲いの中で、60分などと対戦させられ、受けシャモが倒れなければ勝ち、倒れて起き上がれなければ攻めシャモの勝ちとなる。
主に賭博目的で行われているといい、闘鶏によって、片目あるいは両目を失うケースも多いという。陳情では、こうした状況があるとして、闘鶏禁止条例を制定することや、クチバシを切られるなどしたシャモを見つけば動物愛護法違反として対処すること、などを求めている。
闘鶏を巡っては、過去の新聞報道によると、22年1月には、軍鶏のクチバシを切ったとして、千葉県内の養鶏場が動物愛護法違反(虐待)の疑いで県警の家宅捜索を受けたことがある。また、同年12月には、軍鶏を使った闘鶏で1回数万円を客に賭けさせていたとして、徳島県内の会社員の男が賭博開帳図利の疑いで県警に逮捕されている。
自治体によっては、闘鶏を条例で禁止しているケースもある。東京都、北海道、神奈川県、福井県、石川県の5都道県で、賭博を防ぐ目的があるとみられている。
闘鶏そのものは、地域の文化だとする見方もあるが、沖縄県では、どのように見ているのだろうか。
この点について、沖縄県の自然保護課は7月10日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明した。
沖縄県内では、報道によると、糸満市議会が20年10月に闘鶏を禁止する条例の制定を県などに求める意見書などを全会一致で可決し、県議会土木環境委員会も21年3月、この意見書を受けた糸満市議会の陳情を全会一致で採択している。
今回は、愛護団体からの陳情を受け、25年7月7日の6月定例会土木環境委員会で審議された。委員からは、クチバシを切るなどする闘鶏は虐待ではないのかと質問が出て、県側も、もしそうなら虐待に当たるとの認識を示した。ただ、陳情の採択までには至らず、9月定例会で継続審議されることになった。
今後、闘鶏を禁止する条例が制定される可能性はあるのだろうか。
この点について、県の自然保護課は、次のように話した。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)